ペーパーレスの必要性やメリットは?紙帳票のデジタル化と業務の自動化の進め方

「いつもの紙帳票を、デジタル化する」と聞いて、AI-OCRでスキャン読込みして、データ化する話でしょ?と思われますか。

「読込んで、PDFやCSVにする」という作業は、紙の上にある情報をデータにはしていますが、ペーパーレス化にはなっていません。

はじめから紙帳票を使わないのが真のペーパーレス化です。既存の業務プロセスの見直しをし、紙が発生しないように改善していくのです。

ペーパーレス化は、なぜ必要?

ペーパーレス化の目的は、紙の使用量低減による経費削減、地球環境保護、業務効率化です。近年ではESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))やSDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))の取り組みに入れている企業も多くあります。

企業におけるSDGs/ESGの取り組み、責任

企業規模の大小を問わず、SDGs/ESGへの取り組みは、もはや必須を超えて「責任」となっています。そのために、行政や金融機関、中小企業支援機構などの機関が支援を掲げています。SDGs/ESGに取り組まないと何が起こるでしょうか?大きくは世界的な目標に対して達成が困難になり、企業レベルではさまざまなリスクが懸念されます。

SDGs/ESGに取り組まないことによるリスク

  • 社会課題を把握できないことにより、新たなビジネスチャンスの機会損失
  • 企業の持続可能性をアピールできず、優秀な人材を確保できない
  • 企業の持続可能性の不安や取り組まないことへの不信から、社員のモチベーション維持が困難

中小企業のSDGs/ESGは身近なところに目を向け、ペーパーレスや教育、働きがいのある環境などから取り組み始めるのがよいのではないでしょうか。

ペーパーレス化推進のメリット

  • 紙の消費がないことによるコスト削減(紙の購入費、印刷費、書類保管のスペース費)
  • 環境保護(森林伐採、地球温暖化の抑制)
  • 働き方の変革(デジタル化、テレワーク、情報共有のしやすさ)

ペーパーレス化を進めることにより、経費削減の点では、紙そのものの消費がなくなり、印刷コスト、書類の保管スペースやコストが減るのは容易に想像できます。地球環境保護においても紙の消費を減らすことで、森林伐採、地球温暖化を抑制します。加えて、ビジネス文書や帳票がデータ化されれば、業務効率向上に大きく寄与するでしょう。コロナ禍において在宅勤務(テレワーク、モバイルワーク)にシフトした際、紙帳票であるがゆえ、出社しなければならない、承認捺印がもらえない、などという非効率が浮き彫りになりました。情報の共有や活用、ワークフローをデジタル化することで、ビジネス環境が大きく変化したとしても、業務を止めることなく円滑に進めることができることを実感したのではないでしょうか。

また、労働人口の減少に伴い、限られた労働力を最大限に活用することが叫ばれている「働き方改革」の点でも、こうした業務の効率化に注目するべきです。ペーパーレス化することは単に、紙の消費を抑えることだけではないのです。

紙の業務の課題と解決

紙・帳票がかかわる業務では、デジタル化された場合に比べて、情報の共有の点やビジネスのスピード感の点で劣ります。そこで、紙・帳票で存在する情報をAI-OCRを活用してデータ化しよう、となるのです。

業務の効率化・自動化で注目されているRPA(Robotic Process Automation)と合わせて活用されることが多いAI-OCRは、よく『ペーパーレス化』を推進するものとして取り上げられてます。確かに、業務効率を上げる点ではアナログな情報をデジタル化することは効果がありますが、ペーパーレスの根本解決にはなっていません。

AI-OCRを使ってスキャン・読取りをしている以上、紙帳票は無くなりません。紙であるがゆえの課題は、業務プロセスを変えることで解決するしかないのです。

どのようにペーパーレス化を進めるのか

とはいえ、「急に業務フローを変えると言っても」と思うのが正直なところでしょう。これまでの慣れた仕組みを変えることは、社内やお客様の理解と協力が必要です。ペーパーレスへの取り組みを周知させ、企業として社会に貢献し、ビジネスも成長させていくには、経営層からの発信は不可欠になります。

ペーパーレス化を推進する意味やメリットを、今一度、社内で共有しましょう。

企業としての社会的な貢献もさることながら、社員の業務効率化も実現し、お客様に対してはサービスの向上につながるという、多くのメリットを認識するのです。

そして、こうした取り組みに対しては、業務のデジタル化や運用ルールの策定は避けて通れないものであるため、フローの変更やデジタル化に不慣れな人に対しても扱いやすいものにして行くツールを採用するのをお勧めします。

