SDGsとDXはどう関係する?「Society 5.0」とあわせて解説

昨今、「SDGs」という言葉をよく耳にします。SDGsは、環境問題や人権問題、貧困の問題など、地球上にあるさまざまな問題を2030年までに地球規模で解決していこうという取り組みです。日本語では「持続可能な開発目標」と訳され、DXとも深く関連しています。

SDGsとDXの関係性と、双方に関係する「Society 5.0」について、わかりやすく解説します。

DXとは?

DXは、経済産業省が公表したDX推進指標において次のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

引用:「DX推進指標」とそのガイダンス(PDF)|経済産業省

簡単にいうと、デジタル技術の活用によって組織やビジネスモデルなどを変革し、新しい価値を創造して社会のニーズに応えていくことがDXです。

DXの詳細は、「【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで」をご覧ください。

SDGsとは?

外務省によると、SDGsとは、「『誰一人取り残さない』持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標」のことです。達成の目処は2030年で、その内容は17の目標と169のターゲット、231の指標から構成されています。2015年9月に開かれた国連サミットで採択されました。

参照:SDGsの概要及び達成に向けた日本の取組(PDF)|外務省

SDGsが掲げる17の目標

SDGsが掲げる17の目標は、以下になります。

DXとSDGsにはどのような関係性がある?

外務省がまとめた「SDGsアクションプラン2020」には、 SDGs実施に関するさまざまな課題や取り組みが盛り込まれています。

アクションプランでは、SDGsを達成するために国が策定した「SDGs実施指針」の8分野に関する取り組みをさらに具体化・拡充した内容が示されています。このなかに「AI」「人工知能」「ビッグデータ」「IoT」など、DXに関係する用語が多く並んでいます。

例えば優先課題3として挙げている取り組み「成長市場の創出,地域活性化,科学技術イノべ-ション」では、「地方創生や未来志向の社会づくりを支える技術・基盤・制度」として次のような内容が提示されています。

  • AI技術とネットワーク技術の飛躍的展開:AIによる多言語同時通訳技術,AI/IoT時代の高速大容量通信ネットワークの基盤となる光ネットワーク技術やネットワーク自動最適制御技術等の研究開発を推進
  • 人工知能/ビッグデータ/IoT/ サイバーセキュリティ統合プロジェクト:人工知能,ビッグデータ,IoT,サイバーセキュリティについて, 理化学研究所「革新知能統合研究センター(AIPセンター)」 に世界最先端の研究者を糾合し,革新的な基盤技術の研究開発を推進するとともに,関係府省等と連携することで研究開発から社会実装までを一体的に実施(後略)

AIやビッグデータ、IoTといったDXのテクノロジーにより、言語の壁を越えたグローバルなコミュニケーションが可能となり、新たな社会インフラの整備が実現する、革新的な人工知能基盤技術を構築するための体制を整えるため支援するといった趣旨の内容です。

DXテクノロジーや新たな人工知能基盤技術構築のための人材や環境を整えることが、国が目指す地方創生や未来志向の社会づくり分野のSDGs達成に必要であることがわかります。

参照:SDGsアクションプラン2020(PDF)|外務省

では、具体的にDXが、どのようにSDGsの実現につながるのかを考えてみましょう。

DXの推進はSDGsの達成にどうつながる?

例えば、前述のAIによる多言語同時通訳技術により、コミュニケーションにおける言葉の壁がなくなると、言語の問題のみで仕事に就くことのできなかった人が、希望の職業に就くことが可能になります。労働人口の減少で人材の確保が難しい企業にとっては、採用対象となる人材が増えることになります。

またAIによって情報収集・処理の速度が大きく向上すれば、業務効率化が進み、業績向上により経済成長に貢献できます。業務効率化によって新規プロジェクトを始める時間的余裕や、プロジェクトに必要な人材を雇用できる経済的余裕ができるといったことも期待できるでしょう。

