こんにちは、DXGO編集部＆ユーザックシステム マーケティング本部の大崎です。
いま、私たちの仕事を取り巻く環境はかつてないスピードで変わろうとしています。その中心にあるのが「生成AI」です。ChatGPTをはじめとする生成AIツールが登場してから、わずか数年で世界中の企業がその可能性を模索するようになりました。マーケティングの分野も例外ではありません。むしろ「言葉」「情報」「顧客理解」を扱うマーケティングにこそ、生成AIは大きなインパクトを与えつつあります。
本ブログでは、生成AIがマーケティングに与える影響を概念的に整理し、これから10年の方向性を展望してみたいと思います。
マーケティングが直面する3つの課題
まずは背景を確認しましょう。多くの企業のマーケティング部門は、次のような課題を抱えています。
- 人材不足
・限られた人数で多様なチャネルを運用しなければならない。
・特に中小企業では「専任のマーケターがいない」というケースも少なくない。
- 情報過多
・顧客の行動データ、SNS、アクセスログ、購買履歴…。
・情報が多すぎて、かえって活用しきれない。
実際、私自身も『情報が多すぎて追いきれない』と感じることがあります。
- スピード要求
・市場の変化は早く、リアルタイムな対応が求められる。
・しかし従来のやり方では、企画から実行までに時間がかかる。
従来は「人を増やす」「外部委託する」といった対策が中心でした。しかしコストやノウハウの制約から限界があり、根本的な解決策とはなりませんでした。そこで注目されているのが生成AIです。
生成AIが注目される理由
生成AIとは「文章・画像・音声などを自動生成する技術」です。従来のAIが得意としていたのは「分類・予測」でしたが、生成AIは「新しいアウトプットを創造（生成）できる」点で革新的です。
マーケティングにおいて生成AIが注目される理由は、大きく3つにまとめられます。
- 言語処理能力が高い
→ 広告コピー、記事、SNS投稿、顧客との会話。マーケティング活動の多くは「言葉」で成り立っています。ここをAIが強力に補完できる。
- 大量処理が可能
→ 膨大なデータを読み込み、要約や分析を高速で実行。人間が数日かける作業を数分で終わらせることも可能。
AIに触れてみたときの最初の驚きは、やはり“スピード”でした。
- 適応力の高さ
→ ブランドトーンや顧客層に合わせてアウトプットを調整できる。社内のガイドラインを学習させれば、一貫したメッセージ発信も容易になる。
こうした特徴により、生成AIは「人手不足」「情報過多」「スピード要求」という構造的な課題を一気に解決しうる存在だと期待されています。
マーケティングとの親和性が高い理由
マーケティングは、情報を「集め」「解釈し」「伝える」活動です。これはまさに生成AIの得意分野と重なります。
- 集める：顧客の声や市場データを収集・要約する
- 解釈する：データからパターンを抽出し、示唆を導き出す
- 伝える：ターゲットに合わせたコピーや記事を生成する
たとえば、顧客アンケートの自由記述を自動で分類したり、SNS上の膨大な投稿からトレンドを抽出したり。こうした作業は従来人の手では膨大な時間がかかっていましたが、生成AIを用いれば短時間で可能になります。
歴史の文脈から見える変化
ここで少し歴史を振り返ってみましょう。マーケティングは常に新しい技術によって進化してきました。
1990年代：インターネットの登場で「紙からWeb（デジタル）」へ
2000年代：SEO・リスティング広告・メルマガでデジタル化が加速
2010年代：SNSやマーケティングオートメーションで顧客接点が多様化
そして2020年代、生成AIは単なる「新しいツール」ではなく、マーケティングの役割そのものを再定義する存在として現れました。
今後10年で起こる変化の兆し
生成AIはまだ発展途上ですが、今後10年で次のような変化が見込まれます。
- 作業から戦略へのシフト
データ整理やライティングはAIが担い、人は戦略・創造に集中。
- マーケティングの民主化
大企業だけでなく、中小企業も高度な分析や施策を実行可能に。
- 顧客体験のパーソナライズ化
一人ひとりに最適化された情報提供がリアルタイムに可能。
- マーケティング職の役割変化
「データを読む人」から「AIを活用し意味を創造する人」へ。マーケターは“戦略の編集者”になる。
まとめ：新しい時代の入り口に立っている
生成AIは魔法の杖ではありません。しかし、マーケティングが抱えてきた人手不足や情報過多の課題に対し、極めて有効な補完手段となることは間違いありません。
AIは作業を肩代わりし、人間はより創造的で戦略的な仕事に注力できるようになります。これは単なる効率化ではなく、マーケティングという職能の価値を「より人間らしい方向」へ押し広げる変化です。実際に私のマーケティング部門でもメンバーは生成AIを活用して創造的で戦略的な仕事にシフトしつつあります。それも必要最低限の人数で！
いま私たちは、マーケティングの新しい時代の入り口に立っています。次回以降の記事では、この変化が具体的にどのように進むのか、「マーケティングの役割の再定義」という観点から掘り下げていきたいと思います。
次回予告
第2回では「マーケティングの役割はどう変わるのか？」をテーマに、生成AI時代におけるマーケターの新しい役割について考えていきます。
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