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これまで、DXをテーマにブログを書いてきました(第一回目:物流業務において、DXはどこから取り組めば良いのか、第二回目:物流の「デジタライゼーション」を進めるための視点とは)。今回は、実際にDXへの取り組みを始められた、お客様の事例をご紹介します。
1.FAX受注が7割。進まないデジタル化
今回、DX推進の事例としてご紹介するA社は食品メーカーです。A社では、受発注業務のEDI化を進めておられますが、まだFAX受注も非常に多く、受注手段の約7割を占めている状態でした。
FAXは紙ベースでの処理となるため、
①受信したFAXを担当者に振り分ける作業
②基幹システムに入力する作業
③入力した内容のチェック
など、全てが手作業であり、受注業務にとても手間と時間がかかっていました。この状況を打破するため、A社では受注手段をFAXからメールに切り替えていただけるよう、お取引先に依頼しておられました。しかし、なかなか思うように進展しない状況が続いていました。
そのようななか、近年FAXからWebを経由した発注に切り替えるお取引先が現れてきました。これは、コロナ禍やいわゆる「2025年の崖」問題により、発注業務の改善、システム化に取り組む企業が増えてきたことを意味していると推測されます。
Web経由の受注であれば、受注内容がデータ化されているためA社にとっても喜ばしいはずです。ところが、実際には諸手を上げて歓迎できる状況ではなかったとのこと。一体、どうしてでしょうか。
2.アナログ処理を前提とした業務システム
諸手を上げて歓迎する状況にはなかった理由、それはA社ではこれまで手入力を前提とした業務運用をされていたため、デジタル化に対応するための体制が整っていなかった点にあります。
つまり、せっかくWebで注文を受けても、基幹システム側に受注データを取り込むための仕組みがなかったため、結局は手入力に頼らざるを得なかったのです。これではFAXの処理と変わりありません。
A社はまさに「アナログ状態」でした。せっかくの「Web化」=「デジタル化」の好機を生かすことができなかったのです。
3.「2025年の崖」を乗り越えるためには
このままでは、A社自体も「2025年の崖」を乗り越えるのが難しくなってしまいます。そこで私は、まずA社の社長以下社員の皆様に、DXついて説明させていただきました。そして、改めて「2025年の崖」を乗り越えるためにはアナログ処理から脱却し、システム化を前提とした業務構築が急務である点(デジタライゼーション実現)をご理解いただき、業務フローの見直しを提言いたしました。
受注業務のフローを見直すことは、付随する周辺業務についても、いずれデジタル化前提の業務フローに変更する必要があります。今回の「受注業務デジタル化」がA社にとってのDXの幕開けになること、各部署での業務運用の見直し、またそれを支えるネットワーク、セキュリティ体制の見直しが必要であることにご賛同いただきました。
現在、A社ではDX対応へのファーストステップとして、今後ますます増加するであろうWeb経由の受注への対応、すなわち受注業務のデジタライゼーションを進めておられます。並行して、他部署においてもデジタライゼーションの実現に向けた、現行業務の課題洗い出しを開始されました。
このように、DXに至る道のりは中長期的なものになるかもしれませんが、社員の皆様が目的をひとつに行動いただくことで、多くの企業でも実現が可能だと考えております。
ユーザックシステムでは、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」への対応、そしてDX実現に向けたプロジェクトのご支援をさらに進めてまいります。
2025年の崖、デジタイゼーション、デジタライゼーションについては以下もご参照ください。
2025年の崖とは?意味と企業への影響、克服するためにすべきことを紹介