EC物流とは?取り組むべき課題や効率化のためのコツを紹介

物流業界が「2024年問題」に直面するなか、EC市場の拡大もあり、EC物流の重要性が高まっています。安定したEC物流は、企業の競争力を左右する重要な要素です。しかし、EC物流にはさまざまな課題が存在します。本記事では、EC物流の基礎知識から現状の課題、テクノロジーの活用や物流オペレーションの見直しによる改善策まで詳しく紹介します。

EC物流とは

EC物流とは、ECモールや自社ECサイトを通じて商品を販売するビジネスモデルのなかで、商品を適切に保管し、迅速に梱包・配送して注文者のもとへと届けるまでの、一連の物流プロセスを指します。

主な顧客は個人消費者で、物流の形態が小口化・多頻度化するため、個別対応が求められます。

オンラインで個人向けに販売をするという点では、D2C(Direct to Consumer)と共通する部分もあります。D2Cはメーカーやブランドが仲介業者を介さずに、直接消費者に商品を販売するビジネスモデルです。オンラインの個人向け販売、D2Cのいずれにおいても、物流は顧客満足度やブランドイメージに直結する重要な要素です。迅速かつ正確な配送、適切な在庫管理、効率的な梱包・発送が求められます。

D2Cついて詳しくは、「D2Cビジネスとは?拡大している市場の動向や取り組むメリットを解説」をご覧ください。

EC物流の主な流れは、以下の6つのステップで構成されます。

  1. 受注処理:ECサイトやモールで受けた注文情報を処理する
  2. 在庫管理:適正な在庫量を維持し、商品の在庫状況を管理する
  3. ピッキング:注文された商品を倉庫から取り出す
  4. 梱包:商品を配送に適した状態に包装する
  5. 配送:梱包された商品を注文者へ届ける
  6. 返品交換:返品や交換の要望に対応する

各ステップの最適化とスムーズな連携が、EC物流の競争力を左右する重要な要因となります。

EC物流の現状と求められていること

EC市場の拡大に伴い、EC物流の重要性が高まっています。EC物流では、以下のような要素が求められています。

  • 消費者ニーズの変化による市場拡大
    昨今の感染症の流行を契機として、消費者の購買行動はオンラインへと急速にシフトしました。このような消費者ニーズの変化を受けて、小売業者もECへの対応を迫られています。従来の店舗販売に加えて、自社ECサイトの開設やECモールへの出店など、オンラインでの販売チャネルの強化が不可欠となっています。一方で、EC参入に伴う物流の整備といった課題が浮上しています。
  • 利便性の向上
    在宅で商品を購入できるという利便性は、従来の通信販売でも得られるものでした。しかし、さまざまな分野でECが普及することによって、商品を手軽に購入できることは消費者にとってあたりまえになりつつあります。現在のEC物流には、短期間での配送や、荷物の受け取り方の柔軟な選択肢など、配送プロセスの利便性の向上やさらなる安定性が求められています。

EC物流に迫られている課題

EC物流に求められている要素を見れば、企業による安定したEC物流の運営が欠かせません。そのためには、以下の点を見直すことが重要です。

物流の課題について詳しくは、「物流クライシスとは?物流DXで2024年問題から脱却するには」をご覧ください。

  • 受注業務の効率化
    ECサイトやモールで受けた注文情報は迅速かつ正確に処理することが求められます。受注処理の遅れや誤りは、後工程に大きな影響を与えるため、受注業務の効率化が重要な課題となっています。解決策には、受注処理の自動化や、人的エラーを防ぐためのシステム導入などがあります。
    受注業務の効率化については「受注管理システムの導入で業務プロセスの改善を推進しよう」をご覧ください。
  • 倉庫作業員や配送ドライバー不足への対応
    「2024年問題」で知られている人員不足への対応が急務となっています。倉庫での商品の保管、ピッキング、梱包、配送などのさまざまな工程で人的労働力が必要とされます。業務フローの効率化をはじめ、一連の物流の流れを最適化する、システムを導入して人員不足をカバーする、といった取り組みが必要です。
  • 物流コスト削減の工夫
    輸送費、保管費、人件費など、物流に関連するコストが年々上昇しています。燃料価格の変動、倉庫賃料の上昇、人件費の高騰などが主な要因です。EC事業者にとって、物流コストの増大は利益率の低下につながるため、大きな課題となっています。コスト削減のために、物流拠点の最適化や輸配送ルートの効率化、共同物流やアウトソーシングの活用などが有効です。
  • 在庫管理の複雑
    多品種少量生産が一般的であり、在庫SKU(Stock Keeping Unit(最小管理単位))が増加する傾向です。これにより、在庫の適正配置や、リアルタイムの在庫把握が難しくなっています。在庫切れによる販売機会の損失や、過剰在庫によるコストの増大を防ぐために、高度な在庫管理が求められます。
  • 配送リードタイムの短縮化
    即日配送や時間指定配送への対応が求められるなか、倉庫や配送の業務負担が増大しています。この課題への対応として、倉庫内のレイアウト最適化やピッキング動線の効率化による作業時間の短縮、配送ルートの最適化や配送業者との連携強化による配送リードタイムの短縮などが求められます。
  • 返品・交換対応の増加
    返品・交換対応の増加も、EC物流のコスト増加につながる課題です。返品商品の検品、再梱包、在庫復帰には多くの手間がかかります。この課題に対しては、返品・交換プロセスの標準化と商品バーコードをスマホカメラでスキャンして商品管理を簡単にするといった業務の効率化、返品理由の分析や商品情報の充実による返品・交換の発生率低減などが有効な解決策となります。
    商品管理の電子化について詳しくは「FAXによる受発注業務を電子化するメリットは?移行ステップや成功事例も紹介」をご覧ください。

