受発注業務の4つの改善方法を解説!課題や施策のコツも紹介
受発注業務を処理するにあたって、処理の遅れによる顧客満足度の低下や業務の属人化、ヒューマンエラーの削減が難しいなど、何らかの課題を抱えている現場は数多くあります。このような受発注業務の課題を解決するためには、既存業務の見直しや受発注システムの導入などの改善施策を実行することが大切です。
本記事では、受発注業務の課題とそれらを解決するための4つの改善方法について解説します。課題解決のヒントを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
受発注業務とは、企業間で商品やサービスの売買に関する取引を行う際の、一連のプロセスのことです。
発注側(買い手)は必要な商品やサービスを供給元に注文し、受注側(売り手)はそれに応じて商品やサービスを提供します。なお、このプロセスには、見積もり依頼、発注書の作成、納品、請求書の発行、代金の支払いなどが含まれます。
受発注業務は、効率的かつ正確に行うことが求められるだけでなく、在庫管理や納期の管理も重要な要素です。近年では受発注業務をデジタル化し、システムを利用して自動化する企業も増えています。自動化によって業務の効率化やミスの削減がはかられ、より迅速で正確な取引ができるようになるでしょう。
受発注業務でよくある課題として、スピーディーな処理ができず顧客満足度が低下しやすいことや、業務の属人化が深刻になり、従業員の負担が増加することなどが挙げられるでしょう。また、人的ミスがなくならない、システム連携ができずマーケティングをはじめとしたデータ活用ができないなども、よくある課題に含まれます。
スピーディーな処理ができず顧客満足度が低下している
スピーディーな処理ができずに対応の遅れを招き、満足度が低下するという課題は、受発注業務のよくある課題のひとつです。業務の処理速度が遅いと顧客を待たせてしまうことになり、不信感から顧客満足度の低下を招くおそれがあります。
顧客満足度が低下すると、リピーター離れを招いて売上が低下したり、口コミが広がって新規顧客が付きにくくなったりすることがあります。顧客からの信頼を維持・向上させるためには、スムーズな業務処理が不可欠です。
業務の属人化によって従業員の負担が増加している
業務が属人化して従業員の負担が増加し、従業員満足度の低下や効率低下を招いているケースも少なくありません。
「特定の担当者しか業務の処理手順がわからない」という状況に置かれている現場では、担当者がやむを得ない状況での休暇や外出などで不在の間、該当の業務が滞ってしまいます 。
必要に迫られ、担当者に電話で確認を取るなどのイレギュラーな対応をせざるを得ないので、従業員に負荷がかかります。これらの対応が積み重なると、疲労が蓄積しやすくなり、離職を考える従業員が増えるおそれがあります。
人的ミスがなくならない
人的ミスがなかなか減らず、コストの増加や信頼低下につながるという課題も、受発注業務の現場ではよくある話です。
人間が業務を処理する以上、どれほど注意していても、人的ミスを完全にゼロにすることは難しいでしょう。手順を見直す、マニュアルを作成する、チェック体制を強化するなどの方法で削減できますが、それでも不注意などでミスが起こることは避けられません。
人的ミスが起こると顧客からの信頼を損なったり、ミスをカバーするための人件費が増加 したりするでしょう。
システム連携ができずデータ活用が難しい
アナログのデータを中心に扱っていたり、作業が煩雑になっていたりする現場では、蓄積したデータをシステムに連携できず、マーケティングなどに自社のデータを活用しきれていないことがよくあります。
近年ではどのような現場においてもデータ活用の重要性が認識され、売上データや顧客データなどさまざまなデータを活用する取り組みが注目を集めています。このような流れの中でデータ活用を行える体制を整えなければ、市場における競争力が低下するでしょう。
柔軟な働き方に対応できない
業務フローのシステム化ができておらず、出勤しなければ業務を処理できないために、柔軟な働き方に対応できないという課題を抱えている現場も数多くあります。
最近では自宅や外出先、コワーキングスペースなど、多種多様な場所からインターネットを通じて仕事ができる体制を整えている企業も珍しくありません。就職活動をしている人の中には「リモートワークに対応している企業に就職したい」と考えている求職者もいるため、柔軟な働き方に対応できる体制が整っていない企業は、貴重な人材を採用する機会を失ってしまうでしょう。