ペーパーレスの推進

全社的なペーパーレスへの取り組みの手順としては、下記の通りです。

  1. 経営層によるペーパーレスへの取り組み発信
  2. 業務の棚卸しやペーパーレスの運用ルールを策定
  3. ペーパーレスを実現するツールの選定やトライアルの実施
  4. ペーパーレス運尿ルールに基づき、実運用
経営層によるペーパーレス化への取り組み発信から、業務棚卸し・運用ルールの設定までは、1-2か月をメドに進めたい。活用するツールのベンダーやコンサルタントのアドバイスも取り入れ、ペーパーレス化と業務効率化へスピード感をもたせることも、現場のモチベーション維持には重要。

全社的にペーパーレス化への取り組みに合意し、業務の棚卸しや運用ルールを策定していく中で、並行してすすめたいのがデジタル化するツールの選定です。

前段でも触れた通り、ツールを手にした社員やお客様が違和感なく使えるようなものであることが必須です。

ライカシャトル社が提供する『ラピルスDX』は、これまで使っていた紙帳票の内容やレイアウトを変更することなく、タブレット端末に移行させることができます。手書きのサインが必要な個所などもそのまま再現し、利用できます。

いつもの紙帳票をデジタル化するのは非常に簡単

紙帳票をデジタル化することの最大のメリットは、これまでデータ化する前に作業していた帳票からの転記作業や、入力ミスがゼロになることです。OCRの読取りでは100%一致は不可能であるため、必ず人の手による再鑑が必要でした。

紙帳票をラピルスの活用でデジタル化してしまえば、紙の書類からの転記作業や書類同士の突合せ作業・ファイリング作業の時間を大幅削減できるのです。

ラピルスDX 入力機能のご紹介

データ化した業務の自動化~DXへの取り組み

ペーパーレスを実現し、ビジネスや業務で活用するデータを取り込めたら、もう一歩踏み込み、業務を自動化してビジネスのスピードを上げていきましょう。昨今、各メディアでも取り上げられているDX(デジタルトランスフォーメーション)への足掛かりとなります。

ラピルスDXでリアルタイムにデータを収集・蓄積できたらRPAで業務を自動化し、データの活用・分析へ

サービス業の事例を紹介しましょう。カウンセリングやアンケートなどのお客様とのコミュニケーション情報の記録は、手書きでいただいた後、データ入力をし、新サービスの開発やお客様への提案をしていました。業務が立て込むと入力作業が遅れ、情報のリアルタイム性が失われていると感じることが多かったと言います。

AI-OCRで手書きカルテ・アンケートを読み取ることもしていましたが、読取りに間違いがないかどうか、チェックが必須のため、時間と手間がとられることに。

そこで、カルテやアンケート用紙に記入いただくかわりに、タブレット端末を用いて、お客様に記入いただくそばからデータ蓄積する仕組みに変えました。サインなどの手書きについてもリアルタイムで変換するので、万が一誤認識している場合は、その場で書き直していただくことが可能です。得られた貴重なお客様のデータはRPAでシステムへ連携させています。経営陣やマーケティング担当者は、そのデータをもとにお客様の状況、ニーズが把握できるので、お客様への新しいサービスの開発と提供ができます。

電子帳簿保存法への対応は?<ペーパーレスソリューション×RPA>

ラピルスDXとAutoジョブ名人では、改正・電子帳簿保存法への対応も万全です。「電子取引データの厳格な保存」において、ラピルスDXでタイムスタンプを付与した電子帳票データの保存、検索要件に対応するリストの生成をAutoジョブ名人で自動化することをご提案します。

手順の概要は、以下の通りです。

  • ラピルスDXで手書き情報をデータ化
  • データファイルダウンロードと、ファイリング⇒RPAで実行:Autoジョブ名人

▶ダウンロードはラピルスDXの管理画面から実行します。ダウンロードしたPDFは、PCや社内の共有フォルダといった所定の場所に格納します。

  • 検索要件に対応できるインデックス作成⇒RPAで実行:Autoジョブ名人

▶インデックス作成は、PDFファイル名や記入内容など法令に準拠した検索要件で、エクセルにまとめる作業を自動化します。

ペーパーレス化・業務効率化 まとめ

企業や職種によってペーパーレス化の難しさは異なりますが、社会貢献や業務効率化の点から、ペーパーレス化に取り組まないという選択肢は存在しません。手始めに、社内の一部の資料から徐々にデジタル化に着手し、あわせて業務フローの見直しの検討をします。トップダウンで進めながらも、現場の声を取り入れて、現実的かつ継続可能なペーパーレス化と業務効率化に向けて推進しましょう。