DX推進に苦戦する原因となる障壁とは?乗り越えるためにするべきことを紹介

DX推進はすべての企業に求められますが、成功する企業がある一方で、思うように進めることができず、苦戦する企業も少なくありません。DX推進を阻む障壁にはどのようなものがあるのでしょうか?

本記事では、DX推進において一般的にどのような障壁があるか紹介するとともに、乗り越えるためのアプローチを考えていきます。

DX推進における一般的な障壁

DX推進において、どのような障壁があるのでしょうか。一般的に考えられる障壁を紹介します。

経営層の理解不足と従業員の抵抗感

DX推進は経営層が企業の先頭に立って取り組まなければ実現は困難で、経営層が消極的であれば、そもそも予算の確保も難しくなります。経営層のなかにはDXの重要性をいまだ理解していない、あるいは重要性については理解しているものの必要なアクションがわからないといった人もいるでしょう。

経営層の理解と同様に、従業員の理解を得ることも必要です。DX推進のため新しいシステム・ツールの導入や従来の業務フローを変更することは、現場従業員の環境を大きく変えることにもなります。それを嫌う従業員がDXに否定的で、推進の障壁となるケースが見られます。

DXの概要を確認したい方は、次の記事をご覧ください。

【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで

レガシーシステムとの統合の難しさ

企業で使われれているシステムには、いまだレガシーシステムが使われているケースがあります。なかにはシステムの内容を詳しく把握している人材がすでに退職しており、ブラックボックス化してしいることも少なくありません。そういったシステムでは、DX推進のために導入を検討している新しいシステムとの統合が難しく、DX推進の障壁になることもあります。

レガシーシステムを放置することの弊害については、次の記事をご覧ください。

レガシーシステムを使い続けることの弊害とは?脱却するための対策も紹介

デジタル人材の確保と育成の難しさ

デジタル人材はIT技術の進歩と普及に伴い需要過多になっており、確保が困難な状況です。手段のひとつとしては社内でデジタル人材を育成する案がありますが、それには育成できる人材の確保が必要です。加えて、育成には時間やコストといったリソースが必要で、スムーズに進められる企業ばかりではありません。このようなデジタル人材の確保と人材育成の難しさも、DX推進が遅れてしまう原因のひとつとなっています。

DX推進が進まないという困難を乗り越えるためのアプローチ

DX推進が思うように進まない現状を乗り越えるためには、どうすればいいでしょうか。戦略、技術、組織の3つの観点で考えていきましょう。

戦略的アプローチ:明確な目標とKPIの設定

まずはDX推進の目標を明確にし、全社で共有することが重要です。目標を明確にすることで、経営者もDX推進に向けて行うべきアクションが見えてくるでしょう。また、目標が明確になることで、DX推進により自身の業務にどのような良い影響がもたらされるのかをイメージしやすく、従業員の抵抗感を払拭する効果も期待できます。

さらにKPIを設定することもおすすめです。設定した目標への達成度合いや進捗度を管理できるだけでなく、現時点での成果を実感でき、取り組みへのモチベーション維持・向上につながります。

KPIも、目標と同様経営層から現場の従業員まで全社で共有します。その時点の進捗具合や得られた効果を見える形で共有することで、DX推進に向けて一層一体感が高まります。

なお、KPIの設定の際は、経済産業省が作成したDX推進指標を活用することもできます。詳しくは次の記事をご覧ください。

DX推進指標とは?KPIとしてDX推進に生かす方法

技術的アプローチ:適切なツールとパートナーの選定

自社のDX推進に適切なツールを選んだり、自社でDX推進を行ったりできるだけの人材が十分確保できていないなら、信頼できるパートナーの選定も重要です。

DX推進を支援するツールにはさまざまなものがあり、機能も仕様もベンダーによって異なります。明確にした目標に従い、自社のDX推進に必要なツールを選びましょう。

なお、レガシーシステムを刷新し、システムを再構築してDXを推進するには、専門知識やノウハウが必須です。対応できる人材が社内にいない場合は、信頼できるパートナーを選び、サポートをしてもらう必要も出てきます。

