IoTとは?仕組みと効果・課題、導入事例などを紹介

IoTとは?仕組みと効果・課題、導入事例などを紹介

IoTという言葉は浸透してきましたが、IoTがどういうところに使われているのか、ご存知ですか。IoTは、私たちの身近なところも含めてさまざまなかたちで使われています。

ここでは、自社のビジネスにIoTの導入を検討している企業に向けて、IoTとは何か、 IoT で何ができ、どういうところで使われているのかを紹介します。

IoTとは何か

IoTは「Internet of Things」の略称で、日本語では「モノのインターネット」といわれます。 IoT とは、さまざまなモノをインターネットに接続し、データ収集・共有・操作する仕組みのことです。

IoTでいうモノのことを「IoTデバイス」といいます。IoTデバイス(以降デバイス)には、スマートフォンやタブレット、自動車、家電、照明などさまざまなものがあります。 デバイスから収集されたデータはビッグデータとして管理され、AI (人工知能)によって分析されて、目的に応じて活用されます。

IoTの仕組み

IoTは、基本的に次のような仕組みで動いています。

データの収集・共有

  1. デバイスに組み込まれたセンサーが、画像、音、温度などのさまざまなデータを取得します。
  2. デバイスが取得したデータを、インターネット経由でサーバーやクラウドサービスに送信します。
  3. サーバーやクラウドサービス上のアプリケーションが、デバイスから送られたデータの内容を確認し、保存します。それにより、サーバーやクラウドサービスに収集されたデータの共有が可能になります。
  4. 目的に合わせて保存したデータを加工・分析し、結果を必要な場所に共有したり、応用したりします。

デバイスの操作

  1. サーバーやクラウドサービス上のアプリケーションから、デバイスの操作に関する指示を出します。
  2.  指示は、インターネット経由でデバイスに送信されます。
  3. デバイスが指示を受信し、指示に従って動作します。

これらの動作を組み合わせて、収集したデータをもとに操作を指示することも可能です。

IoTの効果

IoTが生活や産業のさまざまな場面に導入されることで、次のような効果があります。

生活が豊かになる

IoTを住宅や家電に導入することで、ユーザーの生活が便利になります。
例えば、室温に応じて自動的にエアコンを操作したり、留守中のペットの様子を見たり、自宅への訪問客を確認したりすることが可能です。

企業のコスト削減につながる

デバイスのセンサーを通じて製品の状態を把握できるようになります。社員が確認や検品のために現場へ足を運ぶ必要がなくなり、業務効率化と人件費の削減が可能です。

新しいビジネスを創出する

収集したビッグデータをもとに、例えば以下のような新しいビジネスの創出が可能です。

・損害保険のデータを分析することで災害に関するリスク分析を行うサービス
・温室にデバイスを置いて温度や湿度、肥料を管理し、より消費者の好む作物に近づける農業

遠隔医療や在宅医療が可能になる

遠隔操作で医療の提供が可能になります。例えばベッドをデバイスにして多種類のセンサーを組み込み、離れた位置から患者の状態を把握できるようにするのです。これによって、医療者の少ない過疎地でも適切な医療を提供することができます

交通機関の把握・管理が正確に行える

交通機関の管理が正確に行いやすくなります。例えば現在の道路の交通量や過去の交通量データを利用して精度の高い渋滞予測を行い、効率の良いルート作成が可能です。

IoTとDXの関係

前述のように、IoTを活用することで新しいビジネスの創出が可能になります。そのため、IoTは最近注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する技術のひとつに挙げられます。IoTから得られるビッグデータは、DXを実現するための重要な要素です。

DXの実現に必要な技術はIoT以外にさまざまなものがあります。詳しくは、「【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで」をご覧ください。

IoTで実現できることとIoTの課題

IoTで可能になることと、IoTを実現するために必要な課題を説明します。

IoTで実現できること

IoTにより、次のような3つの機能が実現します。それらの機能を応用して、さまざまなサービスを提供できるのです。

  • デバイスの状態を知る
    • デバイスにセンサーを付けて、デバイスやその周辺のデータを収集できます。これによって、必要なデータを24時間連続して取得したり、離れた位置にあるモノの状態を把握したりすることが可能です。
  • デバイスを操作する
    • サーバーからデバイスに指示を出して、操作することが可能です。
  • デバイス同士でコミュニケーションする
    • 位置に関係なく、デバイス同士で通信し、データをやりとりすることができます。ここから新たなデータ取得や操作につなげることも可能です。

