不動産業界で注目されているRPAの導入効果と実際の事例を紹介
さまざまな企業で導入され、DX推進でも注目されているRPA。人手不足と業務量の多さにより、多忙を極める不動産業界にもRPAは採用され、自動化による業務効率化と負担軽減において期待されています。
「不動産業界でRPA導入が増えているけど実際どうなの?」
「不動産業の面倒な事務作業を効率化したい」
このように考えてる方に向け、本記事では不動産業界におけるRPA導入の効果についてお伝えします。
RPAが推奨される理由、RPAの効果、RPA導入の実例が知りたい方はぜひ最後まで目を通してみてください。
不動産業界で注目されるRPAとは
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、主にバックオフィス業務を中心に、PC上で行う定型業務の自動化を行ってくれるソフトウェアを指します。
RPAは業務改善や働き方改革につながるシステムとして期待されており、特にデータ入力・請求書作成・受発注の管理といった、人の手で行うと労力がかかる事務作業の負担軽減に大きなメリットがあります。
RPAを活用することにより、人的リソースを確保できる観点から、生産性の向上にも寄与するツールとして多くの企業が導入するようになりました。
不動産業界でRPAが注目されている理由
不動産業界でもRPAは注目されており、生産性の向上と業務の効率化を図るため、RPAの導入が進められています。
例えば不動産業界では、以下のような業務をRPAで自動化することができます。
● 物件情報の登録・更新
● 物件情報の収集・検索
● 問い合わせ対応
日々行っている「物件情報の登録・更新」では、物件情報の更新作業を人の手を介さずに行えるようになります。RPAツールを利用すればリアルタイムで更新が可能になり、契約が決まった時点で掲載された物件情報を自動的に取り下げるといった作業を行うことも可能です。
物件情報を掲載する自社メディアがある場合、新しく物件情報が更新された他メディアから物件情報を自動で取得し、自社メディアに自動転記することで常に最新の物件情報を自社メディアに掲載することもできます。
「物件情報の収集・検索」の自動化は、物件情報を一元管理しているデータベースにアクセスし、帳票作成に必要なデータや関連写真などを自動的に検索・抽出してくれる仕組みです。人の手で行うと手間と時間がかかっていた情報収集・検索を、RPAによる自動化が代替することにより、社員が投じていた労力と時間を削減することができます。
「問い合わせ対応」の自動化は、自社ホームページ等の問い合わせフォームに送信があった場合、あらかじめ用意したテンプレートの回答情報を自動的に返信メールに記載する、といった作業工数の削減ができます。
自動化による回答は担当者の労力軽減だけでなく、回答スピードの早さによって顧客の満足度にも繋がるため、一石二鳥の自動化になります。
その他にも、掲載した広告の校閲や紙書類・アンケ―ト用紙から自社管理システムへの入力といった作業にもRPAは活用できます。
RPA導入によって得られる効果
実際にRPAを導入することで、業務に対してどのようなポジティブな効果をもたらすのでしょうか。主な3つの効果について解説します。
RPA導入による効果
人手不足の解消
RPAを導入し、業務を効率化・自動化することが、人手不足問題の解決に役立ちます。
国土交通省がまとめた資料「不動産業ビジョン2030」によると、現在、不動産業に就業する人の約5割が60歳以上となっており、さらに後継者がいない会社は68.9%と半数以上におよんでいます。小売業や製造業、卸売業と比較しても高い数字であり、不動産業界が取り組む課題の一つになっています。
RPAを導入し、日々のルーティン業務を自動化したり、物件の取得作業や顧客からの問い合わせといった業務を自動化することにより、業務にかかる人的リソースを減らすことで人手不足をカバーしていく方法が有効になります。
業務の効率化
RPAはある程度手順の決まった業務であればほぼ自動化できるため、日報の作成を簡易化できたり、物件情報の更新を自動化できたりと、不動産業の多くの業務に対して適用することができます。
例えば、RPAによってFAXや手書き資料といった、紙媒体のやり取りをOCRで素早くデータ化し、後工程業務を効率的に遂行することも実現できます。
不動産業界では紙を使ったアナログな業務も多く、それらを人の手でデータ化するのは時間がかかります。OCRなどで紙の書類を読み込み、データ化すれば、そのあとの業務がスムーズになります。基幹システムへの登録、データの抽出や集計などの業務はRPAで自動化し、短時間かつ人的リソースを割かずに遂行できます。
OCRとRPAの連携による業務の効率化については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
業務効率化ツールとして注目されている「RPA」と「OCR」とは?
