ChatGPTの使い方|中小企業の業務改善に役立つ具体例と導入のヒント

DX推進の一環として、ChatGPTをはじめとする生成AIに注目が集まっています。これまでは大企業が先行してきた分野ですが、実は中堅・中小企業にとっても大きな効果が期待できるテクノロジーです。

ChatGPTは、アイデア出しや文章作成、要約など、日々の業務に直結するタスクを支援できる強力なツールです。本記事では、ChatGPTの概要に触れつつ、業務にどう活かせるのか、導入に向けた具体的な活用法を紹介します。

1. ChatGPTとは?

ChatGPTは、OpenAIが開発した大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)をベースとした生成AIです。ユーザーが入力した文章(プロンプト)に対して自然な文章で回答を返すことができるため、チャット形式でのAIアシスタントとして注目されています。

特にGPT-4や最新のGPT-4oでは、日本語の精度や処理速度も大きく向上しており、業務利用にも耐えうるレベルに達しています。たとえば、議事録の要約、報告書の草案作成、FAQの自動生成、文章のトーン調整など、あらゆる業務に応用可能です。

ChatGPTには無料版(GPT-3.5)と、有料のChatGPT Plus(GPT-4)があります。無料でも十分に使えますが、業務に使うなら最新モデルの導入を検討すると良いでしょう。

ChatGPTの構造や仕組みについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください


ChatGPTとは?チャットボットとの違いや仕組み、活用例などをわかりやすく紹介
https://usknet.com/dxgo/contents/dx-trend/what-is-chatgpt-easy-to-understand-introduction

2. ChatGPTの基本的な使い方

ChatGPTは、OpenAIが提供するチャット形式の生成AIツールで、ビジネスでも幅広く活用されています。2025年7月時点では、無料ユーザーでも最新のGPT-4oモデルを利用可能であり、以前のような「無料はGPT-3.5限定」という制約は撤廃されています(ただし一部機能・トークン上限などに差はあり)。

【ChatGPTの始め方】

– ChatGPT公式サイト(https://chat.openai.com)にアクセス
– OpenAIアカウントを作成(Googleアカウント等で簡単に登録可能)
– ログイン後、画面下部の入力欄にプロンプト(指示文)を入力するだけで利用できます

業務利用を前提とする場合は、以下の3点が重要です:

1. 目的を明確にする:「誰に・何を・どのように伝えるか」を意識する 
2. 出力形式を指定する:「箇条書きで」「200文字以内で」など形式の要望を明記する 
3. 再指示を活用する:「もう少し柔らかく」「論理的に説明して」など追加修正で精度を上げる 

また、用途や処理性能に応じて複数のモデルが選べるため、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。

【モデル別おすすめ用途】

モデル名特徴と用途
GPT-4o標準モデル。高速・高精度・マルチモーダル対応で業務全般に最適
o3高度な推論が必要なタスク向け。複雑なロジック処理に適する
o4-mini軽量・高速。チャットボットや簡易な業務補助に最適
o4-mini-highコーディングや画像・視覚的処理を含む業務向けのバランスモデル
GPT-4.5(プレビュー)調査・アイデア出しなど思考支援に強い。Web検索型の業務にも活用可能
GPT-4.1 / 4.1-mini分析・コード生成、日常タスクの高速処理に最適

【無料ユーザーと有料ユーザーの違い】

項目無料ユーザーChatGPT Plusユーザー(月額20ドル)
利用できるモデルGPT-4o(制限あり)GPT-4o(制限緩和)、GPTs、画像・音声対応可
トークン・処理上限少なめ(1日あたり制限あり)多め(業務利用に十分な性能)
ファイル・画像・音声アップロード使用可(軽微な制限あり)高精度での処理が可能
カスタムGPT(GPTs)作成使用可使用可(保存数・実行性能に差あり)
エージェント機能(2025年7月〜)未提供または制限的提供開始・順次展開中

2024年5月に登場したGPT-4oは、音声・画像・コード・テキストを一体で処理できるマルチモーダルAIとして注目を集めています。従来のGPT-4よりも高速で軽量なモデルで、無料プランでも利用可能です(利用量には制限があります)。

3. ChatGPTの最新機能と進化(エージェント・プロンプト)

エージェント機能とは?

2025年7月に発表された「エージェント機能」は、ChatGPTがユーザーの指示を待たずに自律的にタスクを実行できるようになる機能です。たとえば、「週次レポートを作成して、関係者に送っておいて」という指示を1回出せば、関連情報を集め、整形し、指定相手に自動送信するまでをAIが完了できます。

主な機能:
– 自律的なToDo処理の実行
– ファイル操作・メール送信・API連携などの自動化
– タスクの例外処理や中断・再開などの柔軟な対応

【エージェント機能の主な特徴】

機能内容
自律処理タスクを自ら分解し、順に処理を進める
外部連携APIや外部アプリケーションとの接続が可能
状況適応処理エラーや例外に対して分岐処理を実行
業務シナリオへの応用問い合わせ対応、RPA連携、ワークフロー自動化など幅広い用途に対応

プロンプトで選べる便利機能の使い方

ChatGPTでは、プロンプトの右上メニューから目的に応じた機能を選択することができます。以下はその代表例です。

① Deep Research(ディープリサーチ)
外部情報をAIが深く調査し、信頼できるソースに基づいた情報を整理して提供する機能。市場調査や競合比較などに有効です。

