中小企業がRPAを導入すべき理由とは?おすすめの業界や事例を紹介
中小企業が抱える課題として、人手不足や業務の属人化、業務効率の低下などが挙げられます。しかし、限られたリソースでこれらの問題に対処するのは容易ではありません。
こうした課題を解決する手段として注目されているのがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)です。業務の一部やプロセスを自動化することで、生産性向上やミスの削減、人材の有効活用が可能になります。
本記事では、中小企業がRPAを導入すべき理由を詳しく解説するとともに、RPAの導入に適した業界や実際の活用事例についても紹介します。業務効率化を検討中の経営者様や担当者様は、ぜひ参考にしてください。
中小企業がRPAを導入すべき理由
人手不足や業務の属人化など、中小企業が抱える課題を解決するためには、RPAの導入が有効です。ここでは、中小企業がRPAを導入すべき理由を3つご紹介します。
業務効率化とコスト削減
RPAは反復的で手間のかかる作業を自動化することで、業務の効率を大幅に向上させます。人手不足の中においては、人的リソースの無駄を減らし、コスト削減につながります。
例えば、データ入力やレポート作成などの定型業務をRPAに任せることで、従業員はより重要な業務に集中することができます。
エラーの削減と品質向上
手作業によるデータ入力や処理には、どうしてもヒューマンエラーが発生します。RPAを導入することで、こうしたエラーを減らし、業務の正確性と品質を向上させることができます。自動化されたプロセスは一貫性があり、常に同じ品質で業務を遂行することが可能です。
属人化の解消
少数精鋭で業務運営をしている中小企業は、特定の従業員に業務が集中しがちです。
業務を標準化し、RPAを活用することで属人化を解消できます。急な離職や休職があっても業務が滞ることなく継続でき、組織全体のリスク管理が強化されます。また、業務手順が標準化されるため、新しい従業員の教育・訓練も容易になります。
RPAを導入する際のポイントと注意点
RPAを導入する際は、適用範囲を適切に判断し、スモールスタートを意識して段階的に拡張していく体制づくりが重要です。また、現場を巻き込んでプロジェクトを進めることも大切です。以下に、RPAを導入する際の3つのポイントを解説します。
RPAを適用する業務を選定する
RPAの導入効果を最大化するためには、適切な業務の選定が不可欠です。RPAは、繰り返し実施されるルーティン作業や、ルールが明確で判断の必要が少ない業務に適しています。
例えば、データ入力や請求書処理などの作業は、RPA化することで大幅な効率化が期待できます。一方、業務プロセスが複雑だったり、条件分岐のルールが細かかったりする場合は、RPA化に適した形に業務フローを見直す必要があります。現状の業務をリストアップし、RPAに適している業務を見極めることが大切です。
スモールスタートを意識する
RPAの導入初期段階では、小規模な範囲から導入を始め、段階的に拡張していくスモールスタートをおすすめします。
スモールスタートのメリットは、初期段階でトラブルが発生した際のリスクを抑えられることが挙げられます。また、導入効果の検証もしやすく、段階的な成功事例を積み重ねることで、他部門への展開をスムーズに進めるとともに、従業員や経営陣の理解と支持を得やすくなる効果も期待できます。
現場を巻き込んでプロジェクトを進める
RPAの効果を最大限に引き出すためには、現場の従業員の協力が欠かせません。現場レベルでの抵抗を避けるために、導入前にRPAの目的やメリットを分かりやすく説明し、従業員の不安や疑問を解消することが重要です。
また、従業員がRPAを十分に活用できるように、基本的な使い方を習得するための教育プログラムを実施するのも効果的です。
さらに、運用開始後は現場からのフィードバックを積極的に取り入れながら、プロセスの改善を継続することで、RPAの効果をさらに高めることができます。スムーズな導入と運用を実現するためには、現場と密に連携を取りながらの運用が求められます。
RPA導入がおすすめな企業
RPAの導入がおすすめな業界は多岐にわたり、卸売業や製造業、食品業界、金融業界、医療業界などさまざまです。ここでは、RPAの導入に向いている5つの業種・業態について、どのような使い方ができるのかを解説します。
製造業
製造業では、部品の調達管理や製造指示、品質チェックなどのルーティン業務が数多く発生します。これらの業務をRPAで自動化することで、データの整合性が向上し、作業負荷の軽減が可能です。
例えば、製造指示書の作成や工程管理をRPAで効率化すると、作業精度が高まるとともに、業務プロセス全体のスムーズな運用が可能になります。また、品質検査データの入力や集計作業の自動化など、生産性向上と品質管理の強化を同時に実現できる取り組みもあります。
卸売業