商品開発や営業活動のための時間を作れない
商品開発や営業活動のための時間が確保できないことも、受発注業務のよくある課題のひとつです。
多くの企業では、受発注業務が煩雑であり、担当者が業務の処理に多くの時間を費やすことになります。特に手作業で行う場合、注文内容の確認、在庫の管理、納期調整などに多大な労力が必要です。そのため、企業にとってより重要性の高い、商品開発や新規顧客の開拓などに注力すべき時間が取れなくなるでしょう。
また、受発注業務に追われることで社員の負担がさらに増え、モチベーションの低下やストレスが増大しやすくなるといった問題も発生します。
受発注業務を改善する方法として、既存業務を可視化して改善点を見つけることや、受発注システムを見直すこと、RPAや受発注システムを検討することなどが考えられます。
ここでは、受発注業務を改善するための具体的な4つの方法について詳しく解説します。
なお、下記の記事では業務効率化のアイデアや実施時のステップについてさらに詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
業務効率化のアイデア10選を詳しく解説!5つのステップも紹介
https://www.usknet.com/rpa/rpa_guide/33108/
既存業務を可視化して改善点を見つける
受発注業務の改善施策を実行する際は、まずに既存業務を可視化して、改善できる箇所がないかどうかを洗い出す必要があります。現場で日々処理している業務をリストアップして、抜け漏れのないように一覧にしてみましょう。
あらためて既存業務を見てみると、無駄な手順を踏んでいたり、さらに効率的な方法が見つかったりすることも少なくありません。既存業務の業務フローを見直すだけでも、大幅な効率アップにつながる可能性は十分にあります。
受発注システムを見直す
既存業務を可視化し、業務フローを見直しても十分な改善が見られない場合は、受発注システムの運用がネックになっている場合があります。より実態に沿った運用フローに改善したり、必要な機能が備わったシステムに入れ替えたりしてみましょう。
例えば、受発注システムを導入しているにもかかわらず、受注の一部がアナログのまま運用されている場合は、受発注システムの機能を現場全体で再確認したうえで、アナログからデジタルへの運用に完全に切り替えるなどの方法が考えられます。
また、受発注システムを導入しているものの機能が十分でない場合は、他のシステムを検討することで、業務効率化とコスト削減の両方を達成できるでしょう。
リソースを適切に再配分する
受発注業務を改善するためには、現場のリソースを適切に再配分し、業務の偏りを減らすことが重要です。多くの企業では、一部の業務にリソースが集中してしまい、他の重要な業務がおろそかになることがあります。この偏りを解消するためには、業務の全体像を把握し、各プロセスにどれだけのリソースが必要かを見極めることが必要です。
具体的には受発注業務の中で、特に負荷の高い部分を特定し、該当する業務に必要なリソースを再配分します。例えば、在庫管理や納期調整に多くの時間を費やしている場合、在庫管理システムを導入して効率化するなどの方法が考えられるでしょう。
さらに、社員のスキルや強みを活かした配置を行い、適材適所での働き方を推進する取り組みも有効です。
RPAや受発注システムを導入する
アナログの運用が中心となっている現場においては、RPAや受発注システムを導入してデジタル化を進めることで、属人化の解消や人的ミスの解消につながります。
ロボットに手順を記憶させて自動的に業務を処理させられる「RPA」と受発注システムを連携させると、業務の効率化がはかれるでしょう。
受発注業務を改善するときは、現場の声を積極的に拾い上げながら改善施策を進めることが重要です。デジタル活用を積極的に検討し、現場に合ったシステムやツールを取り入れることもポイントです。
現場の声を積極的に拾い上げる
受発注業務の改善施策を進めるときは、現場のヒアリングを行い、従業員の声を積極的に拾い上げることが大切です。実際に業務を処理するのは現場の従業員なので、現場の声を聞くことで、具体的な改善ポイントを可視化しやすくなり、効果の高い改善策を打ち出すことができます。
また、改善施策を進めるにあたって従業員の声を取り入れることは、反発を避ける意味でも重要です。「自分たちも業務改善に関わっている」という意識を持ってもらいながら、現場を巻き込んで改善施策を進めることで、現場の反発を招きにくくなり、スムーズな施策の進行につながります。
