DX推進に役立つ資格おすすめ10選!求められるDX人材についても紹介

2025年の崖を回避するためだけでなく、人材不足や企業間競争の激化などさまざまな課題を解決するためにも、企業ではDX推進が求められています。DXを推進するには専門的な知識・スキルを有するDX人材が必要です。

本稿ではDX推進に必要なDX人材について紹介するとともに、DX推進に役立つおすすめの資格や資格取得のために企業ができることなどを紹介します。

2025年の崖について詳しくは、「2025年の崖とは?意味と企業への影響、克服するためにすべきことを紹介」をご覧ください。

求められるDX人材とは

DX推進にはDX人材が必要です。DX人材とはどのような人材のことでしょうか。

DX人材の定義

経済産業省のDXレポート2において、DX人材について下記のように定義されています。

”自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材”

引用: DXレポート2|経済産業省

デジタル技術の進化に伴いビジネス環境が大きく変化しつつある中、企業として優位性を持つためには、DX推進が必須です。それには、自社のビジネスを熟知し、データやデジタル技術について専門知識を持つDX人材が必要となります。

日本では多くの企業でDX人材が不足しており、DX推進を遅らせる要因の一つとなっています。

DX人材の確保・育成が急がれる中、その指針として経済産業省が取りまとめたものが、「デジタルスキル標準」です。企業においてDX人材の確保・育成を図る際、参考にしたい基準です。

デジタルスキル標準は、この後紹介する「DXリテラシー標準」と「DX推進スキル標準」で構成されています。

参考:デジタルスキル標準ver.1.1 2023年8月(PDF) | 情報処理推進機構 経済産業省

DX推進に必要な人材については、「DXを推進するために必要な人材と自社でDX人材を確保するためのポイント」も参考になります。ぜひご覧ください。

DXリテラシー標準

DXリテラシー標準とは、DXに関する知識やスキル、考え方などについて、すべてのビジネスパーソンが身につけるべき基準を示したガイドラインです。学ぶべき学習項目についても示されています。

下記は、DXリテラシー標準の全体像を表した図です。

画像引用:デジタルスキル標準ver.1.1 2023年8月(PDF) | 情報処理推進機構 経済産業省

DX推進スキル標準

DX推進スキル標準とは、DX推進に必要なDX人材に求められる役割・スキルのガイドラインです。具体的にはDX推進に必要なDX人材のうち、主な人材である5つの人材類型について説明されています。

  • ビジネスアーキテクト

目標を設定し、関係者のコーディネートや関係者間の共同関係構築をリードする人材

  • データサイエンティスト

データの収集・解析、その仕組みの設計・実装・運用をする人材

  • サイバーセキュリティ

サイバーセキュリティリスクに対する対策をする人材

  • ソフトウェアエンジニア

DX推進の中で新しく創出した製品・サービスにおけるシステム・ソフトウェアの設計・実装・運用をする人材

  • デザイナー

さまざまな視点から製品・サービスの方針・開発プロセスを策定し、その結果をデザインとして反映する人材

DX推進のため、企業においてはデジタルスキル標準を活用し、DX推進を担うDX人材の確保・育成していく必要があります。また、DXをスムーズに進めていくために、全社員のDXリテラシー向上に取り組むことも大切です。

その第一歩として、まずはそれぞれのレベルや役割に合った資格取得を目指させるのも一つの方法です。DX推進に役立つおすすめの資格を、この後紹介します。

DX推進に役立つおすすめの資格

DX推進に役立てられるおすすめの資格10選を紹介します。

  • DX検定

概要:ビジネスへデジタル技術を利活用する人材を対象に、先端IT技術やビジネスのトレンドを幅広く問う検定です。スコアによってプロフェッショナル、エキスパート、スタンダードに分けられます。2023年7月に実施された第11回検定では、最も難易度の高いDXプロフェッショナルは合格率4.1%、最も難易度の低いDXスタンダードでも合格率14.5%。難易度としては高いといえます。

主催:日本イノベーション融合学会

試験日程:毎年1月・7月

公式サイト:DX検定

  • デジタルトランスフォーメーション検定

概要:「DXオフィサー認定試験」「DX推進アドバイザー認定試験」の2種類があります。前者はDX推進に携わるCDO(最高デジタル責任者)やCDXO(最高DX責任者)などのリーダーに必須のDXの基礎知識が問われ、後者はCDOやCDXOにアドバイスするために必要なDXの知識やDX人材の在り方などについて問われるものです。

主催:一般財団法人・全日本情報学習振興協会

試験日程:随時

公式サイト:デジタルトランスフォーメーション検定

  • +DX認定資格

概要:一般的にビジネスパーソンが持っている能力やスキルに加えてDX推進に必要な知識を問われます。IT分野以外のビジネスパーソンが対象です。

主催:IoT検定制度委員会

試験日程:通年

公式サイト:+DX認定

  •  ITパスポート試験

概要:ITに関する新しい技術・手法の概要や、経営全般・IT・プロジェクトマネジメントの知識など幅広く問われます。DX推進の基礎的知識を身につけていることが証明できる国家試験です。合格率は50%前後と、難易度としてはそれほど高くも低くもありません。

