デジタイゼーションとは?デジタライゼーション・DXとの違いや具体例を解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)なら聞いたことがあっても、デジタイゼーションは聞いたことがないという人もいるのではないでしょうか? DXは、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「DX」の3段階に分解できるとされています。実行する順序は必ずしも決まっているわけではありませんが、最初に手を付けやすいのがデジタイゼーションでしょう。

ここでは、デジタイゼーションの概要やデジタライゼーション、DXとの違いを紹介します。

デジタイゼーションとは

デジタイゼーション(Digitization)は、アナログで行ってきた特定の業務をデジタル化することを指します。IT技術を活用することで、作業の効率化や生産性向上が見込めます。

アメリカの調査会社ガートナー社の用語集“Gartner Glossary”では、デジタイゼーションを次のように定義しています。

Digitization takes an analog process and changes it to a digital form without any different-in-kind changes to the process itself.  

参考:Definition of Digitization – IT Glossary | Gartner

「プロセスそのものは変化させることなく、アナログデータをデジタルデータに変換すること」ということです。

経済産業省でも、デジタイゼーションを「アナログ・物理データのデジタルデータ化」と定義しています。

参考:DXレポート2 中間取りまとめ(概要)(以降、DXレポート2)

わかりやすい例では、これまで紙で作成していた書類を電子化してデータベースにしたり、連絡手段に電子メールやチャットツールを取り入れたりするなどがあります。

デジタイゼーションでは、これまでアナログで行ってきた業務にITを導入し、部分的かつ最低限のデジタル化を行うだけなので、「守りのデジタル化」といわれることもあります。

しかし、アナログで行ってきた作業をデジタル化するだけでも、業務効率化が見込めます。例えば、バックオフィス部門や製造部門に多いルーティンワークの大部分をデジタル化し、大幅に効率化するといったことも可能です。

例えば、アナログな紙の伝票でやり取りしていた経費精算をExcel化するといったことが挙げられます。紙の伝票を作成して手作業で集計する手間を省いて作業時間を短縮。新しい伝票を作成する際に既存の伝票のテンプレートを流用することも可能で、大幅な業務効率化につながります。

デジタイゼーションとデジタライゼーション、DXとの違い

デジタイゼーションとデジタライゼーション(Digitalization)は、言葉はよく似ていますが中身は異なります。

前述のように、デジタイゼーションは、既存の業務プロセスそのものは変化させずに、アナログデータをデジタルデータ化するといった意味です。部署のなかで一部の業務のみをデジタル化するようなイメージでしょう。

一方デジタライゼーションは、個別の業務・製造プロセスをデジタル化することです。部署単位ではなく、例えばワークフロー全体を横断的にデジタル化し、効率化します。

DXレポート2のなかで DXは、「組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革」とされています。

激化する市場競争に打ち勝っていくために、デジタル技術を活用して、全社的な業務・製造プロセス、ビジネスモデル、そして企業文化や風土なども含めて変革していく取り組みがDXです。

デジタイゼーションをより進化させたものがデジタライゼーション、それをさらに進化させたものがDXととらえると、イメージしやすいかもしれません。

なお、DXレポート2には、DXを進めるのに必ずしも一番下の段階であるデジタイゼーションから順に実施をする必要はないといった趣旨の記載があります。

しかし、現実的にはデジタイゼーション、デジタライゼーションの実施がなければDXの実施は不可能です。そのため、デジタイゼーションとデジタライゼーションはDXより先に行うか、少なくとも同時に実施する必要があります。迷う場合は、デジタイゼーションから順に段階を踏んでいくのがもっともスムーズと考えられます。

デジタライゼーションについて、詳しくは「デジタライゼーションとは?効果や業種別の具体例と推進のステップ」を、DXについては詳しくは「【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで」をご覧ください。

デジタイゼーションの具体例

デジタイゼーションとして多くの企業で行われている取り組みは、次のようなものです。

ITデバイスの導入

パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンなどの多様なデジタル端末の導入をするデジタイゼーションがよく見られます。例えば営業マンならば、リアルタイムに顧客情報や豊富な資料の閲覧が可能になり、より説得力のある活動が見込めます。また、オフィス以外の場所でもメールや書類の確認や、業務フローに必要な承認作業などができるようになるため、業務がスムーズに流れるようになります。

