
RPA導入のコストは高い?投資効果と最適なツール選定のポイントを解説

RPA導入に興味があるけれど、実際にかかるコストがわからず、導入を迷っているという方は多いのではないでしょうか。中小企業の経営者や現場担当者にとって、費用面の不透明さは大きなハードルになり得ます。
本記事では、RPA導入におけるコストの内訳や価格相場、選定時のチェックポイントを詳しく解説します。
なぜRPA導入でコストが明確になりにくいのか
RPAの導入にあたって、コストに対する疑問や不安を抱く経営者は少なくありません。価格体系が複雑であったり、導入後にコストがどのように変化するかがイメージしづらいといった課題が背景にあります。
また、「どれほどの費用をかければ、どれだけの成果が得られるのか」が見えにくいと感じる方も多いでしょう。
しかし実際には、RPAは投資対効果を数値化しやすいという特長があり、費用対効果を明確に示しやすいツールでもあります。ここでは、RPAの導入前によくある誤解について解説します。
誤解1:RPAは高額なシステム投資が必要
「RPAは高度なソリューションだから、導入には莫大な費用がかかりそう」と思い込んでいる方は少なくありません。
しかし、実際には月額数万円程度から利用できるクラウド型のRPAサービスや、小規模な業務フローから段階的に拡張できるツールも数多く存在します。
最初は少額で始められるツールを導入し、一部の定型業務だけを自動化して効果を検証する方法も有効です。大規模かつ複雑なシステムを一気に導入する必要はなく、自社の業務規模に合わせて着実にステップアップすることで、無駄なコストを抑えながらRPAを導入できます。
誤解2:導入後も専門のエンジニアが必要で維持費が高い
「プログラミング知識がなければRPAを扱えないので、導入後も専門家を雇い続ける必要がある」と想定しているケースもあるでしょう。
しかし近年では、ノーコードやローコードのRPAツールが普及しており、現場担当者がドラッグ&ドロップや簡易的な設定画面を使ってシナリオを作成できる機能を備えているものも多いです。
例えば、会計ソフトへのデータ入力や、Webサイト上での情報収集などの単純作業は、高度な技術がなくてもスムーズに自動化しやすい部分です。結果として、人件費や外部委託費などのコスト削減につながり、継続的に運用し続けられる環境を整えやすくなっています。
誤解3:RPA導入で投資費用を回収するのは難しい
RPA導入時、「投資したコストをきちんと回収できるのか」が最大の懸念になる場合があります。
確かに、単純に見える時間削減効果だけで判断すると、回収までに時間がかかるように映ることもあるでしょう。しかし、実際にはヒューマンエラーによる修正作業の削減や、深夜残業の大幅なカットなど、数値化が難しい領域でも成果が期待できます。
例えば、ミスの再発防止によるクレーム対応の低減や、スタッフのモチベーション向上が見込めるため、結果として企業全体のコスト最適化やサービス品質の向上が実現しやすくなります。目先のコストだけでなく、長期的な視点でトータルの効果を評価することが重要です。
RPAの導入コストを構成する主な項目

RPAのコスト算出には、ライセンス費用や導入支援だけでなく、保守・サポートや研修費用など、さまざまな項目が関係します。
各項目を正しく把握しておかなければ、最初の見積もりと実際の運用費が大きく乖離し、後から予想外の出費に悩まされる可能性があるため注意が必要です。
ここでは、代表的な費用項目とその相場、そして企業規模や導入形態による違いを解説します。
ライセンス費用(サブスク型・買い切り型)
RPAツールのライセンス費用には、大きく分けて「サブスク型(サブスクリプション型)」と「買い切り型」があります。
サブスク型は毎月数万円程度の利用料を支払ってツールを利用する形式で、必要な期間だけ利用できる柔軟さが魅力です。
一方で買い切り型は、初期費用として数十万円~数百万円の導入費用がかかるケースもありますが、導入台数が多い大企業や、長期にわたってRPAの稼働が確実視されている現場では、サブスク型より割安になる可能性があります。
どちらが適切かは、導入するロボット数や想定稼働年数に左右されるため、中長期的な運用コストまで含めた試算が不可欠です。
導入支援・開発委託費用
自社でRPAシナリオを作成するノウハウがない場合、外部ベンダーに業務フローの自動化を依頼する必要があります。
1シナリオあたり15万円~30万円が相場ですが、経理や物流、特殊なシステム連携など複雑な工程が絡む場合は、シナリオの難易度によって金額が上下します。
外部委託によるスムーズな立ち上げのメリットは大きい一方で、長期的には社内に知見を蓄積し、簡易的な変更や拡張を自力で行える体制を築くほうが結果的にコストダウンを図りやすいです。
外部委託を依頼するかどうか検討する場合は、業務フローと導入範囲を慎重に見極めることが重要といえます。
保守・サポート・バージョンアップ費用
RPA導入後は、日々の運用やトラブル対応、定期的なバージョンアップが必要になるため、保守・サポート費用を見落とすと追加コストが大きくなる可能性があります。
特に、夜間や休日など、24時間稼働を前提とする業務をRPAに任せる場合は、サポートを受けられる時間帯が限定的だと運用リスクが高まるため、24時間365日保守可能などの手厚いプランを検討したほうが望ましい場合もあります。
