- 生成AI活用は、「文章作成」にとどまらず、業務変革を支える手段へと広がっている
- 中小企業でも、営業・問い合わせ対応・情報共有などで実践的な取り組みが進んでいる
- 生成AIは、DXの成熟段階に応じて役割を変えながら、企業の仕事の進め方にも影響を与えている
こんにちは、DXGO編集長の大崎です。
前回は、
「生成AI時代のDX 次の一手」
というテーマの第1回として、
・DXには3つの段階があること
・生成AIが“意思決定”や“業務変革”に踏み込み始めていること
・DXの重心が「効率化」から「判断・変革」へ移り始めていること
について整理しました。
今回はその続きとして、
「実際に企業現場では、どのような変化が起き始めているのか」を見ていきたいと思います。
特に今回は、中小企業における生成AI活用に焦点を当てます。
「AI活用」と聞くと、大企業やIT企業の話に感じるかもしれません。
しかし実際には、営業、問い合わせ対応、情報共有など、現場業務に近いところで実践的な取り組みがされています。
注目したいのは、効率化だけでなく、“仕事の進め方そのもの”に変化が生まれている点です。
生成AI活用は「文章作成」だけではない
生成AIというと、
- メール文作成
- 議事録作成
- 資料のたたき台作成
といった用途をイメージする人が多いかもしれません。
これらは非常に実用的です。特に中小企業では、「まずは使ってみる」という入口として有効です。
しかし実際には、企業現場ではもう少し踏み込んだ使い方が始まっています。
例えば、
- 営業活動の振り返り
- 問い合わせ傾向の分析
- ベテラン社員の知識共有
- 顧客対応品質の平準化
- 社内ナレッジ検索
といった領域です。「作業を楽にする」だけではなく、「情報を活用しやすくする」方向へ進み始めています。
実際、当社でもAutoジョブ名人に追加された「AI社員」機能を活用しながら、全社で生成AI活用を進めています。
単に文章作成を効率化するだけではなく、
- 営業活動の整理
- 情報共有
- 業務ナレッジ活用
- 問い合わせ対応支援
など、日々の業務の中で「どう判断しやすくするか」「どう業務を進めやすくするか」という観点で活用を広げ始めています。
これは前回お話しした、“データを蓄積するDX”から“意思決定につなげるDX”への変化ともつながっています。
DXの各段階で生成AI活用はどう変わるのか

ここで、第1回で整理したDXの3段階に沿って、生成AI活用を見てみたいと思います。
現在、多くの企業では、生成AI活用がさまざまな形で始まっていますが、その内容を見ると、DXのどの段階にあるかによって、活用の目的も変わってきます。
まず、デジタイゼーションの段階では、
- 紙資料の要約
- 議事録作成
- OCRと組み合わせたデータ化
- FAX内容の整理
など、アナログ情報をデータ化した後、その内容を生成AIで要約・整理し、活用しやすくする取り組みが進んでいます。
次に、デジタライゼーションの段階では、
- 営業活動の整理
- 問い合わせ対応支援
- 業務ナレッジ検索
- 日報要約
- RPAとの連携
など、業務プロセスを効率化・標準化する用途へ広がっています。
そして、デジタルトランスフォーメーションの段階では、
- 蓄積データをもとにした提案支援
- 経営判断材料の整理
- 組織横断での知識共有
- 顧客対応品質の平準化
など、“情報をどう意思決定につなげるか”という活用へ進み始めています。
このように生成AIは、効率化のためのツールにとどまらず、企業のDX成熟度に応じて役割を変えていく存在だと言えます。
営業現場で起き始めている変化
特に変化が大きい領域の一つが営業です。
これまで営業活動では、
- 商談メモを書く
- SFA/CRMへ入力する
- 上司へ報告する
- 案件状況を整理する
といった業務に、多くの時間が使われてきました。
しかし実際には、
- 入力されない
- 記録が属人化する
- 情報が蓄積されない
- 案件状況が見えない
という課題も多くありました。
ここに生成AIを組み合わせることで、状況が変わり始めています。
例えば、
- 商談内容を自動要約する
- 次回アクションを自動整理する
- 過去案件との類似性を確認する
- 顧客課題を要約する
といった使い方です。
ここで押さえておきたいのは、「営業をAIが代替する」ことではありません。
営業担当者が、
- 顧客理解
- 提案
- 判断
- 関係構築
といった、本来注力すべき仕事に時間を使いやすくなる点です。
注目すべきは、営業業務が効率化されていることだけではありません。
