DXとIT化との違いは?事例とともにわかりやすく紹介

多くの企業が DXの推進に力を入れていますが、IT化(デジタル化、デジタイゼーション)とDXを混同している場合も少なくないようです。DXとIT化には深い関係はありますが、両者は異なります。

ここでは、IT化とDX、それぞれの概要と違いを、事例を交えて紹介します。

IT化とは?

ITとは「Information Technology:情報技術」の略称です。情報をデジタル化して入手・保存・伝達するための技術を指します。この場合の情報とは、文字・音楽・音声・画像・動画、およびそれらを組み合わせたものです。それらの情報を扱うためには、ハードウェア・ソフトウェア・通信技術の3つを組み合わせて使用します。

現在では、スマートフォンやネットショッピング、電子マネーや交通系ICカードなど、日常生活にも多くのIT技術が取り入れられているのはご存知でしょう。 日常生活だけでなく、オフィスや工場、物流の現場など、さまざまな業務プロセスにおいてもIT化が進んでいます。

業務のIT化とは

業務のIT化とは、業務プロセスや業務フローにITツールやシステムを取り入れ、アナログ作業をデジタル化することです。

ITツールの導入やデジタル化による情報の一元管理により、インターネットを用いた業務が容易になります。モバイル端末を利用した業務も広がり、テレワークにも対応しやすくなります。

ビジネスでのIT化は主に「業務効率化」を目的として、さまざまな部署で進められています。

業務のIT化によるメリット

業務をIT化することで、次のふたつが実現します。

  • 情報のデジタル化
  • 業務の自動化

これらは、業務にいくつものメリットをもたらします。例えば、次のようなことです。

  • 情報のデジタル化と一元管理
    情報をデジタル化してデータベースに一元管理することで、情報の保存や共有、検索、加工などの管理が容易になり、必要な情報を素早く入手できるようになります。業務プロセスのデジタル化が進むと、紙の書類を介さず処理できるため、ペーパーレス化が実現します。
  • 業務を自動化することによる業務効率の向上
    業務の自動化により処理速度が上がり、作業時間が削減できます。人による作業が減るため、人的ミスの削減や人件費の削減につながります。
  • 生産性向上
    業務効率が向上すれば、同じ作業時間でも生産量が増え、生産性が向上します。その結果、利益の向上につながります。
  • DXの推進
    情報のデジタル化と業務プロセスのデジタル化は、DXを大きく進めます。

IT化(デジタル化、デジタイゼーション)のメリット・効果については、「アナログのリスクとは?デジタル化(デジタイゼーション)を進めるためのポイント」や「デジタイゼーションとは?デジタライゼーション・DXとの違いや具体例を解説」もご参照ください。

業務のIT化の事例

業界別に、IT化の事例を紹介します。

  • 公共交通機関
    「Suica」をはじめとするICカードの導入により、乗車券を購入する時間や手間を省き、素早く電車に乗ることができるようになりました。
    また、多くの交通機関ではWebサイトやスマートフォンアプリで、リアルタイムで運行・運休の情報を公開しています。乗客は事故や遅延情報を容易に入手でき、トラブルにも対応しやすくなりました。
  • 教育
    多くの小中学校や高校では、1人1台タブレットを配布して授業や宿題に活用し、生徒の自主学習や予習復習、授業に関する連絡などにも利用しています。
    また感染症予防のために、登校自粛期間中は、教員が学校から動画配信で授業を行ったり、オンラインで教材を配布したりしている学校も多くありました。
  • 医療
    オンラインでの遠隔診察や治療は、地方や高齢者を中心に少しずつ広がっています。オンライン診療があったおかげで、新型コロナウィルス感染症での受診がスムーズだったケースも見られました。また、患者のカルテや症例の情報を電子化して共有しやすくするといったIT化は、多くの病院で行われています。
  • 自動車産業
    自動車メーカーでは、AIやIT・ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を活用した、自動運転や安全装置の開発が進められています。
    自動運転については、特定の条件下ではシステムが運転することが可能になりました。安全装置については、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)搭載の車種も増えてきています。

DXとは?

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称です。”Transformation” は「変化、変形、変容」といった意味を持ちます。

企業の業務や業務プロセス全体をデジタル化して、製品、サービス、ビジネスモデルなどの変革を進め、新しい価値を顧客に提供して、企業の競争力優位性を確立することがDXの定義です。デジタル化、つまりIT化は、DXを進める際に必要な手段であるといえます。

DX について詳しくは「【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで」をご覧ください。

IT化はDXを推進する手段

上述したように、IT化は、DXを推進するために必要な手段です。

しかし、ただIT化を進めればよいというわけではありません。DXによって企業が変化し、新しい価値をつくり出さなければならないのです。

DXがもたらす新しい価値には、主に次の3点が言えます。

  • 新たな製品・サービス、ビジネスモデルのように、顧客にとっての新しい価値
  • ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方など、従業員にとっての新しい価値
  • 顧客や従業員への新しい価値提供による、企業の価値、競争力の向上

新しい価値創造に成功したDXの事例

DXにより創出される新しい価値にはどのようなものがあるのでしょうか。DXの成功事例を3つ紹介します。

  • 生産性の向上に成功した事例
    大塚製薬と日本IBMの合弁会社である大塚デジタルヘルス株式会社は、精神科電子カルテに特化したデータ分析ソリューション「MENTAT」を提供しています。「MENTAT」を導入した病院では、精神科領域で電子カルテに記載された情報の多くがデータベース化されました。
    蓄積された膨大なデータから、症状、病歴、治療歴などの必要な情報を容易に引き出すことが可能になり、患者やその家族へ、より迅速かつ適正な医療の提供が実現しています。
  • 新しいサービスの開発に成功した事例
    「家庭教師のトライ」を運営する株式会社トライグループは、映像授業サービス「Try IT」を提供しています。「Try IT」は動画を利用した個別学習で、生徒は好きな時間と場所で、自分のペースで授業を受けることが可能です。
    さらに、次のようなさまざまな利便性が提供されています。
    ・学習進度の可視化が可能
    ・キーワードから自分のレベルや弱点に合わせて必要な授業を検索可能
    ・授業の動画を1.4倍速で再生可能
    ・スマートフォンから直接、教師へ質問が可能
  • リモート環境の確立に成功した事例
    富士通株式会社は、全従業員が働く時間や場所にしばられずに柔軟な働き方ができる、新しい働き方のコンセプト「Work Life Shift」を発表しました。その実現に貢献しているのが、ITソリューション「FUJITSU Work Life Shift」です。
    このソリューションは、ワークフローシステム、コミュニケーションツール、勤怠管理システムなどの機能を提供し、オフィスと変わらないリモートワーク環境を可能にしています。

IT化はDX推進に不可欠

DXを推進するには、まずはIT化が必須です。しかし、IT化イコールDXというわけではありません。

DXを進めるには、レガシーシステムの刷新やペーパーレス化、業務の自動化などのIT化を進めて、その結果をふまえて企業全体を変革します。変革によって創出した新しい価値を顧客や従業員に提供し、企業の競争力を高める必要があるのです。

DXは変化を伴うため、実現には相応の時間を要します。まずは経営陣が、DXの推進とその結果について中長期的なビジョンを描き、そこに向かって一歩一歩進めていくことが大切です。

参考リンク:業務効率を向上させるユーザックシステムのソリューション

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