失敗しない物流システムの導入方法とは

株式会社エスエスケイ様の事例を通じ、物流システム導入に失敗しない方法を学んでいきたいと思います。同社は大阪に本社、物流拠点は東日本:埼玉県越谷市、西日本:大阪府東大阪市に物流拠点を置き、オリジナルブランド名「SSK」として野球用品で広く知られています。一方で業績全体の内8割を卸業が占め、全国量販店やスポーツ専門店に展開する、日本有数のスポーツ用品卸業者でもあります。

1.物流システム再構築の経緯

エスエスケイ様では、2009年にWMS(倉庫管理システム)パッケージソフトを導入され、全領域的な効率化の成果は数値としても顕著に表れていました。それまで94円前後で推移してきた、商品1点当たりの平均経費が、WMS導入の翌年から88円台へと一気に下がり、その後84円台前後を継続するようになりました。トータルで見ても、同社の総売上金額の4.5%程度だった物流経費が4%前後にまで縮減され、基幹側システムの改善と並んでWMS導入効果は極めて大きいものだったことが証明されました。ただその一方で新たな課題も浮かび上がってきました。

 「スポーツ用品業界には独特の商習慣が残されており、ケース・バイ・ケースで顧客ごとに合わせた対応が求められるため、WMS導入の際には様々なカスタマイズを施すこととなり、結果的に初期投資が当初想定よりも膨らんでしまいました。また、運用を重ねる中で随時新たな変更が求められる場面も多いのですが、部分的にシナリオを変更するカスタマイズの場合でも百万円単位の追加費用がかかるシステムであったため、ほとんど変更は叶いませんでした」(顧客談)

上記のようにWMS側で対応できない場合は、結局エクセルなどで対応をするため属人化が進んでしまったり、現場の煩雑な作業で対応したり、大きな負荷が発生していました。
またWMSパッケージソフトメーカーのシステム修正対応納期など、得意先のスケジュール感と合わないケースも多々あり、課題が山積みでした。

2.次期物流システム選定の背景

そうした課題を解決するため、エスエスケイ様がWMS刷新の検討を始めた際に、『汎用性の高い物を作りましょう』と、当社創業50年の歴史で培った物流のノウハウをベースに、既存課題の解決と今後の柔軟なシステム対応を実現するため「スクラッチ開発(オリジナルシステムの開発)」での提案を実施しました。
元々、当社のバーコード検品システム「検品支援名人」の運用で同社の現場に深くコミットできていたことから、基本的なニーズの理解が早くでき、従来型WMSの基本路線を踏襲しながら、具体的なオプションを追加していくイメージでの開発が進められ、2017年に従来型WMSと入れ替りで当社が提案したWMSをご採用いただくことができました。
これまでのシステムエンジニアのサポート力と現場にあった柔軟な対応が可能であるシステムの提案を高く評価いただきました。

「例えば新たなECサイトとの取り引きが始まる際には、ここでシールが要るとか、こういう明細書を出力して等々、新しい要素は付き物です。ところが従来型WMSでは処理プロセスであるシナリオを部分的にでも変更する際、シナリオ全体を丸ごと新規に追加するしかありませんでした。これでは新しいビジネス展開に際してフレキシブルに対応していくのは困難です。それに比べ、ユーザックシステムのWMSはシナリオ内の機能パーツを組み合わせて最小の変更で対応できるシステムのために低コストですし、細部については自社内で一定の部分的加工も可能である等、柔軟に処理できるようになったことが魅力ですね」(顧客談)

3.今後の展望

①ソータ連携
「スポーツ用品業界のリテールには、10~20店舗程度の規模のチェーン店がいくつかあるといった特徴があります。主にそうした取引先への出荷を念頭に、かなりコンパクトな規模の30シューターのソータを導入することとしました。とは言っても、1時間当たり3,000アイテムは仕分けられるスペックがあります。通常の人手による作業であれば1人が1時間で200~300アイテムといったところですから、5人×2時間分の作業を1時間で代行できる計算になります。1週間に1万点近くの運用実績がありますので、それだけでも相当な改善効果が期待できます」(顧客談)

②出荷代行
「1つには、我々はB2B2Cと呼んでいるのですが、卸である当社が直接サイト等を手掛けるのではなく、小売店のサイトからワンクッションで当社に注文が入り、小売店に代わって我々が商品を顧客に直送するスタイル。この比率が否応なく増えることになると見ています。とはいえそれは当社サイドから目標を立てて取り組むスタンスではありません。そうした要望は確実に増えてきており、同業他社も広く展開していることから、追従せざるを得ない、というのが正直な認識です。どうしても、データの並びを変更する等、追加の作業が発生しがちなものですから、ここでもまたユーザックシステムに頼ることになるかもしれません(笑)」(顧客談)

このようにエスエスケイ様では10年先を見据えて変化へ柔軟に対応できる物流システムを導入し、今後発生し得る様々な業務課題へ対応可能な体制を構築できたと考えます。
まずは現状の課題を整理する・改善方法を考える・それを解決できる物流システムを導入することが基本です。さらに将来的な課題にも対応できるシステム検討が、物流という様々な環境の影響を受ける部分では、特に重要だと考えます。

株式会社エスエスケイ様の導入事例はこちらから≫ https://www.usknet.com/jirei/ssk/