横山香料株式会社 様
食品香料メーカーが新販売管理システムにスーパーカクテルを採用
商品ロット管理の正確性を向上させて倉庫内作業時間を約半分に短縮
- ソリューション:
- 対象製品:
- 業種:
事例概要
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- 旧販売管理システムはカスタマイズやサポート面で不安があった
- 商品のロット管理があいまいな状態になっていた
- 棚別に商品を保管していたため、棚スペースが非効率になっていた
- 商品の保管や出荷が目視チェックや手作業による属人的な管理になっていた
- システムの信頼性とサポート体制の向上で当日出荷体制を支援
- 商品ロット管理の正確性が向上しピッキングミスが大幅に減少
- 棚番管理で棚を効率的に活用し保管スペースを削減
- 倉庫内作業時間を約半分にまで短縮
食品香料専業メーカーの横山香料株式会社(以下、横山香料)様は、カスタマイズやベンダーのサポートに不安があった旧来の販売管理システムをERP パッケージにマイグレーションするため、「スーパーカクテル デュオ販売」(以下、スーパーカクテル)を採用しました。システムの信頼性とサポート体制の向上で当日出荷体制を支援するとともに、倉庫内作業時間を約半分にまで短縮。また、商品ロット管理の正確性を向上させることでピッキングミスが大幅に減少したといいます。今後は、RPA を活用したWeb-EDI の自動化を進めることで、さらなる効率化をめざす考えです。
導入前の課題
カスタマイズ対応やサポート面で不安があった旧販売管理システム
――以前の受注業務や在庫・販売・出荷管理においてどのような課題があったのでしょうか。
吉野:
当社は、大手製菓・製パンメーカーに商品を提供しており、大量受注はもちろん、同業他社には難しい少量多品種に対応する柔軟な営業や、当日出荷対応などのスピーディーな商品供給を強みとしています。そのため、物流拠点の戦略的配置や、機動力を活かした販売体制を構築してきました。それを支えていた従来の販売管理システムは、外部のSIer がスクラッチで開発した独自のシステムで、問題が発生する度に改修を行いながら、なんとか維持してきました。しかし、それを運用する上で主に3 つの課題があったのです。
第1に、システム開発したSIer が少人数体制だったため、カスタマイズやシステム改修など、今後のサポート面で不安がありました。第2 に、商品のロット管理を正しく行っていなかったため、後に入荷した商品を先に出荷するなど、“ 先入れ先出し” の基本ルールが守られない状態になっていました。また、倉庫内では棚別に商品を保管していたため、商品が溢れた棚と、空いた棚が混在し、非効率な使い方も問題でした。
第3に、商品の保管や出荷は、目視によるチェックや手作業が主体で、毎日作業をしている担当者だけが保管場所を把握するなど、個人の記憶に頼る属人的な管理になっていたのです。一部では大手取引先の専用EOS(電子発注システム)も活用していましたが、受信したデータを手作業で管理伝票に起票し、その伝票を元に基幹システムに入力するなど、自動化のメリットを活かせず、ヒューマンエラーのリスクもありました。
和泉:
また、当社の製品は業務用なので、外見が似ており、違いを判別しにくいのです。さらに、製品型番の末尾番号で商品を特定するため、目視に頼るピッキング作業では間違える可能性が高く、誤出荷を防止するのは非常に困難な作業でした。
選定の決め手
旧システムに慣れた社内ユーザにも受入れられやすいスーパーカクテル
――では、どのような解決方法を模索していたのでしょうか。
吉野:
従来の販売管理システムを見直し、次の3つを選定の条件としました。1点目は、パッケージの活用。カスタマイズに対応した柔軟性の高いパッケージを採用し、かつベンダーのサポート体制がしっかりしていることを条件としました。
2点目は、出荷や検品の効率化。ポイントはバーコード管理です。従来もハンディターミナルを用いてバーコードを読み取っていましたが、棚からピッキングした商品のロット番号をシステムに取り込むだけでした。新たな販売管理システムでは、ハンディターミナルと連携することで在庫数や出荷数をリアルタイムに管理し、手入力や目視に頼った属人的な作業を解消しようと考えました。
3点目は、カスタマイズ可能な柔軟性。当社には多くの取引先があり、要望や条件に対応することも求められます。例えば、商品とともに検査証を添付する、品質保証期限まで90日を切った商品は出荷しない、特定の運送会社を使用しないなど。そのためには、人力での対応が難しいため、パッケージにもカスタマイズ機能が必要でした。
