物流業務の効率化ー業界を取り巻く環境変化を乗り越えていくには?

刻々と変化する社会の潮流のなか、物流業界を取り巻く環境にも変化がみられます。物流業界が今抱える、人手不足や環境問題といったさまざまな課題に対し、それらを解決するため業務の変革が求められています。

物流業界の課題と業界を取り巻く環境の変化、物流総合効率化法や「ホワイト物流」推進運動といった政府の取り組み、課題を解決するための手法などを紹介します。

物流業界を取り巻く環境の変化

社会とは常に変わっていくものですが、物流業界を取り巻く環境も変化し続けています。どのような変化がみられるのでしょうか?

物流業界が抱える課題

今、物流業界の課題として挙げられるのが、人手不足の問題、IT化の格差、小口配送の増加の3つです。

人材不足は業界を問わず深刻ですが、物流業界でも厳しい状況が続いています。また、さまざまな業界でIT化が進むなか、物流業界ではIT化の格差が大きいことが課題にあります。大手企業ではIT化が進み、物流に関するデータ活用によって効率化が図られていますが、中小企業ではIT化が遅れ、旧時代のシステムを使い続けているケースも珍しくありません。古いシステムにより業務の効率化が進まないうえ、メンテナンスに費やすコストが大きいといった状況です。

また近年、通販やECの増加に伴い個人への個別配送が増加傾向にありましたが、コロナ禍の巣ごもり需要によって、さらに小口配送の増加に拍車がかかりました。物流センターでの情報の処理や物理的な業務の増加、配送ドライバーの労働環境悪化などの課題が発生し、物流業界にはマイナスの影響が出ています。

物流と環境問題

上記のような課題のほか、日本全体や地球規模での問題についても、物流業界に深くかかわる部分があります。

環境問題として世界が関心を向けるCO2排出量の問題は、トラック輸送が大部分を占める国内物流においても重要な課題です。大手運送会社は環境対応車の導入を進めていますが、物流業のトラック全体へいつ行きわたるのかは、まったく見通しが立たない状況です。

また、包装資材にプラスチックを多用しており、使用済みの包装資材がプラスチックごみとなってCO2排出量を増やしている現状もあります。こういった課題に対し、簡易包装やプラスチックフリーの包装を推進する企業も増え始めていますが、全体に浸透するにはまだまだ時間が必要です。

物流とSDGs

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)では、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「働きがいも経済成長も」など17の項目についての国際目標が掲げられました。17の項目の下には169のターゲットと呼ばれる個別の目標が置かれ、さらにその下にはターゲットの達成度合いを測るための232の指標が置かれています。

17の項目のなかには、エネルギーに関連するもの、成長・雇用に関するもの、イノベーションに関するものなど、企業活動や物流業界に関係する項目も多く含まれます。169のターゲットのなかには「働きがい」「食品ロス」「インフラ」「クリーン技術」「環境に配慮」など、物流業界においても配慮すべき内容が多く盛り込まれています。

持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals = SDGs

物流とDX

DXの推進は業界を問わず必要とされていますが、物流業界のさまざまな課題への解決策として、積極的に進めたい取り組みです。

しかし、他業界と比較して著しくIT化が遅れているとはいえないものの、企業規模によりIT 化にばらつきがある状況です。

そもそもDXは、IT技術を活用して新たなビジネスモデルの創出や技術革新につなげる一連の取り組みであり、IT化はそのための手段のひとつにすぎません。そのIT化ですら物流業界全体に浸透していない段階であるため、業界全体としてDXを実現するには、時間を要することが予測されます。

環境の変化に伴って見られる業界の動きは?

上述のとおり、現在物流業界を取り巻く環境は、さまざまな側面で変化しています。そんななか、業界も少しずつ変わる努力を見せています。

近年の物流では、サプライチェーンの発達、コールドチェーンの進化により、さらに遠方まで迅速かつ鮮度を維持したまま輸送することが可能になっています。特にコールドチェーンは、食品ロスの削減に関連しても大きな期待が寄せられています。

また、人手不足の課題解決策のひとつとして注目されているのが、大手物流倉庫を中心に取り入れられつつある、自動搬送ロボットによる省人化の取り組みです。

従来のピッキング作業では、人が移動して商品をピッキングする必要があるため多くの人員が必要でした。自動搬送ロボットは、商品を収納した棚ごと作業者のもとへ移動します。ロボットの導入によって、これまでより少ない人員での作業が可能になります。 以上のような取り組みは、技術革新による産業の発展と労働環境の改善につながるため、SDGsの目標のひとつである、「働きがいと経済成長」にも寄与します。

