食品製造業が抱える課題とは？RPAを使った5つの解決事例を紹介

近年の食品製造業には、労働力減少に伴う人手不足や原材料・運送費高騰によるコスト増加、求められる品質水準の高まりなどさまざまな課題があります。これらの課題を解決するためには、業界全体が抱えている課題を深く知り、適切な対策をとることが大切です。

そこで、まずは食品製造業が直面している3つの課題について詳しく解説します。

労働力減少に伴う人手不足

食品製造業が直面する大きな課題のひとつに「労働力減少に伴う人手不足」があります。近年では少子高齢化の進行により労働生産人口は減少の一途をたどる一方で、現場における人手不足は深刻化しています。

総務相が公開している「令和4年版 情報通信白書」によると、日本全体の労働生産人口は1995年をピークに減少しており、2050年には2021年の7,450万人から29.2%減の5,275万人にまで落ち込むと予測されています。

このような状況の中で食料品等製造業はさらに人手不足が深刻であり、製造業全体と比べても欠員率が2倍以上高いという結果が報告されています。

出典：令和4年版 情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd121110.html

原材料や運送費の高騰によるコスト増加

原材料や運送費の高騰によるコスト増加も、深刻な影響をもたらす課題となっています。モノの価格が上がり、製品を製造するためのコストが増加しているだけでなく、上がり続ける運送費による企業の負担感も増しています。

また、前述の労働力不足から人件費も高騰しており、現場が必要とするリソースを確保するためのコストも重くなりがちです。

運送費や人件費などのコスト増加を商品の価格に反映させると顧客の購買意欲が低下して売上減少を招く懸念があるなどの理由から、コストが利益を圧迫していても思い切って値上げに踏み切れない企業も少なくありません。原材料や運送費、人件費などさまざまなコストが増加し続けている現状において、企業は各々の努力によるコスト削減の必要性が生じています。

求められる品質水準の高まり

市場競争の中で製品の品質向上が図られ、「品質の良い製品」を提供することは当たり前になってきています。近年では品質の良い製品を提供するだけでなく、そこから一歩進んだ「そのブランドだからこそ提供できる価値」が求められる傾向にあります。

このような市場において、顧客が品質の担保された製品を購入できることは最低限の要求であり、品質の低い製品を提供してしまうと企業の信頼低下に直結します。

しかし、製品の品質を一定に維持するためには十分な労働力の確保が必要になります。前述のように原材料や運送費、人件費などさまざまなコストが高騰している背景もあり、品質の維持とコスト削減を両立していかなければならないことは、企業にとって重要な課題です。

食品業界の課題を解決するためには、RPAの導入が効果的です。RPAを導入すると、下記のようなメリットがあります。

● 人手不足の解消
● 人件費の削減
● 製品の品質向上

RPAを利用すると、これまで人の手で処理していたさまざまな業務を自動化できます。手順が決まった定型的な業務を機械に任せられるので、商品開発やマーケティング、新規営業活動など、より重要で生産性の高い業務にリソースを回せるようになります。

また、人間に代わって機械が業務を行うため人件費の削減につながるだけでなく、人手不足の解消にも役立ちます。

加えて、RPAはあらかじめ作成したシナリオに沿って自動的に業務を処理するためヒューマンエラーが発生せず、製品の品質向上にもつながります。

食品製造業では、既に多くの企業がRPAを活用して人手不足の解消や業務効率化などに役立てています。OCRやWeb-EDIとの連携による自動化、出荷通知・問い合わせ対応の自動化の他にも、レジ売上データの整合性チェック効率化やPOSデータの実績値から報告資料を作成する用途などにも使われています。

ここでは、食品製造業におけるRPAの活用事例を紹介します。

OCRとRPAの連携による請求書業務の効率化

用紙に印字された文字や手書き文字を読み取ってテキスト化する「OCR」とRPAを連携させて、紙の請求書の読み取りとデータ処理作業を自動化する活用方法があります。

取引先から紙で送られてきた請求書をOCRで読み取ると、RPAがテキスト化されたデータを自動的に受発注システムに登録してくれるイメージです。

従来であれば、OCRで読み取ったデータを人間が目視で確認した後、受発注システムに手動で登録する必要がありました。しかし、RPAを利用するとOCR読み取り後の登録作業を自動化できるため、登録作業にかかる手間と時間を大幅に削減できます。手作業によるヒューマンエラーも削減でき、登録データの正確性も高まります。

