DXソリューションとは?具体例や成功事例を交えて紹介

近年、DX 推進が重要視され、DXに関連するワードをよく目にするようになりました。DXソリューションもその一つ。ソリューションとは解決といった意味であり、デジタルテクノロジーやデータなどを活用して、企業の課題を解決し、市場競争力を高める取り組みを指します。

ここではDXソリューションについて、その意味や必要とされる理由、成功事例などを幅広く紹介します。

DXソリューションとは

まずは、DXソリューションとは何かについて解説します。

DXソリューションの意味

ソリューション(Solution)とは、問題を解決することや、解決方法を意味します。

DXソリューションに明確な定義はありませんが、一般的には、DXにより企業が抱える課題を解決し、業務効率化や製品の付加価値を高め、競争優位性を確立するための取り組みを指します。その際に使用するシステム自体を指してDXソリューションという場合もあります。

そもそもDXとは-「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」との違いも

では、そもそもDXはどういう意味でしょうか?

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称で、デジタル技術やデータを活用し、事業や組織のあり方などを変革して、新しい価値をもたらすことを意味します。

DXには、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「DX」の3段階があり、デジタイゼーションとデジタライゼーションはそれぞれ下記のように定義されます。

  • デジタイゼーション:非デジタル・アナログな資料や情報をデジタル化すること
  • デジタライゼーション:個別の業務やプロセスなどをデジタル化すること

DXレポート2では、必ずしもデジタイゼーションからDXへ向かって進めていかなくてもよいといった趣旨の記載があります。

しかし実際にDXを推進するには、まずは紙の書類や、アナログで行ってきた業務やワークフローをデジタル化すること、つまりデジタイゼーション、デジタライゼーションから進めるのが現実的でしょう。

デジタイゼーション、デジタライゼーション、DXについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。

デジタイゼーションとは?デジタライゼーション・DXとの違いや具体例を解説

【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで

DX推進が必要とされている理由

現在の日本企業はさまざまな課題を抱えており、その解決にDX推進が必要とされています。主な課題は以下のとおりです。

  • 業務の効率化および生産性の向上

日本では少子高齢化による労働力人口の減少により、人材不足が深刻化しています。限られた人材でも成長し続けられる企業であるためには、デジタル化による業務の敏捷性や正確性、生産性の向上が不可欠です。

  • 新たな価値創出による競争力強化

国内だけでなく、グローバルに競争が激化する社会において、企業は競争力を強化し世界中の競合に勝たなくてはいけません。そのためには、今までにない新しい価値を創出し、競争優位性を築く必要があります。

  • ビジネス上のリスクマネジメント

日本の企業には、多くのレガシーシステムが存在します。レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みで構築されており、ブラックボックス化のリスクを抱えるシステムのことです。維持管理が難しい、新しい技術に対応できないことは、ビジネス上の大きなリスクになります。

また、昨今では自然災害、テロ行為や感染症拡大などの、さまざまなリスクがあります。不測の事態があった場合でもビジネスを継続する、あるいは早期復旧するためのBCP対策の一つとして、データの保護が重要です。そのためにもレガシーシステムを脱却しクラウドへ移行するなどの対応も検討しなければなりません。

以上のような課題を解決し、企業と社会が成長していくためにDXが必要とされているのです。

業務課題に合わせたDXソリューションの例

DXで解決すべき業務課題やその解決策、つまりDXソリューションにはどのようなものがあるのでしょうか。その一例を紹介します。

  • 社内環境の整備

BCPや働き方改革に対応するさまざまなシステムが提供されています。オンライン会議ツールやオンラインストレージを活用することで、テレワークでも通常どおり業務ができる社内環境が整います。また、承認に押印が必要な業務もオンラインで完結するワークフローシステムを活用すれば、誰がどこにいても社内手続きがスムーズに進みます。

  • 事務作業の効率化

慢性的な人手不足の中、多くの企業では業務効率化に取り組んでいます。パソコンでの事務作業などの定型業務は、RPAで自動化することで、作業時間の削減と効率化を実現します。RPAの活用で創出できたリソースは、他の高付加価値な業務に再配置することも可能です。