デジタル活用も積極的に検討する
近年ではEC市場が拡大し、EC取引を積極的に利用する人が増えています
経済産業省が公開している「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、2021年の日本国内のBtoC-EC市場規模は20.7兆円でした。この数値は2013年の約11.16兆円からおよそ2倍近くに増えており、日本国内で積極的にEC取引が行われていることを示しています。
拡大傾向は今後も続いていくと予想されることから、デジタルを活用した取引はさらに活発化していくと考えられます。現段階ではアナログで受発注業務を運用している現場も、デジタルに切り替える決断をするタイミングをできるだけ早い段階で見極める必要があるといえるでしょう。
令和3年度デジタル取引環境整備事業 電子商取引に関する市場調査
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005-h.pdf
受発注業務の改善には、RPAの導入がおすすめです。RPAを導入することにより、業務を自動化してリソースを他の業務に割り当てる余力ができる、業務のミスをゼロにすることができる、業務処理速度が速くなるなどのメリットをもたらします。製品によっては安価に導入できるので、受発注業務の改善に多くの予算を割けないという現場でも、改善施策を始められるでしょう。
ここでは、受発注業務の改善にRPAがおすすめな理由を解説します。
受発注業務の自動化については、下記の記事でも詳しく解説しています。効率化のより具体的な手法なども紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。
【徹底解説】受発注業務の自動化メリットと効率化の4つの手法を紹介
https://www.usknet.com/rpa/rpa_success/31205/
Web-EDIの受注業務にRPAの自動化がおすすめな理由
https://www.usknet.com/rpa/rpa_automation/31461/
業務の正確性・迅速性を担保し、リソースに余裕が生まれる
RPAを受注業務に活用することにより、これまで人間の手で処理していた作業が自動化されて人的ミスがなくなるとともに、処理速度の向上が期待できます。
人的ミスの削減によって想定外の手戻りが発生するリスクが軽減され、期日通りの納品がきちんと実現できるので、顧客満足度が高くなるでしょう。
また、業務の自動化によって受注業務担当者の負荷が減り、リソースに余裕が生まれ、さらなる顧客サービスの検討などに時間を使うことができるのもメリットのひとつです。
顧客満足度の向上と労働環境の改善を両立できる
RPAは24時間365日、時間を問わず稼働でき、従業員の労働時間外でも業務を進められます。RPAを導入することで、顧客満足度の向上と労働環境の改善を同時に実現できるので、深夜残業や早朝出勤の必要性が減少し、従業員の負担を減らせるでしょう。
例えば、注文処理や在庫管理、請求書発行などの定型業務をRPAで自動化すると、従業員はより重要性の高いクリエイティブな業務に集中できます。
さらに、RPAによって業務効率化をはかることで顧客への迅速な対応や正確な納品ができるので、結果として顧客満足度が向上します。
コスト削減につながる
「RPAに興味があるけど、導入費用が高額で手を出しにくい」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。実は全てのRPAが高額というわけではなく、製品によっては安価に導入できます。
初期費用が高額に思えても、これまでのアナログな処理に比べて処理効率が上がった結果、総合的にコスト削減を達成できる場合もよくあります。目先の費用にとらわれすぎずに、中長期的なコストを試算してみることをおすすめします。
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スピーディーな処理ができずに顧客満足度が低下していたり、システムと連携できずにデータ活用がうまく行っていなかったりと、受発注業務の現場はさまざまな課題を抱えています。このような現場では早急に受発注業務の改善施策を実行して、状況の改善をはかることが大切です。
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