作業の正確性の向上
作業の正確性を向上させ、人的ミスを減らすことができるのもRPA導入の効果の一つです。
不動産の物件データは、宅地見物取引業法、消費者保護法、広告規制といった法的なルールの下で作成する必要があり、十分な注意を払う必要があります。
上記の法に抵触する物件データを記載すると処罰の対象となり、顧客からの信用問題にもつながります。物件データ入力や広告の内容などの情報を扱う領域では、ミスは許されません。
RPAであれば、疲労や注意不足といった人為的ミスを誘発することがありません。
不動産業界でのRPA導入事例
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」を運営する株式会社LIFULLは、2018年8月からユーザックシステムのRPAツール「Autoジョブ名人」を導入し、業務効率化を図っています。
当時、事業が拡大した影響によって管理職がスタッフを兼ねるほど社員が多忙を極めるようになる中、急務であった「生産性の向上」を実現させるため、RPAの導入が決定されました。マネジメント層から「RPAであれば、できるところから順次展開できるのでは」といった声が挙がったことが、RPA導入の決め手となったそうです。
まずはPC単体にインストールできてWebブラウザ上での作業に特化している「Autoブラウザ名人(現Autoジョブ名人)」を採用しています。これは次期予算を待たずにRPA導入に早く着手するため、時間的・費用的なコストを重視しての判断でした。
その後、Excelを使用する財務・経理部門への導入が増えることを見越し、PC上で行う作業の多くを自動化できる「Autoジョブ名人」を追加で採用しています。
同社はRPA導入によって一部の業務が自動化されたことにより、無理のない人員采配の計画が立てられるようになりました。また、「今までより30分早く帰れる」といった従業員の声も聞かれ、社員の負担減と業務効率化の両方を実現することに成功しています。
RPAの推進担当者は、「今後さらに業務量が増えても、ワークライフバランスを保てる会社であってほしい」「恒常的に業務負担が重い部署を、少しでも早く楽にしたい」といった想いを胸に、自動化で社員の負担を軽減できるRPAの導入部署を広めていく方向で動いています。
RPAを導入する際の注意点
企業がRPAを導入する際に出てくる問題として、「RPA導入を検討はするものの、実際の導入が進まない」「導入してみたが使いこなせなかった」といったパターンがよくあります。
こうした問題が起こらないようにするためには、下準備が必要です。特に、以下の2点に注意する必要があります。
● 運用体制を明確にする
● スモールスタートをする
「運用体制を明確にする」とは、処理エラーやRPAのメンテナンスの対応など、RPA導入後に誰が担当し、どうトラブル等に対処するかを具体的に整えておくということです。
「スモールスタートをする」は、まずはテストの意味も兼ね、業務の一部に適用してみることを意味します。どう動くのか、効率化の実感など、実際に業務で使って本運用できるかを確認します。
RPA導入の詳しい手順については下記のコラムにて解説していますので、導入を検討されていましたら、ぜひご覧ください。
RPAで不動産業務を効率化しよう
RPAは不動産業でも、業務の効率化や社員の負担減の方向で大きな効果を発揮することをお伝えしました。
紙媒体を使ったやり取りや、法的ルールに基づいた物件情報・広告の表記など、多くの不動産業務に適用して効率化できるのがRPAです。
ユーザックシステムでは、働き方改革や生産性向上をサポートするRPAツール「Autoジョブ名人」を提供しています。
人がPC上で行う定型的な業務を自動化し、データの集計・出力・入力や情報のモニタリングなど、正確性とスピードが求められる業務で効果を発揮します。
RPAによる不動産業務の効率化をご検討であれば、ユーザックシステムにご相談ください。「Autoジョブ名人」は2ヶ月間の無料トライアルも設けていますので、まずは気軽にお問い合わせください。