――スーパーカクテルに注目した理由についてお聞かせください。
和泉:
スーパーカクテルは、情報システム大手の内田洋行が開発する歴史あるパッケージであり、業務を良く理解したパートナーのユーザックシステムがサポートしてくれるので、とても安心でした。食品業界にも強いと評判だったので、業界特有のニーズもカバーしてくれると考えました。また、カスタマイズにも対応する柔軟性にも注目しました。他のERP では、どれもパッケージに業務を合わせて運用でカバーすることを求められましたが、スーパーカクテルだけは旧販売管理システムの使い勝手をなるべく変えないようなカスタマイズが可能だったのです。旧システムに慣れた社内ユーザにも受入れられやすいと感じました。
――2012年にスーパーカクテルとその連携システムを採用されました。
吉野:
スーパーカクテルをベースに、導入サポートを担当したユーザックシステムが推奨してくれた連携システムを3種類採用しました。1つ目は、BI のデータ集計・活用・分析機能と定型帳票の出力機能を持った「DataNature」。主に営業部門で活用します。2つ目は、ハンディターミナルとバーコードを活用して正確・迅速な検品を行うユーザックシステムの「検品支援名人」。そして3つ目は、従来の専用EOS がサポートを終了したため、2015 年にEDI 業務全体をカバーするユーザックシステムの「EOS名人.NET」に切り替えました。これらのシステムと連携することで、倉庫のロケーション管理やロット管理が容易になり、EOS でデータの自動入力も可能になると考えました。
導入後の効果
年間数十件発見されていたピッキングミスが0件程度まで減少
――スーパーカクテル導入の効果についてお聞かせください。
吉野:
効果は大きく3つが挙げられます。第1に、システムの信頼性とサポート体制の向上。当社はお客様へのサービス向上のため、当日出荷も要望に応じて行っています。そのため、システム障害が発生した場合の迅速なリカバリが極めて重要です。スーパーカクテル導入から約10 年。何度かシステム障害は発生しましたが、その都度迅速に対応いただき、出荷ができないという状況は一度も発生していません。サポート対応には非常に満足しています。
第2に、倉庫内作業の時間短縮。特に出荷の際の納品書や送り状のセットや、送り状ナンバーの記録の作業時間が、従来の約半分にまで短縮することができました。
第3に、商品ロット管理の正確性向上。導入前は、出荷前のチェックで発見されたピッキングミスが年間数十件発生していましたが、導入後は年間で0 件程度にまで減少しました。少量多品種が強みの当社では、非常に改善されたと評価しています。
和泉:
現在の新しいハンディターミナルでは、出庫票のバーコードを読み取り、出荷する商品の棚番を表示させ、その棚に行って商品をピックアップします。商品のロット番号をバーコードで読み取り、合致しているかの判断をその場で行うことができるようになったため、慣れていない社員が作業を担当しても、ピッキングミスはほぼ発生しなくなり、作業時間も半分以下に削減しました。また、従来は商品ごとに保管場所を限定していましたが、現在はどの棚に保管しても棚番で管理がされるようになったので、棚を効率的に使えるようになり、保管スペースの削減にも寄与しています。
――スーパーカクテルと連携システムの今後の展開についてお聞かせください。
吉野:
食品ビジネスにおけるデジタル化の流れに乗り遅れないよう、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進がこれからの課題だと考えています。その1つとして、2020 年から大口のお客様を中心にWeb-EDI (企業間商取引業務をインターネット上で行い業務効率化を図るシステム)を開始しましたが、現在はそのデータをスーパーカクテルに自動で取り込むシステムを開発しているところです。消費者の嗜好が多様化する中、お客様のご要望もより細分化されているので、今まで以上に迅速なサンプル対応や製品出荷でお客様のニーズに応えていく考えです。
和泉:
Web-EDI化を進めていく一方で、いまだFAXによる受注業務も残っており、手入力の解消も大きなテーマです。そのため、ユーザックシステムのRPA(RoboticProcess Automation)「Auto ジョブ名人」の導入も検討しており、OCR を活用したWeb-EDI の自動化を進めることで、さらなる効率化をめざします。今後もこうした業務の改善につながる最適な提案を期待しています。