実践ブログ「ChatGPTって、ここまで進化したの?」最新AI活用最前線③

Deep Research × ChatGPT Work~AIと一緒に調べ、考え、仕事を前に進める方法~

こんにちは、DXGO編集長の大崎です。
前回は、「プログラマーじゃなくても知っておきたい Codexの衝撃」と題して、AIが「答える存在」から「仕事を実行する存在」へ進化していることをご紹介しました。その中でDeep ResearchやChatGPT Workにも少し触れましたが、今回はその実践編です。

最近、私は仕事の目的に応じて複数のAIや機能を使い分け、調査、分析、資料作成といった工程をつないでいます。以前は「AIに質問して答えをもらう」という使い方が中心でしたが、現在は「AIと一緒にプロジェクトを進める」という感覚に変わりました。

今回は、私自身が実践しているAI活用法を通じて、AIエージェント時代の新しい仕事の進め方をご紹介します。

※ChatGPTおよび各機能の名称・内容・利用条件は、契約プランや提供時期によって異なる場合があります。実際に利用する際は、OpenAIの公式情報で最新情報をご確認ください。

AIには「チーム」のように役割を持たせる

AIというと、「ChatGPTに質問する」という使い方を思い浮かべる方が多いと思います。もちろん、それだけでも便利ですが、仕事の目的に応じて機能を使い分けると、調査から企画、資料作成までをつなげやすくなります。

私の場合は、次のように役割を分けています。

  • ChatGPT:壁打ちやアイデアの整理
  • Deep Research:複数の情報源をまたぐ市場調査や競合分析
  • ChatGPT Work:調査結果や既存資料を基にした分析・資料作成と業務の進行
  • Gensparkなど:スライドや図版の作成

一つの機能にすべてを任せるよりも、それぞれの得意分野に沿って役割を分けた方が、仕事全体を進めやすく、結果も確認しやすくなります。私は最近、この使い方を「AIチーム」と呼んでいます。

Deep Researchは「調査担当」

プロジェクトの初期段階で活躍するのがDeep Researchです。公開ウェブやアップロードしたファイルなどを調べ、複数の情報を統合して、出典付きのレポートにまとめることができます。

例えば、これまでは新しい市場を分析する場合、以前はGoogleで検索し、複数のニュースや市場レポートを読み、競合企業のWebサイトを確認してから情報を整理していました。テーマによっては、半日から1日かかることも珍しくありません。

現在は、Deep Researchに「○○市場について、今後3年間の市場動向を調査してください。主要プレイヤーと市場規模も整理してください」と依頼します。

すると、市場規模、成長率、主要企業、市場トレンド、競合比較、最新ニュースなどを体系的に整理してくれます。ただし、その内容をそのまま採用するのではなく、出典を確認し、重要な情報は一次資料にも目を通します。

時間のかかる情報収集をAIが支援してくれることで、私は情報の意味や次の打ち手を考えることに、より多くの時間を使えるようになりました。

ChatGPT Workは「企画を形にする担当」

調査が終わると、次はChatGPT Workの出番です。集めた情報や手元の資料を基に、分析を進め、文書やスライドなどの形にまとめていきます。

例えば、Deep Researchで集めた情報を基にPEST分析、3C分析、SWOT分析を行います。そこから、「この分析結果を基に、新しいマーケティング施策を3案考えてください」「役員へ10分で説明するプレゼン資料の構成を作ってください」といった依頼もできます。

以前はPowerPointを開き、1ページ目から構成を考えていました。現在は、AIがストーリーや資料構成のたたき台を作ってくれるため、私は「どの方向性が最も良いのか」という判断に集中できます。これだけでも、仕事の進め方は大きく変わりました。

実例① AIチームで「送り状名人」の補助金戦略を考える

私自身、自社製品である「送り状名人」の販売促進施策を検討するときにも、AIチームを活用しています。中小企業向け補助金を活用した販売戦略を考えた際には、まずDeep Researchで次の情報を調査しました。

  • 現在利用できる補助金制度
  • 制度改正の動向
  • 中小企業が抱える物流・受注業務の課題
  • 他社の活用事例

以前であれば、経済産業省や中小企業庁の資料を確認し、関連ニュースや支援事業者の情報を集めるだけでも相当な時間がかかっていました。現在は、候補となる制度と関連情報の全体像を早い段階で把握できます。なお、制度の適用条件や募集期間などは、必ず所管省庁などの一次情報で確認します。

次に、その調査結果をChatGPT Workへ引き継ぎ、次の項目をたたき台としてまとめます。

  • PEST分析
  • 3C分析
  • SWOT分析
  • ターゲット企業の整理
  • セミナー企画
  • 営業向け提案資料の構成

もちろん、そのまま使うことはありません。営業部門や製品担当者の意見を取り入れながら内容を磨き込みます。ゼロから考えるのではなく、AIが用意したたたき台を基に議論できるため、戦略の検討を早く、具体的に進められるようになりました。