Web-EDI×RPAでデータダウンロードを自動化

Web-EDIとRPAの連携も、効果的なRPA活用方法のひとつです。Web-EDIとは、発注書や請求書など従来は電話やFAXでやり取りしていた帳票をデータで送受信し、インターネット上で完結できるようにしたシステムのことです。

Web-EDIの活用によって、やり取りにかかる時間の削減やペーパーレス化の推進など多くのメリットがあります。しかし、取引先の数だけログインとデータダウンロードを繰り返さなければならないため、取引先が多い場合はかえって負担が重くなる可能性があります。

RPAを活用すれば、Web-EDIシステムへのログインとダウンロード作業を自動化できるため、多くの取引先があっても少ない負担でデータのやり取りを行えます。

出荷通知・問い合わせ対応の自動化

出荷通知や問い合わせ対応の一部は、RPAで自動化することができます。

例えばECサイトで顧客が注文を完了した際、受注情報を確認して倉庫に出荷指示をかけ、倉庫から商品がピックアップされて出荷作業に移ります。出荷完了後は顧客に対して出荷完了連絡をすることになりますが、注文件数が多ければ多いほど個別に連絡を入れる作業には膨大な手間がかかります。

出荷が完了するとRPAが自動的に顧客のメールアドレスに対して出荷通知を送信するように設定すると、人間が個別にメールの送信作業を行う必要がなくなり、迅速かつ確実な連絡が可能になります。

また、フォームなどから顧客からの問い合わせを受けた際に、内容に応じて自動応答メールを返送するように設定しておけば、問い合わせ対応も自動化が可能です。

レジ売上データの整合性チェック効率化

小売店の営業が終了した後は、レジの売上が正しいかどうかをチェックするための締め作業を行います。レジの締め作業は当日分の全ての売上データを出力して内容を精査し、誤りがないかどうかを一件ずつチェックする必要があります。そのため、人間がチェックすると膨大な時間がかかります。

RPAを活用すると、売上データの整合性チェックをロボットに任せられるため、人間が一件ずつチェックする必要がなくなります。RPAが出力した結果に間違いがないかを確認するだけで作業が完了するため、手間や従業員の負担感を削減できるだけでなく、ヒューマンエラーの削減も可能です。

導入したRPAの種類や運用方法によっては不備のあるデータのみアラートを通知することもできるため、さらにチェック作業の効率化を図ることができます。

POSデータの実績値を自動反映して報告資料作成

営業部門などの売上が重要な指標になる現場では、POSデータの実績値を集計して報告資料を作成しなければならない場面があるでしょう。週次報告など定期的に報告が必要な資料を作成するためにはまとまった時間がかかり、日々の業務において大きな負担になるケースは少なくありません。

RPAを使ってPOSデータの実績値を取得して自動的に報告資料に反映することで、報告資料の作成を効率化できます。RPAがPOSデータをダウンロードし、売上情報をExcel等で管理している報告資料のテンプレートへ自動的に転記して、週次報告を完成させるイメージです。

人の手を介さずに正確性の高い報告資料を作成し、従業員の負担も軽減できます。

RPAを導入するなら、食品製造業の業務自動化実績が多いAutoジョブ名人がおすすめです。ノーコードで直感的に操作できるため、プログラミング未経験でも扱いやすく、2パターンのシナリオ作成画面から簡単にシナリオを作成できます。食品製造業の人手不足や人件費の増加にアプローチし、現場の負担やコスト削減に貢献します。

受注業務自動化をサポートするためのノウハウが詰まったWeb-EDI自動化シナリオを購入できる「名人マーケット」や、困ったときに気軽に相談できるコミュニティの「名人＋（プラス）」をご活用いただくことで、受注業務の自動化を強力に後押しします。

RPAで自動化を推し進めたいものの、社内にプログラミングに詳しい人がいないため不安に感じている方は、Autoジョブ名人の導入をぜひご検討ください。

食品製造業導入事例

株式会社フランソア
モランボン株式会社
サッポロビール株式会社

多くの業界で人手不足に直面していますが、食品製造業においても労働力の確保が難しくなっており、現場で働く従業員の業務負担を軽減しつつ全ての業務を効率よくこなすための工夫が求められています。

業務負担の軽減や業務効率化を図るなら、受発注業務の効率化をサポートするRPAの導入が効果的です。OCRやWeb-EDIとの連携で請求書発行やデータダウンロード作業を自動化でき、ヒューマンエラーの削減やコストダウンも期待できます。

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