EC物流を効率化するためのポイント

EC物流を効率化するためには、さまざまな課題を克服しなければいけません。主に以下の項目について対策が必要です。

受注業務の一元管理

ECサイト、店舗、電話など複数の販売チャネルからの受注情報を一元管理することで、在庫状況を正確に把握できます。受注から出荷までの状況をリアルタイムに反映するシステムを導入すれば、過剰在庫や欠品を防ぎ、受注ピークへの対策も立てやすくなるでしょう。

物流倉庫の自動化・省人化

出荷までの物流倉庫では、多くの工程で人的労働力が必要とされます。商品の取り出し、運搬、梱包作業の工程に機械を導入すれば、業務を大幅に効率化できます。ピッキングロボットで商品の取り出し作業を自動化する、AGV(Automatic Guided Vehicle(無人搬送車))で倉庫内の運搬作業を自動化する、自動梱包機で梱包作業を機械化するなど、従来は人手で行われていた作業を自動化するのです。それにより、作業時間の短縮と人的エラーの削減が実現します。

自動化技術の導入には初期投資が必要ですが、長期的には人件費削減や作業効率向上によるコスト削減効果が期待できます。ただし、導入にあたっては、現場の状況に合わせた最適な技術の選定と、物流プロセス全体の見直しが不可欠です。

AIやビッグデータを活用した需要予測と在庫最適化

EC物流では、多品種少量生産が一般的であり、在庫SKUが増加する傾向にあります。そのため、在庫の適正配置や、リアルタイムの在庫把握が難しくなっています。AIやビッグデータを活用することで、過去の販売データやトレンド分析に基づく高精度の需要予測が可能です。この需要予測に基づいて在庫の適正配置を行うことで、在庫切れと過剰在庫のリスクを同時に低減できます。

 物流オペレーションの見直し

顧客ニーズの変化により、配送リードタイムの短縮化や、物流コストの削減が重要な課題となっています。最終配送拠点から顧客のもとに届けるまでの配送区間(ラストワンマイル配送)の整備や、配送拠点の最適配置により、配送時間の短縮を実現できます。また、物流拠点の集約化や、配送ルートの最適化により、燃料消費と配送時間を削減し、コスト効率を向上させることも可能です。

アウトソーシングとパートナーシップの強化

EC物流の効率化は、自社だけでの実現は困難な場合も多く、外部リソースの活用も重要となります。外部リソースを活用すれば、自社リソースを物流オペレーションに集中させつつ、システムの安定性や拡張性を確保できます。物流代行サービスを活用して初期投資を抑え、高品質の物流サービスを提供することも可能です。

また、テクノロジー企業やデータ分析企業などとのパートナーシップにより、高度な分析能力や最新技術を物流オペレーションに導入することができます。アウトソーシングやパートナーシップを活用する際は、自社の戦略や目的に合ったパートナー選定と、密接なコミュニケーションを図ることが重要です。

EC物流の効率化が顧客満足度向上と企業成長のカギ

物流業界が「2024年問題」に直面するなか、効率的で最適化されたEC物流の実現は、企業にとって喫緊の課題です。高品質な物流サービスを提供し、顧客満足度を向上させることは、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得にも好影響を与えます。つまり、EC物流の改革は、顧客ロイヤルティの向上と、売上の拡大につながるのです。EC物流を見直し、サービスレベルと顧客満足度を向上させることで、企業は競争力を高めることができるでしょう。