生成AIによって、
- 情報入力
- 情報共有
- 案件整理
- 次回アクション設計
といった“営業プロセスそのもの”が変わり始めているのです。
つまりこれは、
単なる営業支援ではなく、「営業DXの構造変化」とも言えるのです。
問い合わせ対応でも変化が起きている
もう一つ、中小企業で増えているのが、問い合わせ対応での活用です。
例えば、
- メール問い合わせ
- サポート履歴
- FAQ
- 過去対応記録
などを生成AIに読み込ませることで、
- 回答候補を生成する
- 過去類似事例を提示する
- 対応漏れを減らす
- 新人教育を支援する
といった活用が始まっています。
中小企業では、「詳しい人しか対応できない」状態になっているケースも少なくありません。
生成AIはこうした属人化の壁を下げる可能性があります。
もちろん、最終判断は人が必要ですが、必要な情報へたどり着く時間を短縮できるだけでも、現場負荷は大きく変わります。これまで個人に閉じていた知識を、組織全体で活用できるようになるからです。
生成AIは、“人に依存した業務”を“組織で活用できる業務”へ変え始めているのです。
「生成AI導入」だけではうまくいかない
一方で、
生成AIを導入しただけで、すぐに成果が出るわけではありません。
実際には、
- 使われない
- 定着しない
- 一部の人しか活用しない
- 現場フローと合わない
というケースも多くあります。
なぜでしょうか。
理由の一つは、
「生成AIを使うこと」自体が目的になってしまうからです。
例えば、
- とりあえずChatGPTを使い始めた
- 生成AIツールを契約した
- 議事録作成ツールを導入した
だけでは、仕事の流れ自体は変わりません。
まず考えるべきは、
- どの業務で使うのか
- 誰の負荷を減らしたいのか
- 何を判断しやすくしたいのか
- どの情報を活かしたいのか
を明確にすることです。
そのため、生成AIの導入は、ツール導入ではなく「業務変革」の視点で考える必要があります。
成功している企業は「小さく始めている」
もう一つのポイントは、
成果を出している企業ほど、小さく始めていることです。
例えば、
- 営業会議の要約だけ
- 問い合わせ整理だけ
- 日報作成支援だけ
といった形です。
この段階で意識したいことは、「まず現場で価値を感じられること」です。
いきなり全社導入しようとすると、
- ルール設計
- 権限設計
- 運用整備
- 教育
などが必要になり、止まりやすくなります。
しかし、現場の小さな成功体験が生まれると、
「他でも使えそう」という流れが自然に生まれます。
これはDX全般にも共通するポイントです。
これから重要になる視点
今後の生成AI活用では、「人と生成AIの役割分担」が大きなテーマになります。
例えば、生成AIは
- 整理する
- 検索する
- 要約する
- 候補を出す
ことが得意です。
一方、人は、
- 判断する
- 提案する
- 共感する
- 顧客と関係を作る
といった役割が求められます。
生成AIの活用が進むほど、人の価値が下がるのではなく、「人にしかできない仕事」の重要性が高まっていくはずです。
その意味でも、生成AIは単なる効率化ツールではなく、“仕事の役割分担を変える技術”として捉える必要があるのかもしれません。
次回予告
では、生成AIを企業へ導入する際、どのような点でつまずきやすいのでしょうか。次回は、「生成AI導入で失敗しやすいポイント」をテーマに、
- なぜ定着しないのか
- なぜ現場で使われなくなるのか
- 何から始めるべきなのか
について整理していきます。
まとめ
今回見てきたように、生成AIは、便利な文章作成ツールにとどまるものではありません。
業務プロセスや情報活用、意思決定のあり方に影響を与え、組織の働き方にも変化をもたらしつつあります。
特に中小企業では、営業活動、問い合わせ対応、情報共有、ナレッジ活用など、現場に近い領域から生成AIの活用が広がっています。
これらは、一つひとつは小さな取り組みに見えるかもしれません。しかし、情報の扱い方を見直し、判断しやすい環境を整え、属人化していた知識や作業を組織で活用できるようにするという意味では、DXを前に進める大きなきっかけになります。
生成AIをどう使うかだけでなく、生成AIによって何を変えるのか。
その視点を持つことが、これからの企業に求められていくのではないでしょうか。
参考リンク
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