人員を増やさず業務を効率化。RPAで働き方改革へ
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- オンライン受注から納品伝票の発行までの作業に負荷がかかり、残業にて対応していた。
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- 「Autoブラウザ名人」で一連の処理を自動化。残業も不要になり、勤怠管理の効率化も実現。
効果の出るIT活用術
ユーザックシステム「名人」シリーズ導入事例(10)
埼玉県魚市場冷蔵部は、RPAツール「Autoブラウザ名人」を導入することで、365日稼働の冷蔵庫機能のさらなる活用に取り組む。荷主であるメーカーの取引先食品スーパー(SM)からの受注も代行し、事業を拡大。取引量の増大に伴い、人員を増やさず業務効率化を実現している。来年には現行の二つの冷蔵庫に加え、第3冷蔵庫が稼働開始。さらなる業務改善に向けて、働き方の改革に挑戦している。
埼玉県魚市場冷蔵部の冷蔵庫は、北関東内で唯一24時間365日稼働する超低温施設を持つ冷蔵庫だ。マイナス20度C帯で水産加工品をメーンに扱う、第1・第2冷蔵庫(収容能力合計1万3000t)を保有している。
同社では冷蔵庫機能に加え、メーカーの取引先であるSMからの受注業務を代行している。取引先から発注データを受信し、出庫伝票を作成、納品帳票を発行するのだが、取引量が増えるにつれて、繰り返し手作業で行うオンライン作業が負担となっていた。
中山聡将冷蔵部営業倉庫課課長代理は、「事務作業の煩雑さから、これまで作業人員の拘束時間が長く、残業することが常態化していた」と語る。夜間シフト作業が午後6時から開始されるため、昼間シフトとの重なりで現場に混乱も生じていた。
データ受信は、「一つのメーカーに対し、1手順ではない」(中山課長代理)状況があった。例えば納品先が3ヵ所あれば、3回の受信が必要だ。同社では受信から納品までをメーカーから受託されてもいるため、約40社が8ヵ所の小売量販店に納品する業務を代行する。また、FAXオーダーもあり、作業はさらに工数が多い。今も1日1000枚、月間で約3万枚の用紙が必要。請求書も2000枚は発行される。
そこで、RPAによる業務自動化ツールとして注目されている「Autoブラウザ名人」を導入。オンライン受信の条件設定、受注データの確認、CSV出力、納品伝票の発行など、アプリケーション操作を自動化し、約2時間の作業時間短縮に成功した。その結果、残業も不要になり、勤怠管理の効率化も実現した。
現在、同社では市場内に第3冷蔵庫を建設中で、18年4月の稼働を目指している。現状の二つの冷蔵庫ではお盆や正月の繁忙期になると稼働が追いつかないため、マイナス35度C帯の保管施設を持つ冷蔵庫として、新たな機能を担う。また、同社のある大宮総合食品卸売市場は、岩槻インターからほど近く、東北・新潟へのアクセスが容易であるため、北関東の水産ハブとしての拠点化構想もある。