RPAで業務品質を改善!業務効率が向上した導入事例を一挙紹介
「蒸気機関」「電気・石油・モーター」「インターネット」と進化してきた技術革新は、IoT、AI、ビッグデータ、クラウド、ディープラーニングなどの先進技術がメインとなる、第4次産業革命に突入しています。モノや情報をリアルタイムに相互協調しながら、人間を介在せずに製品やサービスを生産することができるようになるのです。今回は、第4次産業革命で重要な位置を占めるRPAについて解説します。
RPAとは?
RPAはRobotic Process Automationの略称です。
現在では企業内の事務作業はほとんどPCによる作業になっており、各企業は様々なシステムを活用し、事務作業を効率化しています。しかし異なるシステムとの間のデータのやり取りなどは人が介在していました。
連携用のプログラムを作成して、業務自動化をするにしてもアプリケーションのバージョンアップのタイミングが違う等、対応しきれないことが多かったのです。
RPAは、人間が行うPC操作や定型業務をソフトウェアロボットに行わせることができます。使用するアプリケーションがバージョンアップした場合も対応可能です。たとえば、特定のホームページに記載されている文字列を検索し、関連データをコピーして社内のデータベースに直接入力することができます。
RPAはハードウェアを必要とせず、自社にある既存システムのPCにソフトウェアロボットを導入することで利用できます。データから判断を求められる作業も行うことができるので、ホワイトカラー向けの産業用ロボットといえるでしょう。単純作業を繰り返す手間のかかる労働をRPAで稼働させれば、社内の貴重な人材を、人間にしかできないクリエイティブな仕事に注力させることができるようになります。
RPAツールやそれらを構成するソフトウェアロボットは、仮想知的労働者(Digital Labor)と呼ばれることもあります。社員を雇用する場合と比較すると、Digital Laborの特色として以下が挙げられます。
Digital Laborの特長
- とにかく仕事が速い
- 操作が正確
- 24時間365日稼働可能
- 遅刻・早退なし
- パワハラ、セクハラがない
Digital Laborに不要な業務、慣習
- 労働組合
- 敬語、根回し
- 昇進・昇格
- 指導、業績査定
- 報告・連絡・相談
- 社員旅行、福利厚生
Digital Laborに不要なコスト
- 給与・ボーナス
- 退職金
- 時間外手当
- 通勤手当・家族手当
- 社会保険・厚生年金
今まで人件費や福利厚生費としてかかっていたコストは、すべて不要になります。職場におけるハラスメントの問題も起きません。RPAの導入費や維持費は、社員を雇うよりもコストが格段に安くすむということになります。将来的には、今よりももっとDigital Laborが既存産業に浸透し、2025年には知的労働者の3人にひとりがRPAに代替されるとの予測をしている調査もあり、さらなる業務効率向上への可能性が高まっています。
RPAのメリット
RPAの導入には大きなメリットが主に3つあります。コストメリット、生産性向上、品質向上です。
コストメリット
RPAを導入する費用や維持費は、人間を雇うコストと比較すれば、大幅に小さいものです。導入時の業務効率アップを考えれば、大きな費用対効果が見込めるでしょう。
生産性向上
今まで人間が手作業でPC操作をしていたエクセルの入力作業やデータの転記作業などの定型作業をソフトウェアロボットが代替するので、業務の処理速度が格段に上がります。人間では不可能な量のタスクを、短時間で膨大な回数をこなすことができます。
品質向上
人間が行う単純作業ではどうしてもミスが発生します。どんなに対策を施しても、ヒューマンエラーをゼロにするのは不可能といえるでしょう。それに対し、RPAでは、作業のエラー率は限りなくゼロに近い数字で業務を行うことができます。
ある自動車メーカーでは、経理部門にRPAを導入したことにより、以下の効果を実現することに成功しました。
- 作業時間を65-75%短縮
- エラー数を削減
- 上長の確認、承認にもRPA
- 対外対応のルール化
- 不正発覚の精度向上
- 内部監査業務の効率化
このような飛躍的な業務改善は、ロボットならではのことといえるでしょう。注目すべきは、「不正発覚の精度向上」です。経理業務で使途不明金といった不正を疑われるお金の流れがあった場合、RPAならリアルタイムで異常を認識し、すぐに報告するプロセスにできます。人間のように内部告発を躊躇(ちゅうちょ)することがないので、問題発生時のリスクを最小限に抑えることができます。
RPA導入~業務効率アップの事例
それでは、実際に導入するためのステップについて見てきましょう。
大まかな流れとしては、現在、自社にある課題に対して、RPAを導入することによってどのように問題を解決できるかを考え、RPAを選定、導入となります。ポイントは、課題に適した機能に焦点を合わせてRPAを検討することです。便利そうな機能が並んでいても、使用しない機能が多くてはコストがかさむだけだからです。導入後も、実際の効果を測定し、その結果に対して機能改善を施して、さらに向上させることが重要です。
RPA導入の流れ
1.担当者の任命と役割・責任の明確化
2.適用範囲を設定
3.スケジュール管理
4.コスト見積
5.品質管理
6.リスクと対応の管理
7.導入判定基準の作成
RPAの導入実例
RPAを導入した企業の実例を見ていきましょう。企業によって「現状の課題」は違いますので、RPAの問題解決方法、導入の流れも異なります。しかし、RPAならば、あらゆるタイプの課題に対してカスタマイズしながら問題解決を図ることができるのです。
株式会社LIFULL
- 課題:業務量の増加にともなう人手不足
- 対策:初期費用を抑え、直感的操作ができるデスクトップ型のRPAを導入
- 効果:人件費にして年間2,000万円分のリソースを創出。社員は早く帰宅可能に
昭和電機株式会社
- 課題:業務全般を時短化したい
- 対策:ブラウザ操作やメール業務に特化したRPAを導入
- 効果:月間140時間の時短に成功
PayPay銀行株式会社
- 課題:カードの決済件数増加にともなう業務急増
- 対策:ブラウザ操作を自動化するRPAを導入
- 効果:年間数百万円の事務経費を削減し、導入費用を回収。ほぼ作業エラーがない
RPAが日本の働き方を変える
RPAを導入すれば、「業務量増大に対応」「時短、品質向上」「顧客満足度の向上」「コスト削減」「人材不足の解消」「需要の変化への迅速な対応」などの、さまざまな恩恵を受けることができます。さらに、ロボットが代替することによって、社員は単調でつまらない作業に時間をとられなくなり、よりクリエイティブな業務に注力することができます。仕事へのモチベーション向上にもつながるでしょう。業務全体の生産性が上がれば、帰宅時間を早めることができ、ワークライフバランスの最適化が図れます。RPA導入は業務改善を意味するだけではなく、組織全体の人間が働き方改革を実現する大きな手助けとなると考えられるのです。
日本が世界的なRPA革命に乗り遅れた場合、735万人の雇用が減少するという経済産業省の試算があります。RPAのような先進技術を導入しない現状維持の場合、テクノロジー産業の新たな雇用が発生しないからです。技術革新の流れを止めることはできません。社会や環境の変化に対応し、スムーズな新技術の導入を実現しましょう。