② Webを検索
ChatGPTの内蔵ブラウジング機能を使って、最新のインターネット情報を検索して回答に反映する機能です。

③ 画像を作成
プロンプトから直接画像生成(DALL·Eベース)を行うことができ、バナー、イラスト、サムネイル作成に役立ちます。

④ Canvas(キャンバス)
図・フローチャート・レイアウト設計などを視覚的にAIと共同作業できる新しい機能です。

4. 中小企業での活用アイデア10選

【業務別 ChatGPT 活用例一覧】

部門活用例入力プロンプト例得られる出力イメージ
管理部門社内文書のトーン調整退職メールを丁寧に書きたい丁寧な文面
営業部門提案資料のたたき台物流業向けのDX提案書を構成から考えてセールス文案、構成案
経営者スピーチ文案30周年記念パーティの社長挨拶を考えて感謝と展望のある挨拶文
総務部門社内規定のQ&A化育休規定のポイントだけ要約してQ&A形式の読みやすい説明
カスタマーサポートFAQのたたき台よくある質問への回答例を10個自然で丁寧な回答テンプレート
マーケティング部門SNS投稿文の作成Instagramで季節の花を紹介する文章を考えてカジュアルで親しみやすい投稿文
情報システム部門社内ヘルプボットの構築よくあるPCトラブルへの対応方法をQ&A形式でまとめてITサポート用の自動応答テンプレート
企画部門アイデアブレスト支援社内イベントのユニークな企画を10個考えて斬新な案の箇条書きリスト
管理者全般議事録の要約以下の議事録を3つの要点にまとめて箇条書きの要約
全社共通メールの文面チェック催促メールを柔らかく書き直して印象の良いトーンで整えたメール文

5. 活用にあたっての注意点

ChatGPTは非常に便利なツールですが、いくつか注意すべき点もあります。

  • 正確性の確認が必要:ChatGPTは事実を生成するのではなく「もっともらしい文章」を出力する仕組みです。特に数値や法務系の情報は必ず裏取りをしましょう。
  • 機密・個人情報の入力禁止:社内の機密情報や顧客情報は入力しないことが基本です。
  • 人の判断を必ず入れる:出力内容は必ず人が最終確認し、「そのまま使わない」運用を徹底しましょう。

また、ChatGPTは「正しそうに見える嘘(ハルシネーション)」を生成することがあります。これは、AIが“それらしく”文章を出力する特性によるものです。特に法律、医療、契約文書などの業務では、AIの出力をそのまま使わず、必ず人がチェック・修正を加えるフローが必要です。あくまで「ドラフト支援」や「たたき台生成」として使う姿勢が大切です。

ハルシネーションについては、以下の記事も参照ください。


ハルシネーションとは?生成AIを利用するリスクと対策を考える
https://usknet.com/dxgo/contents/dx-technology/what-is-hallucination/

6. ChatGPTを業務に定着させるには

生成AIを一時的なブームで終わらせず、業務に定着させるには以下の工夫が重要です。

  • 社内ルールの策定:「使ってよい業務範囲」「入力NGな内容」「使い方の教育」など、基本的な方針を明文化しましょう。
  • 既存ツールとの併用:ChatGPTは単独で使うより、メール、Excel、RPAなどと組み合わせることで効果を発揮します。
  • 現場の成功体験を広げる:1人の「うまくいった事例」をチーム全体に共有し、水平展開するのが最も効果的です。

特に、社内で“成功体験”を持つチームが出ると、他部門にも導入が広がりやすくなります。共有フォルダや社内Wikiに「活用例」や「よくあるプロンプト例集」をまとめておくと、使い方が標準化され、効果も定量化しやすくなります。

7. 導入ハードルを乗り越える3つのコツ

ChatGPTを業務で活用するには、「実際に社内で定着させること」が最大のハードルです。以下の3つのコツを押さえることで、導入がスムーズに進みます。

1. 小さな業務から始める 

まずは「定型メールの文案作成」「議事録の要約」など、比較的シンプルな業務から導入しましょう。成果が見えやすく、チームの理解も得られやすくなります。

2. 社内で“使ってよい場面”を明確にする 

「この業務には使ってOK/これはNG」など、線引きを明確にすることで、安心して使える環境が整います。総務や情報システム部門と連携し、簡単な運用ガイドをつくると効果的です。

3. 社内共有とノウハウの見える化 

うまく使えた事例をSlackや社内ポータルに投稿したり、“プロンプト事例集”を作っておくと、他部署にも活用が広がりやすくなります。「成功体験の見える化」が最大の推進力になります。

8. まとめ

ChatGPTは、個人利用にとどまらず、業務全体の効率化を支える大きな武器となります。中堅・中小企業でも、小さな業務から始めて、少しずつ業務全体に広げていくことがポイントです。業務の未来を見据え、生成AIと業務自動化を掛け合わせたDX推進を始めてみませんか?

9. Autoジョブ名人にも搭載!生成AIの業務活用

当社が提供するRPAツール「Autoジョブ名人」でも、最新バージョン(Ver.8.0)においてChatGPTを搭載しました。

現在はRPAとは連携せず、単体での利用となりますが、社内FAQ対応、文書のトーン調整、議事録要約など、さまざまな業務で活躍しています。
将来的には、RPAとの連携により、スクリプトの自動生成やエラー修復の支援を実現し、「自律的に業務改善を進めるAI×RPA」の世界を目指しています。
Autoジョブ名人の生成AI機能では、社内マニュアルやFAQを読み込ませて、AI社員によるナレッジ共有も可能です。たとえば、「育児休暇制度について総務AIに尋ねる」ことで、就業規則から要点を自然文で回答してくれます。現場の問い合わせ対応や調査作業を大幅に削減できるため、生産性の底上げにも直結します。

ChatGPT搭載のAutoジョブ名人について、詳しくはこちらをご覧ください。

→Autoジョブ名人 製品紹介ページ
https://www.usknet.com/services/autojob/