業種や企業の規模によって業務の種類はさまざまですが、事務作業はどの企業にも共通して必ず発生します。日々多くの事務作業があるなか、いかに効率良く処理していくかは企業にとって関心の高い課題です。DX推進にあたって、まずは事務作業の効率化に取り組みたいと考えている企業の担当者もいるのではないでしょうか?
そこで本記事では、事務作業を効率化するためには、どのようなポイントを押さえるべきか、どのような方法があるのかなど、役立つ情報をお伝えします。
事務作業効率化のメリット
事務作業を効率化することで、企業はさまざまなメリットを得られます。主なメリットを確認しましょう。
- 生産性向上や離職率抑制につながる
事務作業の効率化により作業時間の短縮が実現すると、それにより浮いた時間や人材を、より生産性の高い業務や新たな業務に割り振ることができます。また、残業時間の減少によって労働環境の改善が可能です。その結果、従業員の満足度が高まり、エンゲージメントやモチベーション向上へとつながることが期待できます。
これらのことから、生産性向上や離職率抑制などが見込めます。
- 人材不足の課題解決につながる
事務作業の効率化により作業量が減れば、少ない人数でも処理が可能となります。少子高齢化による慢性的な人材不足の課題を解決する策のひとつになるでしょう。
- DX推進につながる
事務作業の効率化のための有効な手段として、ITツールの活用やデジタル化などが挙げられます。その場合、事務作業効率化がそのままDX推進への取り組みになるといえます。
事務作業効率化にあたり押さえておくポイント
では、事務作業を効率化するにあたり、どのようなポイントを押さえておくべきでしょうか。
現在の事務作業を把握する
現状の業務内容を把握することが重要です。無駄な業務がないか見落とさないためにも、事前準備や後片付けなども含めて、細かな作業まで洗い出しましょう。
その際、業務の担当部署または担当者、業務処理に必要な工数、発生頻度、必要となるスキルなど、効率化に取り組むにあたって役立つ情報を項目ごとにまとめておくと、あとで見直す際にも便利です。
課題を整理する
現在の事務作業の把握ができたら、作業のなかで無駄が発生していないか、業務が属人化されていないかなど、業務中の課題・問題点をすべて書き出します。習慣的にこれまで行ってきた作業の問題点は特に見落としがちです。これまで当然のように行ってきた作業も含め、例外なくすべての作業について、必要かどうか、無駄な動きはないかなどを見直しましょう。
作業効率化の具体的な方法を決める
課題を整理して明確になった不要な業務や重複している業務を、まとめる・なくすなどして整理することで無駄を減らしていきます。そのうえで、課題解決につながる作業効率化の具体的な方法を決めます。具体的な方法の例は次項で紹介します。
スケジュールを作成する
具体的な方法を決めたら、次に行うのが全体スケジュールの作成です。いつまでに効率化を実現するか期限を設定し、各課題について作業スケジュールを調整するとよいでしょう。実現不可能なレベルの極めてタイトな期限を設定することも問題ですが、期限が長すぎることも問題です。長すぎるとそれだけ余計なコストが発生し、従業員のモチベーションも続きません。ある程度のスピード感は必要です。
作業期間が短いものや効率化の成果が出やすいものから優先的に取り組むことも成功のコツです。早く成果を出せたらひとつの成功体験となり、モチベーションの向上につながります。全体的な作業効率化の実現により近づけるでしょう。
実行する
スケジュールに沿って、検討した方法で効率化を行います。どのくらい効果が出ているのかを適宜確認しましょう。効果を確認することによって、従業員が取り組みへの達成感を得られ、モチベーションの維持・向上につながることが期待できます。
また、問題点や新たに解決すべき課題を都度フィードバックすると、より適切に作業効率化が進みます。
事務作業効率化の具体的な方法
事務作業効率化において、ぜひ活用すべき役立つ方法について紹介します。
作業の標準化・マニュアル化
作業を標準化することで属人化を防ぎ、従業員の知識や経験に頼らず業務の質を均一化することができます。その際、資料のテンプレート作成や規格の統一も図っておくとよいでしょう。課題を整理して無駄を省いた、改善後の作業フローをベースに、作業マニュアルを作成し共有しましょう。