IoT普及の課題

一方、次のようなことがIoT普及の課題となっています。

人材不足

IoTを応用するためには、インターネットやソフトウェア、ハードウェア、セキュリティなど多岐にわたる技術が必要です。しかし、これらの技術を広範囲にカバーする高い技術を持つ人材を確保する必要があります。収集したビッグデータを分析・加工できるデータサイエンティストも必要です。

やむを得ず限られた人数や十分なスキルを持ち合わせていない人材で進めようとしても、ヒューマンエラーのリスクが高まるだけです。

電力供給やネットワーク

デバイスは遠隔地や過疎地、屋外などさまざまな場所に設置されるため、電力供給の確保が課題となります。ひとつのデバイスやセンサーに必要な電力量は大きくなくとも、デバイス数が増えると大量の電力が必要になります。

また、IoTを実現するには、常時インターネットに接続していなければいけません。デバイスの設置場所によっては、ネットワーク回線の設置も必要になります。

セキュリティリスク対策

IoTは常にインターネットに接続されているため、ハッキングや不正アクセス、サイバー攻撃などのセキュリティリスクは避けられません。また、IoTデバイスは多種多様あるため、一般的なセキュリティ対策に加えて、各デバイスに適した対策を講じていかなければなりません。

IoTにおけるセキュリティリスク対策は、手間もコストもかかります。

IoTの導入事例

IoTの導入事例をいくつか紹介します。

身近なIoT

  • 自動運転
    車の自動運転機能にIoTが使われています。自動車の各パーツがデバイスとなり、交通状況や路面状況などのデータをクラウドサーバーに送信し、運転に関する指示を受信することで自動運転が実現しているのです。
  • スマートハウス
    スマートハウスではさまざまな機能でIoTが導入されています。例えば、室温や帰宅時間に合わせて、冷暖房、照明、風呂のお湯はりなどの操作を自動的に行います。
  • 留守中のペットの見守り
    ペットの移動や食事などの動作に応じて、デバイスが画像やアラートを送信します。それによって留守中のペットの様子がわかります。
  • 観葉植物の見守り
    植物の近くの土に埋め込まれたデバイスが、水分量や日照を計測し、アラートを送信します。それによって、植物の種類ごとに水やりや日照、肥料などの手入れを最適化できます。
  • スマートベッド
    介護や看病の必要な患者が利用しているベッドに設置されたデバイスが、さまざまな身体データをモニタリングし、必要なアラートを介護者や医師に送信します。データは電子カルテのデータと連動することも可能です。

製造業でのIoT

製造業では、スマートファクトリーを実現している企業があります。スマートファクトリーでは、工場内にデバイスを設置して自動的に現状を把握し、必要な操作を指示することが可能です。

例えば、次のようなデータが自動的に収集されています。

  • 成果物の現状把握
  • 成果物の動作確認
  • 工程管理
  • 工場内の室温・湿度などの確認
  • 製造工程での異常検知
  • 在庫確認

物流でのIoT

物流業界では、次のような部分にIoTが活用されています。荷物が配達されるまでに人手を介する部分を削減でき、業務効率化と人件費削減につながります。

  • 荷物のピッキング
  • 配送
  • 倉庫管理
  • 配送ルートの設計

農林漁業のIoT

農業では、畑や作物の現状把握、水やり、薬剤散布などがIoTで自動化・最適化されています。

また養殖業では、水温管理、餌やりの量やタイミングの管理、生育管理などがIoTで管理され、養殖場内の環境の維持に貢献しています。

IoTの活用の可能性は今後ますます期待される

IoTは現在もさまざまな分野で利用され、利便性の向上や新たな価値創造に貢献しています。人材不足やインフラ整備などの課題もありますが、IoTで収集できるビッグデータは今後ますます活用されていくことが期待されています。

国をあげてDX推進が叫ばれる今、自社のビジネスにもIoTを取り入れられるか、どのようにIoTを取り入れると効果的なのか、まずは検討してみてはいかがでしょうか。