  • 営業活動の効率化

消費者のニーズが多様化し、かつ移り変わりが激しい昨今では、ニーズを迅速に把握し対応することが求められます。営業活動の効率化にSFAを活用することで、活動の記録や商談進捗状況の把握、売上管理、案件管理、クレーム管理などを一元化できます。

  • 物流業務

物流業務では、検品、ピッキング、送り状発行などの個別プロセスはデジタル化されていても、各プロセスのシステムが連携されておらず、データの共有がうまくいかないケースがあります。各プロセスを統合し、フロー全体を一元管理するシステムへの変更により、管理が容易になり、プロセス間のデータの整合性も担保できるようになります。

  • 受発注業務

受発注業務では、手書き伝票やFAXでのやりとりなど、全般的に時間と手間を必要とする作業が多く、ヒューマンエラーのリスクもあります。受発注システムの導入により、システム上で自動処理できる業務を増やすことで、手作業を削減し、業務効率化につなげます。

DXソリューション取り組み事例

経済産業省と東京証券取引所及び独立行政法人情報処理推進機構と共同で発表した「DX白書2023」よりDXソリューション事例を紹介します。

中外製薬株式会社における新薬開発の期間短縮と成功率上昇

業界大手の中外製薬株式会社では、「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」にて、「デジタルを活用した革命的な新薬創出」「バリューチェーン効率化」「デジタル基盤の強化」の3つの基本戦略を掲げ、DXを推進しています。

取り組みのひとつに、革新的な新薬開発があります。医薬品候補分子探索、薬物動態予測、病理画像解析による薬効・安全性の評価などにAI技術を活用することで、新薬開発の開発期間短縮やコスト削減、成功率上昇などの実現を目指しています。

同社の取り組みでは、AIの機械学習・ディープラーニングの技術がポイントになります。機械学習・ディープラーニングについて詳しくは、下記の記事をご覧ください。

機械学習とは?定義や仕組み、活用例などを紹介

ディープラーニングと機械学習の違いは?それぞれの意味と関係性を解説

トラスコ中山株式会社におけるサプライチェーン全体の業務改善

工場用副資材の卸業を営むトラスコ中山株式会社では、サプライチェーン全体での生産性向上を目指し、積極的にDXを推進しています。

メーカー向けには業務連携サイトや​商品情報管理システム​を、販売店向けにはAI見積もりやコミュニケーションツールを導入しています。また、ユーザー向けには、ユーザーの既存購買システムと連携させ​、調達プロセスの見える化とコスト削減につながる購買支援システムを提供しており、​サプライチェーン全体での​業務改善につなげています。

日本郵船株式会社のSoR をSoEへと進化させた取り組み

大手海運会社日本郵船では以前からIT活用は進めていたものの、自社内でのデータセンター運用やアプリケーションソフトウェア開発に貴重なリソースを費やしており、SoRにとどまっていました。そこで協調領域を設定し、積極的に外部のITサービスを利用したりパートナー企業との協業を進めたりして、業務プロセスとデータの完全標準化などを実現。業務効率化のみならず、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量データの提供といった顧客への新しいサービスへとつなげ、SoRをSoEへと進化させました。

参考: デジタルトランスフォーメーション銘柄2023|経済産業省 株式会社東京証券取引所 IPA

SoRやSoEについて詳しくは、下記の記事をご覧ください。

SoEとは?SoRやSoIとの関係と、なぜDXに必要なのかを解説

企業価値の向上にはDXソリューションの活用が欠かせない

少子高齢化に伴う慢性的な人手不足や消費者ニーズの多様化、国内外あまたある競合との競争など、昨今の企業を取り巻く環境は非常に厳しくなっています。そのなかで企業が生き残っていくためには、DXへの取り組みは必須といえます。

さまざまなDXソリューションとDX推進成功事例を参考に、業務や製品・サービスのデジタル化を検討していきましょう。

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