株式会社東京鳩居堂 様
FAX受注業務をスマホアプリでデジタル化! 業務量が大幅減、接客にも大きな効果を生む。
文具業界の課題の一つ、FAX受注業務の改善に取り組む

文具業界の課題の一つにFAX受発注業務のデジタル化がある。FAXを使った受発注における問題点は、手書きのため文字が判読しにくい場合があることや、入力作業の手間と人為的なミス。これらの課題を解決するため、作業のデジタル化に取り組んでいるのが東京鳩居堂だ。
同社が、FAX受発注業務のデジタル化をどのように実現したのか、同社経営企画部の増澤圭祐副長に聞いた。
※本記事は文具業界紙「ステイショナー」より許諾を得て掲載しています。転載元:ステイショナー 2025年2月25日掲載記事より転載
1663年に京都で創業、和の香りを今に伝える老舗企業
鳩居堂の歴史は古く、1663年に京都で創業。当時は薬やその原料を扱う薬種商を営んでいた。その後、薬の原料からさまざまな香りがすることに目をつけ、そこから「お香」を作り始めたという。
創業当時から宮中(天皇家)との関わりも深く、多くの商品を届けていた。江戸時代が終わり、京都から東京へと都(皇居)が移転したことに合わせて、引き続き宮中にも商品を届けられるようにと、1880年には東京鳩居堂として東京・銀座に出店。現在では銀座本店のほか、渋谷店、新宿店、池袋店、横浜店の計5店舗を展開しているほか、京都鳩居堂が京都に本店を構えている。
また、公式のオンラインショップ「鳩居堂オンラインショップ」と「鳩居堂楽天市場店」も開設。加えて、卸事業として文具店・書店など約100店舗と取引を行っている。取り扱い商品は、特に力を入れている「お香」をはじめ、墓参りや仏壇などで使う「お線香」、良い香りのする「匂袋」、そして近年は火を使わずに手軽に香りを楽しめる「リードディフューザー」など香りに関する商品を開発・販売しているほか、書画用品、和紙や和文具(はがき、便せん、封筒、ぽち袋、和小物ほか)、和雑貨も販売している。


FAX注文書の課題

-受発注業務にユーザックシステムの業務アプリ「Pittaly Order(ピッタリーオーダー)」を導入されたと聞きましたが、以前は手書きの発注書をFAXで送信していましたか
増澤:それまで商品の発注業務については、各支店が専用の発注書に手書きで記入して本部にFAXで送っていました。発注書には品名、数量、単価、金額、合計を手書きで記入していましたが、手書きなので文字が判別しにくいことや、価格の間違いが発生していました。
FAX受注業務改善のためスマホアプリ「Pittaly Order」を導入。想像していたよりも簡単で、導入コストも魅力的。

-そういった悩みがあり、FAX受注業務をデジタル化したいと考えたわけですね。「ピッタリーオーダー」を導入したきっかけを教えていただけますか
増澤:きっかけは、エムディーエス様の商談会「文具チャンネルマーケット」でした。商談会では受注業務をデジタル化していると伺いまして、どのように運用されているのかを見学に行きました。その受注会で使われていたのは、スマートフォンで発注業務を行うユーザックシステムの業務アプリで、簡単に低コストで導入できることを知りました。
発注側はスマホのカメラで商品のバーコードを読み込み、数量を入れて送信するだけで発注が完了します。また発注履歴をスマホで確認することも可能です。受注側はクラウドで注文データを確認・処理できます。これなら当社にも導入できそうだと感じ、その業務アプリ「ピッタリーオーダー」を実際に使ってみようということになり、試験的に支店1店舗から本部への発注業務で運用してみました。
試用期間は2週間弱でしたが、これなら使えるとの判断に至りまして、都内の3店舗と神奈川の1店舗において、昨年11月半ばから本格的な運用に入りました。また導入コストも魅力的でした。初期費用として5万円かかるほかは、毎月1500円の利用料のみで済んでいます(※)。
-「ピッタリーオーダー」の導入に際して不安はありましたか
増澤:使う前の先入観として、操作が難しいのではないかとか、従来通り手書きの方が簡単なのではないかという否定的な意見があったのは事実です。そのため、使い方から徐々にレクチャーしていきました。
1店舗あたりの従業員は5─10人くらいで正社員とアルバイトが混在しています。そのうち2─3人がアルバイトですが、発注業務については正社員が担当しています。
現在、使い始めて2カ月ぐらいにはなりましたので、各支店のスタッフもだんだん慣れてきた様子で、発注業務については問題なく運用できるレベルになっていると感じています。使い始めてみると、想像していたよりも簡単で使いやすいことから、今ではストレスなく使えています。
※編集注:2025年2月現在
発注にかかる業務量が大幅減。接客に大きな効果生む。

-「ピッタリーオーダー」の導入により、どのような効果がありましたか
増澤:発注にかかる業務量が大幅に減りました。従来の手書きの発注書の場合、ペンと紙を持って売り場に出て手書きで記入していくと、慣れた社員でも1回の作業に30分くらいかかることもありました。その作業中は接客ができなくなってしまいます。そのため、混雑している店舗では、発注業務をいかに短時間で行うことができるのかが重要です。
「ピッタリーオーダー」を導入してみて、発注の作業自体がだいぶ簡略化されましたので、発注業務にかかる時間はおおよそ半分になったのではないかと思います。そのため接客に割ける時間が増えて非常に助かっています。特に人員の少ない店舗ではかなり大きな効果を発揮していると言えます。
-発注業務に使用しているスマホは個人の端末ですか、それとも会社が用意した端末ですか
増澤:スマホのアンドロイド端末にアプリケーションを入れて使っています。その端末は会社で用意したものを各店舗に1台ずつ配りました。最初は個人のスマホに入れたらどうか、とも考えましたが、個人のスマホに業務用アプリを入れることに抵抗がある人もいると思いますので会社が用意しました。
-発注については、全商品をマスター登録して運用されていますか
増澤:レジ端末に登録済みの商品情報を『ピッタリーオーダー』に登録しました。マスターデータに登録されている商品は約2万8000点です。また、当社の包装紙や手下げ袋といった商品にはバーコードが付いていませんので、それらバーコードが付いていない商品は、バーコードなし商品としてまとめて発注しています。
-今後「ピッタリーオーダー」の活用を拡大していきますか
増澤:実は、銀座本店は商品管理部門と同じ建屋内にあることなどから「ピッタリーオーダー」は利用していません。しかし、今後は他の支店のように利用を検討したいと思います。その後は卸事業の得意先様ですね。FAX受注が多いため、そこで展開できれば効果が大きいと考えています。
-同じような課題をお持ちの業界企業に向けてメッセージをお願いします
増澤:長く商いをしていらっしゃる会社さんですと、手書きの発注書だけではなく、業務においてまだまだアナログな部分がかなり残っていると思います。そのようななか、どのお店も人員と時間は限られています。「ピッタリーオーダー」のようなシステムを導入することで、かなり業務が楽になるわけですから、こういったシステムを活用した方が会社の成長につながるのではないかと感じています。
-ありがとうございました
※2025年1月取材。記載の情報は取材時のものです。