導入前に自社が必要とするサポート範囲と、それに伴う保守費用をしっかり確認しておきましょう。
研修・教育費用
ノーコードやローコード化が進んでいるRPAツールでも、操作方法やシナリオ作成のコツを学ぶ研修は欠かせません。
外部研修を利用すると、1人あたり数万円~10万円程度かかることもありますが、コストを抑えたい場合は、ツール提供企業が主催する無料セミナーやオンライン講座を活用する方法もあります。
導入前にマニュアル整備や社内勉強会などの工夫を行えば、より多くの社員がRPAに触れられ、シナリオ開発や保守が分散しやすい体制を構築できます。研修費用は、RPA活用を全社規模で推進するための重要な投資です。
RPAツール選定時に注目すべき3つの観点
RPA導入の費用だけに目を奪われてしまうと、本来必要だった機能やサポートが不足しているツールを選んでしまうリスクがあります。
最適なRPAツールを選定するには、自社の業務形態や将来的な拡張性、サポート体制、そして投資対効果のシミュレーションが欠かせません。ここでは、RPAの導入前に特に注目したい3つの観点を解説します。
自社業務に最適化できるか
RPAツールを選定する際は、自社の業務フローに合致しているかを見極めることが重要です。
例えば、経理作業や受発注管理を自動化したい場合、クラウド会計ソフトやERPシステムとの連携実績があるRPAを選ぶとよいでしょう。
また、製造業や物流業など、特有の作業工程の自動化を検討している場合は、導入前に業務要件を整理し、ツールがその要件をどこまでカバーできるか詳しくチェックすることが大切です。
導入実績・サポート体制は充実しているか
中小企業向けに豊富な導入実績を持ち、サポート範囲が手厚いベンダーであれば、社内リソースが限られていても導入をスムーズに進めやすいです。
RPAベンダーの導入事例などを参考に、どのような業種や業務の自動化に強みがあるのかを見たり、業務フローの知見について問い合わせるのもよいでしょう。
また、FAQやチャットやオンラインのサポート、電話対応などのサポートチャネルがどの程度充実しているかも、料金プランとあわせて確認しましょう。
投資対効果を事前にシミュレーションする
RPA導入時には、どのくらいの人件費や時間削減が期待できるかを数値化して、投資回収期間を試算しておくことが望ましいです。
また、ミスによるクレーム対応や残業代の減少といった、間接的なコストメリットもシミュレーションに含めると、実質的な導入効果はさらに大きくなります。
RPAの投資対効果を適切にシミュレーションし、社内で共有しておくことで、導入後の成果を共通認識として持つことが可能になります。
RPA導入で初年度からコスト削減を実現した企業の実例
RPAの実際の導入事例は、導入を迷っている企業にとって有効な判断材料になります。そこで、初年度から業務コストの削減につながった企業の実例を2つ紹介します。
中小企業や医療機関といった異なる業種であっても、RPAを活用することで省力化やリスク低減を実現している事例があります。導入後のイメージを具体化するためにも、ぜひ実際の事例を参考にしてみてください。
有限会社Takumi様
有限会社Takumi様では、複数のECモールや自社サイトでネット通販を展開しており、大量の受注や在庫連携、発送報告などの作業負担に悩んでいました。
そこでRPAツール「Autoジョブ名人」を導入し、事前に抽出した32業務、年間1,150時間分の作業を自動化対象に設定。カスタマーサクセスプランを活用して3か月で20シナリオを構築し、未経験からでも開発力を飛躍的に向上させました。
単純作業をRPAに任せたことで残業が減り、スタッフは本来の業務に集中できるようになり、サービス品質の向上にもつながっています。
さらにAPIのないシステム間もRPAで連携し、安定した運用と高い生産性を実現。RPAを第3の労働力と捉えることで今後の付加価値創出も期待されています。
医療法人英仁会大阪ブレストクリニック様
医療法人 英仁会 大阪ブレストクリニック様では、乳がん治療に注力し、医事会計システム「MLA」から診療実績を抽出・集計する業務を毎月4~6時間かけて手作業で行っていました。
労働人口減少への危機感を背景に、RPAツール「Autoジョブ名人」を導入して自動化を実現。これにより、医師別・診療項目別のデータを効率良く集計できるようになり、残った時間を経営判断や患者対応に充てたりできるようになりました。
今後は、請求・支払業務やシステム間のデータ連携にもRPAを拡大し、さらなる省力化と医療サービス向上を目指しています。
RPA導入コストを正しく把握し、ビジネスを次のステージへ
RPA導入に伴うコストは、ライセンス費用や導入支援、保守、研修などがあります。導入には高額な費用がかかるイメージを抱きがちですが、近年ではサブスクリプション型のサービスが一般化し、月額数万円からでも十分に取り入れられる環境が整いつつあります。
中小企業のように限られた人員であっても、十分なシミュレーションを行い、長期的な視点で投資対効果を検討することで、RPAを無理なく導入することが可能です。適切なツールを選び、社内教育に注力することで、業務効率化とコスト削減を両立できます。ユーザックシステムでは、ローコードで直感的にシナリオを作成できる「Autoジョブ名人」を提供しています。RPAの効果を実感してみたいとお考えの方は、まずはお気軽に無料トライアルをお試しください。