忙しさの中で気づいた、AIの“やさしい力”
こんにちは、DXGO編集部&ユーザックシステム マーケティング本部の大崎です。
今回の実践ブログは、これまでのマーケティング(ビジネス)寄りのシリーズとは少しトーンを変えて、全4回でお届けする“花と生成AI”の小さな実験記の第2回です。
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私は平日、デスクワーク中心の仕事をしていますが、週末は花を束ねています。
季節ごとに仕入れた花を整え、人に届ける──
そんな時間が、私にとって心を整える大切なひとときです。
花を扱う仕事の中で、生成AIというテクノロジーと向き合うようになって、
「感性とAIは、本当に違うものなのだろうか?」と考えるようになりました。
そして、使い続けるうちに気づいたのは、AIには“やさしい力”があるということです。
花屋の仕事は、見た目の華やかさとは裏腹に、毎日が時間との戦いです。
私の花屋には店舗はありません。毎週金曜日の早朝に市場へ仕入れに行きます。
まだ街が静まり返る時間帯、冷たい空気の中で花を選び、
帰宅してすぐに下処理と水揚げを始めます。
花を休ませる時間を見計らいながら、同じ金曜日の午後には最初の発送やお届けが始まり、
翌日の土曜日も引き続き発送作業を行います。
短い時間の中で花の状態を見極め、組み合わせを決め、梱包を整える。
一つひとつの工程が連続していて、どこかで遅れれば、すぐに次の作業に響いてしまう。
そんな緊張感の中で、週末のリズムが回っていきます。
その合間に、SNS投稿の文章を考えたり、花の紹介文を整えたりする時間をつくるのは簡単ではありません。
「もっと花の魅力を言葉で伝えたい」と思いながらも、気づけば日が暮れている。
きれいな写真を撮っても、伝えたい言葉が浮かばず、下書きのまま止まってしまうこともありました。
そんなある日、生成AIを試してみることにしました。
最初はほんの思いつきでした。
「花の紹介文を一緒に考えてみようか」 そんな軽い気持ちで。
でも、使ってみると、思いがけない発見がありました。
AIが提案する文章の中には、自分では使わないような表現や比喩がありました。
“春を運ぶ風のような花束”
“花びらの重なりが時間を包み込むように”
その言葉たちを見て、私は思わず笑ってしまいました。
「AIなのに、なんだか人間っぽいな」と。
もちろん、そのまま使うことはありません。
でも、AIがくれた言葉が小さな“種”のように心に残り、
そこから自分なりの言葉が芽吹くことがあるのです。
AIは、私の代わりに考えるのではなく、考えるきっかけをくれる存在だと気づきました。
AIに下書きを任せるようになってから、少しだけ余裕のある呼吸ができるようになりました。
わずかな時間の中で、花の並べ方を見直したり、色のバランスを調整したりできる。
そんな“余白”が生まれただけで、日々の仕事が穏やかに感じられるようになりました。

AIは、私の仕事を奪うのではなく、“感性を取り戻す時間”を返してくれる。
そのことに気づいたとき、私はAIに対しての見方ががらりと変わりました。
ある夜、花の撮影を終えたあと、疲れた気持ちのままAIに「今日の投稿文を一緒に考えて」と打ち込みました。
するとAIは、まるで私の心を察したかのように、こう返してきました。
「今日は花たちも、少しおやすみしたい夜かもしれませんね。」
たった一文なのに、心の奥にじんと響きました。
AIには感情がないとわかっていても、その言葉の選び方に、どこか“人のあたたかさ”を感じたのです。
そのまま投稿に使ったところ、翌日こんなコメントをもらいました。
「なんだか優しい気持ちになりますね。」
AIと私の間で生まれた小さな“やさしさ”が、画面の向こうの誰かに届いた瞬間でした。

AIのすごさは、正確さやスピードだけではありません。
本当の価値は、人の心を整えてくれる“間”をつくることにあると思います。
AIがもたらす余白の中で、私はもう一度“感じる力”を取り戻せた気がします。
花もAIも、人の感性に寄り添う存在。
焦る心をやわらげてくれるという点では、どちらもとても似ています。
AIのやさしい力は、目に見える成果ではなく、心の中に静かに広がる安心感として残っていくのです。
AIは、人の心を冷たくするのではなく、むしろ“あたためる”存在になれる。
そして、そのやさしさを見つけるかどうかは、使う人の“観察の仕方”次第なのかもしれません。
次回は、「AIと共に、感性を磨くということ」についてお話しします。
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DXGO編集長:大崎の実践ブログ
