データクレンジングとは?進め方や効果的な手法を紹介

ビジネスにおいてデータは貴重な資産ですが、DX推進への取り組みが活発化するなか、その重要性はますます高まっています。データは、ただ集めただけでしかるべき整理がされていなければ、有効に活用することができません。そこで必要になってくるのがデータクレンジングです。

本記事ではデータクレンジングについて、進め方や手法を紹介します。

データクレンジングとは何か?

まずは、データクレンジングとはどのようなものか、また、その重要性を紹介します。

データクレンジングの意味

データクレンジングとは、その名から推測できるとおり、データの質を高めるためにデータをきれいにすることです。

具体的には、データベースに集められた一次データについて、重複や表記の揺れ、誤記などを削除、あるいは修正などをすることで、データ品質を向上させ、安心して分析に使える状態にすることを言います。

DX推進におけるデータクレンジングの重要性

データクレンジングは、あらゆる企業に求められるDXの推進においても重要な処理です。

収集されたデータは、DX推進の観点からも効率化の実現や新しいビジネス創出のために重要なインプットです。しかし、一次データは品質に問題があることも少なくありません。

正確でないデータをもとに分析をしてしまえば、分析結果も当然誤ったものとなってしまいます。その結果、正しい意思決定ができずに、不利な方向にビジネスを進めてしまう可能性もあります。

データクレンジングを行うことで、収集した一次データの正確性を高め、信頼性の高いデータ分析を実現することができます。そのため、DX推進のなかで正しい意思決定を下すためには、データクレンジングが極めて重要と言えます。

DX推進におけるデータ活用の重要性については、「DXを推進するうえでなぜデータ活用が重要?その関係と効果とは」をご覧ください。

データクレンジングの進め方

それでは、データクレンジングはどのように進めていけばいいのでしょうか。一般的な進め方を紹介します。

必要なデータの選定

収集した一次データは膨大にあります。すべてをデータクレンジングの対象にしてしまうと、無駄な作業が増え、余分な手間とコストが発生します。そこで、データ分析の目的を明確にし、データクレンジングするデータの範囲をあらかじめ決める作業が必要です。データの選定後は、それらをひとつのデータベースにまとめます。

データクレンジングの実施

データをどのようにクレンジングしていけばいいのかを把握するため、まずは大まかでいいので下記のようにデータの質を確認する必要があります。

  • 誤りはないか
  • 重複はないか
  • 不足部分はないか
  • 古い情報はないか
  • 表記の揺れはないか

など

その後、必要に応じて下記のようなデータクレンジングを行っていきます。

  • 誤りや重複の削除
  • 情報の更新
  • 不足の補填
  • 表記や単位の統一

など

データクレンジングの手法についてはこのあと詳しく紹介します。

データの整理

今後データをスムーズに活用できるよう、データを整理し、活用しやすい形にしておきます。

例えば、同じ顧客や企業などのデータがバラバラになっていたり、重複していたりする場合には、データを統合する名寄せが必要でしょう。

データを整理したあとは、データの質を維持したまま活用できるような環境整備も大切です。データの保存方法や参照の仕方など、統一したルールを策定します。

プロセスの標準化

データの品質を保つためには、適切なデータクレンジングを適切な頻度で行うことが大切です。

そのためには、まず担当者を決め、責任の所在を明確にしておく必要があります。また、手間を抑えて効率的に適切なデータクレンジングを行うため、データクレンジングのプロセスを標準化しておくことも重要です。

効果的なデータクレンジング手法の例

最後に、データクレンジングの効果的な手法の例を、下記に処理内容ごとにまとめます。

削除

削除すべきデータの種類ごとに必要となる処理が異なります。

  • 重複データの削除

収集したデータには重複するものがあります。その場合は一方を削除します。

  • 異常値除去

ほかより極端に小さな値や極端に大きな値など、明らかに異常な値を排除します。

  • データトリミング

データ内に存在する不用意なスペースを削除することで、データをコンパクトにします。

修正

修正の目的も、表示の修正や補完などさまざまです。

  • データの正規化

データの表示形式をそろえるよう修正し、適切な分析ができるようにします。

  • 欠損値の処理

欠損値があった場合には、欠損値を含むレコードごと削除したり平均値を代入したりして補完します。

  • フィルタリング

分析に必要な範囲にデータを絞り込みます。

  • 名寄せ

同一データにもかかわらずデータベース内に複数の異なるデータとして存在する場合に、ひとつのデータに統合します。

変換

収集したデータはそのままでは分析に適していないことがあるので、適切な形への変換が必要です。

  • データ型変換

収集したデータが分析処理に適した型になっていなければ、扱いやすいデータ型に変換します。

  • 単位変換

分析処理がしやすいよう、適切な単位へと統一します。

  • エンコーディング

数量としての意味を持たない質的データを、演算処理が可能な量的データに変換します。

データクレンジングは正しくデータを活用するために必須の処理

データクレンジングは、データの品質を上げるために欠かすことができません。データに誤りがあったり重複があったりすれば、企業として誤った判断を下してしまう可能性があります。DX推進への取り組みが不可欠となっている現代においては、一層その重要性は増してきています。

なお、データクレンジングをするデータの量が膨大にある場合は、人手での作業では負担が大きく、ミスの発生リスクが高くなってしまいます。そういった場合にはツールの活用が有効です。例えば、全角と半角、大文字と小文字などの表記の揺れを正す、(株)を株式会社に統一するなど、シンプルなデータクレンジングであれば、RPAの利用が効率的です。

ただし、データクレンジングの必要性は、ビジネスに生かすのに十分な量のデータが存在してこそ生じるものです。そのためには既存データの連携やデジタイゼーション、デジタライゼーションなどにより、企業内にデータが蓄積されるための環境整備も求められます。RPAはデジタライゼーションにも有効なツールです。

RPAの導入をご検討の際には、ユーザックシステムにご相談ください。

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なお、デジタイゼーションとはアナログで行ってきた特定の業務をデジタル化すること、デジタライゼーションは特定の業務プロセスや製造プロセスをデジタル化することを指します。

デジタイゼーション、デジタライゼーションだけでDXが実現するわけではありませんが、いずれもDXに内包されるものです。 詳しくは、「デジタイゼーションとは?デジタライゼーション・DXとの違いや具体例を解説」「デジタライゼーションとは?効果や業種別の具体例と推進のステップ」をご覧ください。