パートナー選びの際は専門性と実績を確認します。DX支援の実績と合わせ、DX推進に不可欠なデータ管理やクラウドサービス、AIなどの分野についての専門性を評価します。いずれDXを内製することも考え、サポート体制や教育の点も提供があればよいでしょう。プロジェクトでは、データを多く扱うことになりますので、セキュリティやコンプライアンスについても確認します。

また、パートナーとのコミュニケーションがスムーズであることも外せません。ネット上の情報だけでなく、何社かにアプローチし、担当者の対応を自身の目で見ることも大切なポイントです。

DXツールについて詳しくは、次の記事をご覧ください。

DXツールとは?意味や種類・導入によるビジネスの変化などを解説

基幹システムの再構築が必要な理由とは。再構築のメリットと課題も紹介

組織的アプローチ:社内の人材確保と育成の強化

DXを推進するには、ITやDXの知識だけではなく、自社ビジネスについても熟知した人材が必要です。そのため、自社だけでDX推進に取り組む場合はもちろん、外部パートナーの協力を得る場合も、次のような方法でDX推進に力を発揮できる社内人材の確保・育成が不可欠です。

  • 社内のビジネスについて十分理解している人材に、ITやDXに関する知識を学ぶ教育の場を設ける
  • 専門知識を有する人材を採用し、自社ビジネスについて学ぶ機会を設ける

DX推進に求められる人材やその育成について詳しくは、次の記事をご覧ください。

DXを推進するために必要な人材と自社でDX人材を確保するためのポイント

DXを支える技術とは?技術を生かしてDXを推進するために必要な人材も紹介

リスキリングとは?DX推進のための人材確保に不可欠な戦略

DX推進のステップ

最後に、DXを推進するための一般的なステップを紹介します。

DXの目標の明確化

まずは、DX推進の目標を明確にします。デジタル技術やデータの活用によって新たな価値を創出することがDXです。DX推進によってどのように顧客に価値を提供し、市場競争力を高めていくのかが重要です。経営ビジョン・戦略を策定し、DX推進により、どのようにそれらを実現していくのかを明確にする必要があります。明確にした目標は全社で共有し、共通認識を形成します。

現状分析・社内体制の整備

DX推進に向けて足かせとなる課題を抽出するため、現状分析を行います。例えば、業務の効率化によってDX推進が達成できるのであれば、業務の棚卸しをし、プロセスに無駄はないか、システムの連携はスムーズにいっているか、社内の体制はどうかなど、現場従業員にも話を聞きながら課題を明確化していきます。課題が明確になったら、業務フローの変更や必要なツールの導入、人材確保など、DX推進のための社内体制の整備を進めていきます。

DX推進への取り組みスタート

DX推進のための社内体制が整備できたら、取り組みを実行していきます。

DXには、デジタイゼーション、デジタライゼーション、DXの三段階があります。必ずしもデジタイゼーションから順に進めるものではないといった指摘もありますが、デジタイゼーションから一歩一歩着実に進めていくのが現実的です。

業務の効率化であれば、これまでアナログで行ってきた特定の業務をデジタル化(デジタイゼーション)し、そこを含めた業務プロセス全体のデジタル化(デジタライゼーション)を進めます。さらに、そこからデジタル化の範囲を部門全体へ、全社へなどと広げていき、DX実現のための土台を築いていきます。

デジタイゼーション、デジタライゼーション、DXの違いについては、次の記事をご覧ください

デジタイゼーションとは?デジタライゼーション・DXとの違いや具体例を解説

DX推進はデジタイゼーション・デジタライゼーションから着実に

経営層や従業員の理解不足や人材不足などさまざまな障壁により、なかなかDXを推進できないケースがあります。しかし、DX推進は競争の激化する現代において生き残るために必要な取り組みです。まだ着手できていない企業は、本記事で紹介したような対策をヒントにDX推進への障壁を取り除き、デジタイゼーションから一歩一歩着実に進めていきましょう。

DX推進に向け、まずは業務の効率化や改善に取り組み、デジタイゼーションやデジタライゼーションを進めたいとお考えの場合は、ユーザックシステムにご相談ください。デジタイゼーションやデジタライゼーションを支援する、さまざまなツールを提供しています。下記より詳細をご確認のうえ、ぜひご検討ください。

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