主催:情報処理推進機構(IPA)

試験日程:随時

公式サイト:ITパスポート試験

  • AWS認定試験

概要:AWSとはAmazonが提供するクラウドコンピューティングのことで、世界中で利用されています。AWS認定試験はこのAWSについての知識やスキルを認定するもの。難易度別と専門分野別で全12種類の試験があり、社員のスキルや使用する分野に合わせて受けてもらうことも可能です。

主催:Amazon

試験日程:随時

公式サイト:AWS認定

  • データベーススペシャリスト試験

概要:IPAが主催する国家資格「情報処理技術者試験」のひとつ。その中でも最難関に分類されます。データベースに関する知識、ビッグデータの活用が可能であることを示すもので、IT業界内の認知度・信頼度が高い試験です。

主催:独立行政法人情報処理推進機構

試験日程:年1回10月

公式サイト:データベーススペシャリスト試験

  • ネットワークスペシャリスト試験

概要:IPAが主催する国家資格「情報処理技術者試験」のひとつ。情報処理技術者試験の中でも難易度が高く、データベーススペシャリスト試験と同レベルとされます。ネットワークに関するセキュリティ・サービスについて広範囲を問われ、ネットワーク分野において指導的立場で主導権を持ち、活躍することが可能なレベルの資格です。

主催:独立行政法人情報処理推進機構

試験日程:年1回4月

公式サイト:ネットワークスペシャリスト試験

  • プロジェクトマネージャ試験

概要:IPAが主催する国家資格「情報処理技術者試験」のひとつ。前出の2つの試験と同じく最高難度に分類される資格です。名称どおり、システム開発のプロジェクトを管理するための専門的な知識を有することが求められます。

主催:独立行政法人情報処理推進機構

試験日程:年1回10月

公式サイト:プロジェクトマネージャ試験

  • ITストラテジスト試験

概要:IPAが主催する国家資格「情報処理技術者試験」のひとつで、システム開発において、経営者視点で戦略を立案し、実行を主導する専門職です。この試験に合格することで、IT活用により事業革新・改革によって企業競争における優位性を目指せる人材であることが証明されます。こちらも情報処理技術者試験で最難関レベルに分類されます。

主催:独立行政法人情報処理推進機構

試験日程:随時

公式サイト:ITストラテジスト試験

  • ITコーディネータ

概要:ITコーディネータとは、ITと経営の知識を有し、経営的視点でIT活用を支援する専門家のことです。この資格を取得することで、IT経営のプロフェッショナルとして、ITサービス導入から運用までのトータルコーディネートが可能であることを示すことができます。合格率は50%台から70%台と幅がありますが、極めて高いとも極めて低いとも言えない難易度です。

主催:ITコーディネータ協会

試験日程:随時

公式サイト:ITコーディネータ協会(ITCA)

DX関連資格取得を企業が推進する際のポイント

企業が社員の資格取得を推進する際のポイントを3つ紹介します。

資格取得に対する目的の共有

DX推進の必要性や推進のために求められる人材像を整理し、どの資格が有効か企業として明確にしたうえで、社員にも共有しましょう。その際、社員の意見にも耳を傾け、企業ビジョンと社員の望むキャリアプランを考慮した、双方にとって有益な取得計画を考えていくことも大切です。

社員が資格取得へ積極的になる制度の整備

社員が自発的に資格を取得したいと思うような制度作りも必要です。奨励制度や資格取得の補助を設けることで社員の取得に対するモチベーション向上が期待でき、自発的に取り組むことが期待できます。

社員が資格取得しやすい環境づくり

関連部門・チームと連携し、資格取得に対し全社で積極的に取り組むと効果が出やすいでしょう。資格取得には勉強時間が必要となりますが、日々業務をする中でまとまった時間を確保することは困難です。社内で専門の講師による研修や年間通じた研修カリキュラムを準備するなど、企業としても勉強の場を提供し、資格取得を支援しましょう。

また、取得した資格が無駄にならないよう、取得後も継続的なフォローが必要です。資格を活かした業務を担当させ、社員のフォローをしつつ企業へ還元させましょう。

社員がDX関連の資格を取得することは、企業にとっても有益

DX推進にはDXについての知識や自社ビジネスへ理解を有するDX人材が不可欠です。専門知識のある人材を外部から採用する方法も考えられますが、自社のビジネスについて理解のある既存社員にDXについての知識を身に付けてもらう方法もあります。

その際、検討したいのが資格の取得です。DX推進に資格が必須というわけではありませんが、資格取得のための勉強は、DXに関する知識・スキルを身に付けるためにも有効です。

ただし社員個人任せにせず、企業として積極的に社員の資格取得のサポートをしていくことで、必要なDX人材をより早く多く確保できる可能性が高まります。ぜひ積極的に取り組まれてはいかがでしょうか。 なお、新たな業務を遂行するために、必要な知識・スキルを習得することをリスキリングといいます。DX推進のためのリスキリングについては、「リスキリングとは?DX推進のための人材確保に不可欠な戦略」をご覧ください。