業務システムの導入

これまで紙の伝票とExcelで管理していた経理、勤怠管理、受発注などの特定の業務を、伝票作成の段階から業務システムに置き換えデジタル化するのもデジタイゼーションです。最近では、多くの業務システムがクラウドサービスで提供されており、導入しやすくなっています。伝票や書類を手動で作成することなく、一度データ入力を行えば多くの作業を自動化することができます。

書類をデジタル化する

紙の書類をPDF、Word、Excelファイルなどの形式でデジタル化し、データベース化するのもデジタイゼーションのひとつです。デジタル化することでファイルが検索しやすくなり、欲しいデータがすぐに見つけられます。紙の書類を保管する場所が不要になり、作業時間も短縮するので、書類管理コストや社員にかかる工数を削減することも可能です。また、これまで作成した書類をデータとして蓄積することで、類似の書類作成がしやすくなり、業務効率化につながります。

オンライン会議ツールの導入

オンライン会議ツールを使うことで、オフィス以外の場所にいる社員も会議に参加したり、遠隔地とオンラインで打ち合わせをしたりするのもデジタイゼーションです。オンライン会議を導入すれば会議のために出社する必要性が低くなり、テレワークを推進することができます。働き方改革への対応や、パンデミックや自然災害などに対するBCP(事業継続計画)対策にもなるため、導入する企業が増えています。

また、オンライン会議であれば遠方の取引先ともやりとりできます。移動時間や費用がかからないため、より気軽にコミュニケーションをとることができ、スムーズな商談へとつながることが期待できます。画面共有や画像、動画などを通してさまざまな情報を共有することで、細かな情報も正確に伝えることが可能です。

デジタイゼーションの効果

デジタイゼーションを行うことで、次のようなメリットがあります。

  • 作業の効率化と生産性向上

デジタル化により、作業の多くを自動化できます。作業時間や業務プロセス全体にかかる時間を削減し、業務効率化と生産性向上を実現することが可能です。

また、作業時間が短縮することは長時間労働の解消につながり、作業を自動化することは労働力不足の対策になります。

  • 作業スピードの高速化

作業をデジタル化することでひとつの業務プロセスに必要な作業時間を短縮できます。

例えば紙の書類をデジタル化することで、書類を作成する時間のスピードアップが可能です。さらに、書類の管理が容易になり、それにかかる作業時間も短縮できます。

  • ヒューマンエラーの削減

作業をデジタル化することで人間が行う作業が減るため、人的ミス(ヒューマンエラー)の削減が可能です。例えば経理処理をデジタル化することで手作業での集計が不要になり、そこでの人的ミスがなくなります。より正確で速く作業ができるようになります。

デジタイゼーション推進のステップ

デジタイゼーションをする業務が決まったら、次のようなステップで進めていきます。

1.業務をどのようにデジタル化していくのかを分解する

デジタイゼーションを検討している業務をどのようにデジタル化していくかを、次のように細かく分解します。「書類のデジタル化」の例で紹介します。

①どのようなデータが必要なのか

新しく作成する書類のファイル形式は、Word/Excelファイルでいいのか
これまで作成した書類のデジタル化は、PDFファイル保存でいいのか
既存の書類はどの程度さかのぼってPDF化するのか
書類を保存するデータベースの仕様はどのようなものか

②どのような手順で作業していくのか

既存の書類はどのような手順でスキャンするのか
スキャンした書類や新しく作成した書類は、作成後どのような手順でデータベースに保存するのか

③どのデータや素材でどのような処理をしていくのか

書類を保存するフォルダの命名規則、書類の保存方法の規則、書類に対するアクセス管理の規則などをどう設定するか

④生成されたそのデータや生成物はどのように管理するのか

保存書類へのアクセス方法、検索方法、閲覧・編集方法の規則はどのようにするか

⑤担当者や責任者をどうするか

データベースのメンテナンスは情報システム部門が担当するのか
フォルダごとに担当する部署をどうするか
部署の責任者の権限はどこまでにするのか

以上のように、デジタイゼーションを実施する業務をどのようにデジタル化していくかを細かく分解し、作業の内容を可視化します。

2.デジタル化するにはどのようなツール・サービスを利用するか検討する

現行の業務のデジタル化への作業が明確になったら、次はそれぞれの作業にどのようなツールを利用するのかを検討します。

既存のツールで使えるものがあれば活用し、新規に導入する必要がある場合は、作業の進めやすさや予算などを考慮して決めていきます。オンプレミスサーバーとクラウドサービスの利用ではどちらがいいか、文書の電子化にはドキュメントスキャナの購入と電子化サービスのどちらにするかなど、複数の方法を比較検討し、決定しましょう。