情報共有システムの導入
必要な人が、必要なタイミングで情報を得るためには、情報共有システムの導入が効果的です。システムにより作成したマニュアルの共有をすることで、作業の進め方がわからない人もマニュアルを参照して、円滑に業務を進めることができます。マニュアルやヘルプデスク上にFAQを設置し、よくあるトラブルには個々で対応できる体制にするのもおすすめです。マニュアルやFAQがあれば、作業経験の浅い従業員が自力で問題解決する可能性が高まり、先輩従業員が質問に答える時間や手間が削減されるでしょう。情報共有システムを利用すれば、マニュアルの更新も容易になり、従業員が常に最新版マニュアルを確認できるようになります。
ペーパーレス化の推進
事務作業の効率化にはペーパーレス化も有効です。ペーパーレス化により資料のデジタル化が進めば、先に紹介した情報共有システムも活用しやすくなります。自社で扱うさまざまな紙の帳票を電子帳票に置き換えることで、帳票の作成・承認・管理の手間が大幅に減り、それに関連する手続きも効率化できます。また、帳票の保管にかかる作業や場所も減り、コスト削減にもつながります。
ペーパーレス化のメリットや進め方については、以下の記事をご覧ください。
デジタル化(デジタイゼーション)のメリットとは?紙からの移行ステップや注意点
ペーパーレスの必要性やメリットは?紙帳票のデジタル化と業務の自動化の進め方
また、以下の記事も参考になります。
AI-OCRでペーパーレス化や業務効率化を進めてDXの土台を作ろう!
RPAの導入
先の情報共有、ペーパーレス化で「データ化」が整うと、業務の自動化が可能になります。業務の自動化は、事務作業の効率化を大きく前進させます。そこで効果的なのが、RPAの導入です。RPAとは“Robotic Process Automation”の略称で、事務作業を自動化するツールのことです。例えば、受注業務、発注業務、出荷業務、経理業務、メール業務など特定の事務作業を自動化することで作業を効率化し、操作を覚えるだけで誰でも作業ができるようになります。定型業務をRPAに任せることで従業員の作業負担が減るため、従業員がより生産性の高い業務に集中できるようになります。RPA単体を利用するだけでは、まだDXの初期段階(デジタイゼーション)ですが、ほかのツールやシステムと連携させることで、次の段階である、業務プロセス全体のデジタライゼーションへと進むことが可能です。RPAの導入は、DX推進への大きな一歩となるでしょう。
デジタイゼーション、デジタライゼーションとDXの違いなど、DXについての基礎知識は以下をご覧ください。
デジタイゼーションとは?デジタライゼーション・DXとの違いや具体例を解説
RPAについて詳しくは、以下の記事もあわせてご覧ください。
DXとRPAの関係については、以下の記事をご参照ください。
DX推進に大きく貢献するRPA―導入メリットや注意点・事例まで
事務作業に限らず、作業効率化・業務改善の手順については、以下の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
業務改善とは?進め方や効果、向いている業務・部門まで幅広く紹介
企業全体の業務改善やDX推進にもつながる事務作業効率化に今すぐ取り組もう
業種を問わず、あらゆる企業で必ず発生する事務作業の効率化が成功すれば、企業全体の業務改善へとつながります。効率化により余裕ができた人手や時間、コストなどのリソースを、より生産性の高い業務へ振り分けることも可能になります。また、ITツールの活用やデジタル化などで事務作業効率化を図った場合は、そのままDX推進への取り組みにもなります。
今回紹介したような方法もひとつの手段として参考にしながら、ぜひ事務作業効率化を成功させてください。
なお、ユーザックシステムでは、事務作業効率化に有効なRPAや、受発注ソリューション、物流・帳票ソリューションなどを提供しています。
下記より、自動化・効率化したい「業務」や、解決したい「課題」などから、適切な製品を見つけることができます。ぜひご確認ください。