トーソー 株式会社 様
流通BMSへの対応を機にバーコード検品システムを導入。
誤出荷がなくなり、作業工数も15~20%削減できました。
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イトーヨーカ堂・イオンとの流通BMSに対応。EOS名人.NET 導入事例
カーテンレールで50%以上もの国内シェアを持ち、窓周り製品全般のインテリアメーカーとしてさらに事業を拡大
トーソーさまは、1949年の設立以来、カーテンレールで50%以上もの国内シェアを守り続けています。また、窓周り製品全般のインテリアメーカーとして、近年ではブラインドや間仕切りの企画・製造・販売にも注力し、さらなる事業の拡大をはかっています。
多数の得意先をもつ同社は、これまで、小売業とのEOSにも積極的に対応してきました。
そして、新たなEDIの仕組みである流通BMSについても2012年に対応が完了。
現在はイトーヨーカ堂とイオンとの流通BMSを実現し、誤出荷の削減や作業効率の向上などの成果をあげています。
以下、同社における流通BMSへの対応事例をご紹介します。
(「マテリアルフロー2013年5月号」より転載。本文の一部を編集済み)
取引先から流通BMS対応への要請
本誌(編集注:マテリアルフロー)3月号では日本スーパーマーケット協会などが普及を進める流通BMSの拡大状況を紹介したが、トーソーでも3つのステップを経て2012年末、流通BMSの本格導入を開始した。
同社では従来、取引先50社との受発注情報の電子データ交換は、JCA、全銀手順など従来型EDIで、直接基幹システムで受信。さらに5社とは、手作業が必要な得意先固有のWebEDI方式であった。荷札はこれをもとにつくば、兵庫、札幌、福岡の4か所の出荷拠点で発行し、出荷していた(図1)。
流通BMS導入へのきっかけは2010年、主要取引先であるイトーヨーカ堂が流通BMSへの切り換えを決定し、全仕入れ先に対し導入の働きかけを行ったこと。
「対応しない場合は紙ベースの発注になる恐れもあった」と情報システム室 システム開発課の田中裕史課長は当時を振り返る。
希望する「拡張性」に合致したEOS名人
取引先からの要請が導入の大きなトリガーとなったのだが、「この時期、社内ではこれからは流通BMSのような標準の仕組みを各社が横並びで構築していくであろう、との話が出るようになっていました」(同)という。
「しかし、システム構築には数千万円の投資が必要。それだけの予算をとることができませんでした」それは流通BMSが今後業界全体にどう普及していくか、明確な青写真が描けない段階だったため、大がかりな意志決定がしにくい状態だったからだ。
そこで同社は、イトーヨーカ堂が推奨するパッケージに乗る検討を開始した。ところが推奨パッケージは取引先をイトーヨーカ堂のみ対象としており、拡張性が乏しいのが問題と思われた。
結果として、「推奨パッケージを入れた後、取引先に流通BMS導入企業が増加した段階で別の仕組みを考えようではないか」と、田中課長らは一端、諦めかけた。
そんなとき、ユーザックシステムの提供する流通BMS対応のEDI&物流ソリューション 「EOS名人」に出会ったのだ。同社の望む「拡張性」に合致したスペックを備えるのは、ユーザックのシステムだけだったという。
メーカー、卸などに800社超の導入実績を持つEOS名人は、従来のJCA手順、全銀手順、全銀TCP/IP手順に加え、流通BMSで中小企業に必要とされるJX手順にも対応しているほか、EDI関連の幅広い業務が可能となるパッケージだ。大手企業でも基幹システムをオープン系にダウンサイジングした際のEDIサーバとして多く利用されており、流通BMSで不可欠となるASNデータの送信もできる。
また流通BMSの基本形9メッセージをデータベースで提供するEOS名人は、Standard版(PC)とEnterprise版(サーバ)の2段階のシステムがあり、初めから大規模投資ができない同社にとってはStandard版が最適なソリューションとなった(図2)。
2つのステップで本格導入・稼働へ
こうして同社は2012年2月、EOS名人Standard版を導入、稼働させた。続いて第2ステップとして、イオンからも流通BMS対応の要請があったことで、拡張版であるEnterprise版導入に踏み切り、全面稼働を開始したのが同年12月だ。
梱包に紐付けるイオンの出荷データに対応するため、無線ハンディターミナル(HT)によるバーコード検品もスタートした(図3)。
同時に導入した「Autoブラウザ名人」を活用し、これまで手作業に頼っていたWebEDIの受注業務でのブラウザ操作を自動化させ、基幹システムにも連携可能とした。
加えてバーコード検品システム「検品支援名人」との連携も開始した。これは物流業務を担う物流子会社のトーソー流通サービスの稲付是明所長が以前から望んでいたもので、HTを活用し、正確かつ迅速な検品が可能な、倉庫内業務改善必携ソフトウェアである。
HTで製品バーコードを読み込むことで、目視検品の作業がなくなり、伝票レスによる作業改善につながった。 これにより「誤出荷がなくなったこと、作業工数では15~20%削減できたなどのメリットがありました」と稲付所長は指摘する。
新システムにより誰でもすぐに作業可能になり、2月の繁忙期には応援部隊もすぐに仕事に入れるようになったメリットも大きい。「今後は習熟度が上がることで、さらに作業効率が向上するでしょう」と稲付所長は期待する。
作業の標準化が図れたEOS名人
先述の通り同社の全出荷量が伝票枚数で月15万枚~20万枚のうち、大販東センターでは1万5,000枚~2万枚程度を扱う。
枚数と出荷数はイコールではないが、目視検品段階でも誤出荷は月平均2~4件と納品精度は高かったのが、流通BMSのシステム導入後は誤出荷がほぼゼロになっているという。
「3月現在の流通BMS活用取引先は2社に留まっていますが、従来のEDIでは専門的な対応も必要なため、取引先様ごとに専任担当者が必要でした。それがEOS名人で作業の標準化が図れ、専任者が不要になり作業効率もアップしました」と情報システム室の米田雅人氏は話す。
同社では今後、基幹システム刷新も視野に入れており、将来的にEDIすべてをEOS名人に集約し、基幹システムの負荷を軽減する計画。2013年度から準備を開始する予定だ。
つくば事業場における出荷の様子。15~20%もの作業工数を削減。