卸売業では、受発注処理や在庫管理といった業務が日常的に発生するため、RPA導入によって高い効果が期待できます。特に、受注データの入力や出荷指示の自動化を行うことで、作業時間を大幅に削減し、人的ミスの削減も期待できます。
自動化により迅速な対応を実現できれば、顧客満足度の向上やリードタイムの短縮も可能です。また、受発注データの一元管理により、在庫状況の可視化が進み、的確な在庫補充やコスト削減にもつながります。
食品業界
食品業界では、衛生管理、品質検査、各種申請業務など、正確性とスピードが求められる業務が多くあります。RPAを導入することで、ヒューマンエラーを抑えつつ、効率的なデータ管理が可能です。
例として、受注・出荷業務の自動化により、在庫データや配送スケジュールの管理を効率化する施策などが挙げられます。また、申請書類の作成や提出業務をRPA化すると、業務の信頼性が向上し、顧客満足度の向上につながります。
金融業界
金融業界では、契約管理、顧客対応、データ入力などの繰り返し作業が多く存在します。RPAの導入により、これらの業務を効率化し、業務時間を削減できます。
また、あらかじめ設定したシナリオに沿って処理を行うRPAの活用により、法令遵守の強化にも寄与します。例えば、口座情報の照合や契約書のデータ入力を自動化することで、見落としや誤入力などの作業ミスが減少し、業務全体の正確性とスピードが向上します。
医療業界
医療業界では、患者データ管理、請求業務、医療記録の処理など、大量のデータを扱うタスクにRPAを活用できます。
例えば、患者データの入力や更新作業を自動化すると、人的ミスを削減し、データの正確性を高めることが可能です。定型業務の自動化により、医療従事者は本来の診療業務や患者対応に集中できるようになり、業務全体の効率化と医療サービスの質の向上が期待できます。
導入事例
最後に、実際に中小企業でRPAの導入に成功した3つの事例を紹介します。これからRPAの導入を検討されている方は、ぜひ参考にご覧ください。
有限会社Takumi
有限会社Takumiは、ネットオークションやネットショッピング事業を展開する中小企業です。各ECモールと自社システム間のデータ連携を手作業で行うことによる作業負荷が高く、課題解決のためにRPAツールの「Autoジョブ名人」を導入しました。
ユーザックシステムのサポートを活用しながら、3ヵ月で20業務を自動化し、年間約1,150時間の業務効率化を実現しています。
特に、受注~出荷業務の一連の自動化に成功しており、安定した品質と効率的な業務推進を実現できました。また、オンラインサロンを活用することで、プログラム未経験者でも自動化シナリオの開発力が向上しました。
同社ではRPAを「第3の働き手」として活用し、より付加価値の高い業務へ注力する体制を構築しています。
テラオ株式会社
テラオ株式会社様は、自動車用品や靴用品を扱う卸売業者で、人手不足解消と業務効率化を目指してRPA「Autoジョブ名人」を導入しました。
当初、4つの業務を自動化して月間16~18時間の工数を削減できたものの、エラー発生時の対応や開発リソースの不足により利用が停滞するという問題に直面しました。
そこで2024年6月、メンテナンスと開発をサポートしてくれる「Robo派遣」へ切り替えたことで、低コストかつ効率的な自動化体制を構築し、課題解決に成功しています。
Robo派遣の導入によって、受注業務やデータ照合などの一連のプロセスが自動化されたことで、月間10~11時間の削減と年間約30~33万円のコスト効果を達成しました。さらに、今後は売上拡大を視野に入れた業務自動化への展望も広がっています。
大阪ブレストクリニック
大阪ブレストクリニックは、「ホスピタル水準以上の治療を提供する」というミッションのもと、専門医や最新設備を備えた高品質な医療を提供しています。
2021年9月にRPAツール「Autoジョブ名人」を導入し、診療報酬の算定業務などの医事会計システムからのデータ抽出と集計作業を自動化しました。
この結果、毎月4〜6時間かかっていた作業が大幅に効率化され、確認作業のみで済むようになりました。
RPA導入、業務効率化に取り組んだ背景として、労働人口減少に対する危機感があり、省力化や機械化を進めることで現場の負担軽減を図り、経営に活かしていきたいということです。
まとめ
RPAは中小企業にとって、人手不足や業務効率化などの課題を解決する有力な手段です。本記事で紹介したように、ルーティン業務の自動化による生産性向上や属人化解消、コスト削減の効果が期待できます。
ユーザックシステムの「Autoジョブ名人」は、プログラミングの知識はなくとも、分かりやすいUIのため、初めての方でも扱いやすいRPAです。
RPAの導入から全社展開まで伴走支援する「カスタマーサクセスプラン」を提供しており、「どのように業務自動化を進めたらよいかわからない」「RPAで成果を早期に出したい」という方でも、安心してご利用いただけます。
RPAを導入することで得られる効果を最大化するためには、適切な業務選定と段階的な運用が鍵となります。業務の自動化に興味をお持ちの方は、ぜひお問合せください。