物流業界の課題解決に向けての働きかけ

課題をいくつも抱え、環境問題やSDGsに向けた対応が必要とされる物流業界を、国もあと押しするかたちで法整備を進めています。また、官民連携での取り組みも見られます。 物流業界における現状の課題や環境問題にかかわる主な制度・取り組みには、次のようなものがあります。

  • 物流総合効率化法

「輸送網の集約」や「モーダルシフト」、「輸配送の共同化」などによって、流通業務の合理化を図る事業に対する計画の認定や支援措置などを定めた法律です。

モーダルシフトとは、トラックのような自動車で行われていた貨物輸送を、環境負荷の小さい鉄道や船舶輸送へと切り替えていくことです。

同法には、モーダルシフトの取り組みを支援する、「モーダルシフト等推進事業」の認定も盛り込まれています。

  • 「ホワイト物流」推進運動

トラックドライバーの不足に対応し、中と外の両面から物流業の変化を促すため、国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省が連携して発足した運動です。

トラック輸送の生産性向上と物流効率化、女性や60代以上の人も働きやすい「ホワイト」な労働環境を実現することを目的としています。

  • グリーン物流パートナーシップ会議

我が国物流分野におけるCO2排出削減に向けた荷主企業と物流事業者が連携した取組を拡大するため、平成17年4月に経済産業省、国土交通省、公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会、一般社団法人日本物流団体連合会が設立した会議体です。

物流分野でのCO2排出量削減、環境負荷低減、生産性向上、持続可能な物流体系構築の推進などを目標に掲げ、目標達成のため、荷主や物流業界の認識を共有することを目的として開催されている会議です。

物流の課題を解決し業務を効率化するための手法

サプライチェーン全体として効率化に取り組む手法には、既出のモーダルシフトや共同配送などがあります。

では、運送会社や倉庫業者などサプライチェーンにかかわる各企業では、どういった取り組みが有効なのでしょうか。

  • 作業分析と業務フロー見直し

普段行っている作業が本当に必要かどうか、簡易化できないか、機器の導入によって改善されないかといった見直しを行います。

業務の流れについても、リードタイムを長期化するムダな滞留がないかを検討します。

  • ムダ取りと標準化

例えば、移動が必要な作業でムダに回り込む動線となっていないか、人によって異なる作業方法をしていないかといった、効率と標準化に関する問題点を洗い出し、改善の方法を検討します。

  • DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

多くの産業でDXを推進しなければ大きな損失が生まれるといわれていますが、物流業界も例外ではありません。DXの推進によって解決する課題や、効率化できる問題はたくさんあります。

例えば、倉庫管理システム(WMS)の導入です。WMSには効率的な倉庫管理をするための機能が盛り込まれており、在庫情報の一元管理が実現できます。

また、WMSにRFIDを組み合わせるのも有効です。RFIDとは、必要な情報が格納されたRFタグから電波を用いて情報を読み取る、IoTを活用したシステムです。荷物にRFタグをつけることで、商品管理の負担が大きく軽減されます。

以上のようなシステムの導入は物流業務を大幅に効率化します。

ただし、前述のようにIT化はDXの手段のひとつにすぎません。IT技術を活用して業務の改善を図ったり、新たな価値を市場に提供したりすることで、はじめてDX実現といえることを理解しておかなければなりません。

物流業界におけるDXの現状については「物流におけるDX―業界の課題と推進のポイント、取り組み事例などを紹介!」を、業界を問わず、DXの全体像についてを知るには「【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで」を、IoTの基本的な知識については「IoTとは?仕組みと効果・課題、導入事例などを紹介」をご覧ください。

物流DXの推進で業界における課題を解決

物流業界が抱える課題と物流業界を取り巻く環境、物流業務を効率化することでそれらの課題を解決する手法について紹介しました。

さまざまな課題を解決し、物流業界はさらなる発展を目指していかなければなりません。課題解決策は、サプライチェーン全体での取り組みでも各企業での取り組みでもさまざまにありますが、なかでも「DXの推進」が実現できれば、大きく改善されることが見込めます。

物流業務のなかには、デジタル技術を活用して効率化できる多くのプロセスがあります。これらにデジタルツールを導入することで、一歩一歩着実にDX実現へと進むことが期待できます。

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物流業務向けソリューション

検品支援名人~入荷・出荷・棚卸検品システム。ハンディターミナルによる正確・迅速な検品業務を実現

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