上記の例は、SDGs目標8の実現につながります。

  • 目標8 [経済成長と雇用]:包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

また、昨今注目を浴びているスマートシティもSDGs達成に貢献します 。スマートシティとは、IoTやAI、ビッグデータ、5GなどのDXのテクノロジーを活用してさまざまなインフラを効率化・強靭化することで、暮らしの快適性や利便性、安全性などを向上させた都市のことです。

スマートシティは、SDGs目標9を達成する都市ともいえるでしょう。

  • 目標9 [インフラ、産業化、イノベーション]:強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

引用元:SDGsの概要及び達成に向けた日本の取組(PDF)|外務省

以上はほんの一例ですが、このようにDXのテクノロジーはSDGsを達成するツールになることがわかるでしょう。

DXのテクノロジーについて詳しくは、以下もご参照ください。

DX実現に必要なテクノロジーとは?種類や活用事例を紹介
DXを支える技術とは?技術を生かしてDXを推進するために必要な人材も紹介

DXと関係の深い「Society 5.0」

SDGsと同じくらいDXと深い関係のある言葉に、「Society 5.0」があります。Society 5.0の概要と、 DXとの関係性を紹介します。

Society 5.0とは?

Society 5.0は、内閣府が公開している「第5期科学技術基本計画」で提唱された言葉です。内閣府のWebサイトでは、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と表現しています。

Society 5.0以前の社会は、下記のように段階を踏んできました。

  • Society 1.0 狩猟
  • Society 2.0 農耕
  • Society 3.0 工業
  • Society 4.0 情報

Society 5.0の前のSociety 4.0もすでに情報社会でしたが、そこにはさまざまな課題がありました。例えば、情報はあるものの、その共有や連携が困難でした。また、「多くの情報から必要な情報を見つけるのが難しい」「障害や年齢などにより、労働や行動範囲に制約がある」などといった問題もありました。

Society 4.0の問題を解決し、より快適で利便性の高い社会が、Society 5.0です。

Society 5.0はどのようにDXと関係しているのか

Society 5.0は具体的にどのようにDXにかかわるのでしょうか。

Society 4.0の問題を解決した社会がSociety 5.0と説明しましたが、Society 4.0の問題解決の手段となるのがDXです。

例えば、IoTによって人やモノが連携されることで、人々の間で情報が共有されていきます。それによって情報格差が縮んだり、新たな価値が生まれたりすることが期待できます。

また、AIによって一人ひとりに必要な情報が最適なタイミングで提供されると、生活の利便性が高まります。情報を活用するスキルの有無にかかわらず、情報の入手や利活用が容易になります。

これまで地域によっては、「移動手段を持っていない」「高齢ゆえ自動車の運転が難しい」「地域的に物資の配送頻度が少ない」といった理由で、日常の買い物に不便を感じる人も存在していました。そういった問題も、例えば、「インターネット上で買った物がドローンのような新技術によって配達される」といった方法で解決できます。

なお、前述の「SDGsアクションプラン2020」でも、Society 5.0について多く触れています。アクションプランでは、「SDGsと連動する「Society 5.0」」と掲げており、Society 5.0はDXだけでなくSDGsとも深く関係していることがわかります。

SDGsとSociety 5.0は連動しており、いずれの実現にも、DXがポイントとなるのです。

SDGsとDXが創り出す未来

SDGsとDX、Society 5.0。いずれも昨今よく目にする言葉で、それぞれ相互に関係しています。SDGsとSociety 5.0は、どちらを実現するにもDXの推進が欠かせません。DXの推進は、企業が市場競争に打ち勝つ際に重要な要素となるうえ、社会全体の豊かさや人々の幸せにもつながっていくのです。

SDGsやDXの推進を求められ、負担を大きく感じている企業もあるかもしれません。

しかし、あらためて考えると、どちらも進む方向は同じです。両者の関係性を理解し、一歩一歩どちらも着実に進めていくことが大切です。