RPA導入に使える補助金とは?対象者や補助率を詳しく解説
業務効率化や生産性の向上を目的として、RPAの導入を検討する企業が増えています。しかし、RPAの導入には初期費用や月額費用などのコストがかかるため、十分な予算を確保できないなどの理由で導入を断念してしまう企業も多いのが実情です。
RPAの導入負担を軽減するためには、国が実施している補助金をうまく活用するのがおすすめです。本記事では、RPA導入に活用できる補助金について、それぞれの対象者や補助率、現在判明しているスケジュールなどを詳しく解説します。
RPA導入時に使える補助金
RPA導入時に使える補助金の有力な候補として、IT補助金、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)が挙げられます。
各補助金の概要や申請対象者、申請枠、補助率や補助上限額について解説するとともに、現在判明している2024年の申請スケジュールを紹介します。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者のデジタル化を推進するために、「IT導入支援事業者」が販売するソフトウェアを導入する場合に一定の補助金を支給する制度です。
補助金の支給によって事業者の業務効率化や生産性向上をサポートし、企業の成長や経営力の向上を支援する狙いがあります。
補助の対象は幅広く、ITツールの導入費用以外にもITコンサルティング費用やクラウドの利用料金など、ITに関わる諸費用が補助対象に含まれます。IT導入支援事業者の中にはRPAツールを取り扱っている事業者もあるため、RPA導入時にも利用可能です。
IT導入補助金の申請対象者
IT導入補助金は、特に小規模事業者や中小企業に焦点を当てた補助制度です。小規模事業者には個人事業主も含まれるため、必ずしも企業の形を取っていなくても条件を満たせば申請は可能です。
ただし、全ての小規模事業者や中小企業がIT導入補助金の補助対象となるわけではありません。申請資格は業種によって異なり、資本金の額や従業員数など特定の条件を満たしている必要があります。
申請を検討している場合は、自社が補助金の対象になるかどうかを確かめたうえで書類の準備に入ることをおすすめします。具体的な対象者は、下記のIT導入補助金公式Webサイトで公開されています。
IT導入補助金とは | IT導入補助金2023(後期事務局)
IT導入補助金には4つの申請枠がある
IT導入補助金の申請枠は2024年申請分から再編成され、下記の4つが設定されています。
- 通常枠
- セキュリティ対策推進枠
- インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)
- 複数社連携IT導入枠
通常枠は、対象の領域を限定せずさまざまなITツールの導入に利用できます。セキュリティ対策推進枠はセキュリティ製品に、インボイス枠はインボイス対応のためのITツールを導入する際に利用可能です。
申請枠によって補助上限額や補助割合が異なるため、事業者は自社の状況や目的に応じてどの申請枠を利用するのか、よく検討することが大切です。
IT導入補助金の補助率と補助上限額
前述のように、IT導入補助金の補助率と補助上限額は申請枠によって異なります。補助率は一般的には経費の一部をカバーする形で設定されており、補助額の下限と上限が各枠で定められています。
例えば通常枠の場合の補助率は1/2が上限となっていますが、インボイス枠(電子取引類型)の場合は2/3または1/2になります。
IT導入補助金の申請受付期間
2024年のIT導入補助金の申請受付期間は、2024年2月16日から第1回の受付が開始される予定です。
通常、申請期間は期限が区切られており、各申請期間は1ヶ月程度確保されていることが多いようです。予算によって実施される期間は異なりますが、2023年は第10回(デジタル化基盤導入枠は第17回、デジタル化基盤導入枠は第7回)まで実施されました。
事業者は申請期間内に必要な書類を準備し、申請手続きを完了させる必要があります。2024年の詳細なスケジュールはまだ公開されていないため、申請の受付開始日や締切日、必要な書類や手続きの詳細は、IT導入補助金の公式サイトで随時確認することが大切です。
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)とは、事業展開や新規事業の立ち上げに伴って必要となる、新しい知識や技能の習得を目的とした訓練に対して適用される助成金です。
中小企業を対象としており、市場の変化や技術進化に対応して競争力を維持するために、従業員のスキルセットを強化する目的で利用されます。
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の支給対象者
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の支給対象者は、リスキリングの訓練プログラムを実施する中小企業です。
厚生労働省の案内によれば、対象者は次の全てを満たす事業者となっています。
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画およびこれに基づく職業訓練実施計画届を作成し、その計画の内容を労働者に周知していること
- 従業員に職業訓練等を受けさせる期間中も、当該従業員に対して賃金を適正に支払っていること
- 助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要な書類等を整備、5年間保存している事業主であること
- 助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要であると管轄労働局長が認める書類等を管轄労働局長の求めに応じ提出または提示する、管轄労働局長の実地調査に協力する等、審査に協力する事業主であること
- 事業展開等実施計画(様式第2号)を作成する事業主であること
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001174265.pdf
どれか1つでも満たしていないと支給の対象外となってしまうため、申請の際は条件を満たしているか確認することが大切です。
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の助成率と助成上限額
助成金の助成率は、中小企業が75%、大企業が60%となっており、中小企業に対してはより高い助成率が設定されています。
賃金助成に関しては、中小企業が1人1コース1時間あたり960円、大企業が480円までとなっており、これにより企業が訓練期間中の賃金負担を軽減できるようになっています。
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の申請受付期間
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の申請受付期間には特定の締切が設定されていないため、企業は自社の訓練計画に合わせて柔軟に申請を行うことができます。
企業が訓練のスケジュールを柔軟に設定できるため、申請期限が決められている補助金に比べて申請しやすいのが嬉しいポイントです。申請は訓練開始の日付から逆算して行うため、事業者は訓練プログラムの開始前に必要な手続きを完了させる必要があります。
<参考情報>人材開発支援助成金とは?セミナーでチェック!
【5年で1兆円】政府が投資するリスキリング助成金 活用セミナー
まとめ
本記事を通じて、RPA導入に活用可能な補助金について、対象者や補助率、スケジュールなどを解説してきました。
RPAは、繰り返し行われる単純な業務を効率的に自動化し、時間とコストを削減するだけでなく、従業員の労働負担を改善する効果も期待できます。今回ご紹介した補助金をうまく活用しながら、費用負担を軽減しつつデジタル活用を推進し、業務効率化や生産性向上を目指していきましょう。