3.デジタイゼーションの実行

何をどのようにデジタル化するかが決まったら、デジタイゼーションを実行します。ここで、デジタイゼーションの前後でどのような効果があったかを確認するため、作業効率やミス発生数などのデータを細かく残しておくことが必要です。データは、後で別の業務をデジタイゼーションするときの参考になります。

4.当該部門だけでなく組織的にデジタル化への意識を高めて体制を整える

デジタイゼーションはひとつの業務で実施したら終わりではありません。その部門のほかの業務、次は他部門など、縦にも横にも組織的にデジタル化の範囲を広げていくものです。デジタイゼーションを継続することで、デジタル化についてより多くの知見やノウハウを得られ、デジタライゼーション、DXへとつなげていきやすくなります。

そのためには、情報システム部門や経営層との協力、デジタル化に詳しい社員の育成、現場の理解など、組織的にデジタル化を進める意識と体制が必要です。

デジタイゼーション推進のポイント

デジタイゼーションを推進するポイントをいくつか紹介します。

  • スピーディーに進めるため既存のシステムやサービスをうまく活用する

デジタイゼーションで使用する、一部の業務プロセスに利用するようなツールやシステムは、必ずしも内製化する必要はありません。既存のシステムをうまく活用しましょう。

例えばコミュニケーションに関するツールは、顧客とのつながりやすさも考えて、ZoomやMicrosoft Teamsなど既存のサービスを利用するほうが適切でしょう。

また、クラウドサービスの利用もおすすめです。クラウドサービスは頻繁にアップデートされ新しい機能を取り入れやすくベンダーのサポートを受けることが可能なため、社内にデジタル化についてのノウハウや知見を持つスタッフが少ない場合でも、比較的スムーズに導入できます。

既存のシステムやサービスを取り入れることで、時間をかけずにデジタイゼーションを進めることができます。加えて、これらには参考になる活用事例も多く、今後自社の業務をどのようにデジタル化していけばよいのか、標準的な手法はどのようなものかについてのヒントを得られます。

  • 時間をかけずにスピーディーに進める

多くの場合、デジタイゼーションは最終目的地ではないでしょう。デジタイゼーションによる部分的なデジタル化の先に、DXの実現があります。

DXを目的とするなら、デジタイゼーションはできるだけスピーディーに進める必要があります。スピーディーなデジタイゼーションを実現するためには、ツールやシステムのカスタマイズにあまり時間をかけないことがポイントです。

例えば、クラウドサービスやパッケージソフトなどのシステムも、ある程度は自社に合わせてカスタマイズできます。だからと言って大幅にカスタマイズして自社に合わせてシステムをつくりこむことは、それだけ時間のロスになります。それだけでなく、ガチガチにカスタマイズしたシステムから乗り換えることができず、環境の変化に対応しにくくなるデメリットもあります。

DXを早期に実現するためには、デジタイゼーションと同時にデジタライゼーションを進めてしまうのもひとつの選択です。業務のデジタル化とプロセスの自動化を合わせて進めることで、DX実現への道のりを短縮することができます。

デジタイゼーションはDXの基礎となるプロセス

DXの3段階は、デジタイゼーションから順序通りに行う必要はないといわれます。しかし、デジタイゼーションやデジタライゼーションの実施がなければ、DXの推進はありえません。デジタイゼーションとデジタライゼーションは同時に推進することができますが、これまでほとんどデジタル化が進んでいない企業の場合はそれも難しいかもしれません。そのようなケースでは、デジタイゼーションから着実にステップを踏んでいくのが確実ではないでしょうか。

なお、デジタルに詳しい人材が不足しており、自社でデジタイゼーションやデジタライゼーションを進めることに自信がない場合は、紙のデータ化ができるAI-OCRのような支援ツールを利用したり専門家のサポートを受けたりするのも有効です。

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