私自身、「AIは企画を考える相棒になった」と実感しています。

実例② このDXGO連載もAIチームと一緒に作っています

このDXGO連載の制作にも、AIチームの考え方を取り入れています。

最終的な内容やメッセージは私自身が決め、編集部の確認を経て公開しています。その制作過程では、複数のAIや機能がそれぞれ役割を担っています。

まずChatGPTと壁打ちを行い、「今回、一番伝えたいことは何か」を整理します。続いてDeep Researchで最新のAI動向や市場情報を調査し、内容の裏付けとなる情報を集めます。

その後、ChatGPT Workで記事全体の構成や見出し、具体例、読者に伝わりやすいストーリーを整理します。記事内の図版や、一覧ページに掲載するアイキャッチ画像についても、AIと相談しながら方向性を決めています。

最後は私自身が何度も読み返し、次の視点で加筆・修正を行います。

  • 私らしい語り口になっているか
  • DXGOの読者に伝わる内容か
  • 実務で役立つ内容になっているか

つまり、この連載は「AIに書かせた記事」ではなく、「AIと一緒に企画し、育てている記事」です。AIは執筆者の代わりではなく、編集や調査、デザインの検討を支えるメンバーです。この連載そのものが、私にとってAIチームで仕事をする実践例になっています。

一度で完成を求めず、対話で精度を上げる

AIに一度の回答で100点を求めると、「思っていたものと違う」と感じるかもしれません。まず目的や条件を伝えてたたき台を出してもらい、その内容を確認しながら改善していく方が現実的です。

例えば、次のように具体的なフィードバックを重ねます。

  • この部分を詳しくしてください
  • 読者目線で書き直してください
  • マーケティング担当者向けにしてください

この往復を繰り返すことで、目的や読者に合った内容へ近づけることができます。AIは、一度の指示で完成品を出す道具というよりも、対話しながら仕事の精度を上げていく相手だと考えています。

人がやるべき仕事は何か

AIが担う工程が増えるほど、人には、目的を定め、結果を評価し、責任を持って決める役割が求められます。

AIが得意としているのは、次のような仕事です。

  • 情報を集める
  • 要約する
  • 整理する
  • 分析する
  • たたき台を作る

一方、人が担うべき仕事には、次のようなものがあります。

  • 何を目的とするのかを定める
  • 誰の課題を解決するのかを考える
  • どの案を採用するのかを決める
  • 優先順位を付ける
  • 最終的な意思決定に責任を持つ

AIは「考えるための材料」を作ることは得意です。しかし、会社の文化、お客様との信頼関係、現場の事情、組織の空気感までを十分に踏まえて判断できるわけではありません。

だからこそ、最後に責任を持って決めるのは人です。私は、AIを使えば使うほど、人に求められる能力の重心は「知識量」から「判断力」へ移っていくと感じています。

AIエージェント時代の働き方

第1回で「AIエージェント時代」という言葉をご紹介しました。少し未来の話に感じた方も多かったかもしれませんが、この連載ではDeep Research、ChatGPT Work、Codexなど、仕事を進めるためのAIや機能を取り上げてきました。

重要なのは、AIに仕事を奪われるかどうかではなく、AIとどのように役割分担するかです。これからは「どのAIを使うか」だけでなく、「どの工程を任せ、どこで人が判断するか」が、仕事の成果を左右するようになるでしょう。

営業、マーケティング、経営企画、人事などにそれぞれ専門性があるように、AIの機能も専門化しています。その専門性を組み合わせ、仕事を前に進め、その先の判断や実行につなげることが、これからのAI活用だと考えています。

まとめ

現在のAI活用は、一つのツールにすべてを任せる形だけではありません。調査、分析、企画、資料作成、レビューといった工程ごとに役割を持たせることで、仕事全体を早く、着実に進めやすくなります。

もちろん、最後に判断するのは人です。AIに任せられる工程は任せ、人は「考えること」「決めること」「伝えること」に集中する。これが、私が実践しているAI時代の仕事術です。

まずは、普段の仕事をいくつかの工程に分け、それぞれでAIに任せられる部分を考えてみてはいかがでしょうか。小さな役割分担から始めることで、自分の仕事に合った「AIチーム」が見えてくると思います。

編集後記

このシリーズを書き始めてからも、AIは驚くほどのスピードで進化を続けています。新しい機能が登場すると効率化に目が向きがちですが、私が重視しているのは、機能そのものよりも「AIにどの役割を任せるか」という考え方です。

機能の変化に合わせて役割分担を見直し、人はより創造的な仕事や意思決定に集中する。私自身も試行錯誤を続けながら、DXGOで実践的なAI活用法をお伝えしていきたいと思います。

次回予告

第4回 ChatGPTを「自分専用AI」に育てる方法

ChatGPTは、質問に答えるだけのAIではありません。MemoryやProjectsなどの機能を活用することで、自分の仕事や関心に合ったAIパートナーへ近づけることができます。最終回では、私自身が実践している「毎日一緒に仕事をするAI」の育て方をご紹介します。