スウォッチ グループ ジャパン 株式会社 様
SAPを導入する日本企業にベストマッチ。
日本の商習慣にピッタリの、伝票・送り状発行ソリューション
「伝発名人」 ・ 「送り状名人」
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「伝発名人」・「送り状名人」導入事例
基幹系ERPパッケージのSAPを個々の業務に適用させ、効果的に活用していくには的確なカスタマイズや外部ソリューションとのスムーズな連携が不可欠であるとも言われています。
今回、SAPの導入を進めたスウォッチ グループ ジャパンさまでは、
伝票・送り状発行ソリューションとして伝発名人と送り状名人を導入されました。
ご導入の背景や、その後の効果についてお聞きしました。
(取材協力:扶桑電通株式会社)
世界最大の時計製造グループの日本法人
スイスに本拠地を置き、30カ国以上におよぶ現地法人を統括する世界最大の時計製造グループであるスウォッチ グループさま。グループの100%子会社として、日本国内で時計や宝飾品を販売するスウォッチ グループ ジャパンさま(以下、同社)が展開するブランドは、スイス時計の最高峰に位置するブレゲや機械式時計のパイオニアとして知られるブランパン、高級時計の代名詞であるオメガといったプレステージ&ラグジュアリーレンジ、ロンジンやラドーといったハイレンジ、そしてミドルレンジのティソやベーシックレンジのスウォッチまでと幅広いレンジをカバー。最高品質の製品と充実したアフターサービスの提供で、日本市場を魅了し続けています。
導入前の課題
全てSAPで開発するか、専用パッケージに委ねるか
スウォッチ グループでは、全世界的に情報の一元化とその強化を図るため、基幹系システムを、ドイツSAP社が提供するERPパッケージのSAPに統一することが決定し、現在国ごとに切り替え作業が進められています。
そして、日本では2015年1月に旧ERPパッケージからSAPへの切り替えが完了しました。
切り替えにあたり、出荷業務の面でまず問題となったのは、伝票や送り状などの帳票発行システムを、全てSAPで開発するか、専用パッケージに委ねるかという点でした。
情報システム部SAPビジネスアナリストの石橋さまは、
「日本と海外では、帳票に関する考え方が大きく異なります。例えば、海外では百貨店統一伝票やチェーンストア統一伝票などの連続帳票や、多種にわたる専用帳票は存在しません。A4サイズのラベルに印字して、外箱に貼付するだけです。納品書を製品に同梱することもありません。ともあれ、日本の複雑で多様な帳票生成を全てSAPで開発するのは、スケジュールやコストを考えると難しいと判断しました。なぜなら、伝票の印字位置の調整一つをとっても、SAP側で調整するには本社の外国人SAPエンジニアの手を借りることになります。当然ですが、本社のスタッフは日本語を解しません。そのうえで、日本の伝票の定義や仕組みを一から説明し、理解してもらわねばなりません。私としては、日本特有の商習慣のシステム化は、国内だけで完結させ、なるべく本社と折衝せずにすませたかった。そうでないと、お互いにストレスがかかってしまいます。そのため、全てSAPで開発をする案は早々に排除しました」
と、語ります。
コストやスキル、提案力、完成度、SAPとの連携実績を評価
そこで、SAPへの対応力に優れた伝票発行システムの導入について、懇意にしているITパートナーの扶桑電通さまを交えて検討を始めたところ、奇しくも両社から伝発名人の名前があがったといいます。
石橋さまは、
「前職で伝発名人を利用していましたので、その実力は実感していました」
とのこと。
今回、伝発名人と送り状名人を提案した同社担当の扶桑電通株式会社の馬塲さまも、
「伝票発行といえば伝発名人の名前があがるほど、当社における伝発名人の実績や評価は申し分ありませんでした」
と、両社の意見は一致。2015年1月からの本稼働に向けて、伝発名人・送り状名人の導入が決定しました。
また、伝発名人以外にも選択肢はあったとのことですが、
「コストはもとより、伝票発行に関する経験やスキル、提案力、パッケージとしての完成度、SAPとの連携実績など、ユーザックシステムさんと伝発名人は抜きんでていました」(石橋さま)
と、高く評価していただきました。
導入後の評価
出荷シーンでは
伝票発行と出荷の現況を見ていきましょう。
出荷先は、ブランドによっても多少異なりますが、ホールセール(全国の主要百貨店等)とリテール(専門店等)に大別でき、今後はリテール分野の割合を増やしていきたいとのこと。なお、Eコマース(オンラインストア)を展開するスウォッチだけは、個人あてにも出荷しています。
出荷数量は一日約3,000本、伝票発行枚数は一日約300~400枚です。
伝発名人で発行しているのは、
・自社納品書
・商品貸出書
・チェーンストア(ターンアラウンド型)統一伝票
・百貨店統一伝票
・お買い上げ明細書(Eコマース用)
・自社請求書
の6種類です。
また、送り状名人では、佐川急便のEDI用送り状ラベルを発行中。そのほかは手書きで対応しています。
保管エリアは、スウォッチとそれ以外のブランド製品でエリアを分けています。
また、時計以外に販促品(印刷物やディスプレイ小物など)も保管していますが、これらについても送り状名人で送り状ラベルを発行して出荷しています。
出荷は8名のスタッフが担当しています。出荷作業は、ピッキング・リスト(出荷指示書)によって行われ、商品と出荷に関わるさまざまな情報がバーコードによって紐付けられ、ピッキング・伝票発行・照合・検品・梱包・発送準備等一連の作業が効率よく進められています。
伝票発行と商品との照合を受け持つコントロール・ステーションの女性スタッフからは、
「ここでは、バーコードを読みこみ、伝発名人で出荷先ごとにさまざまな種類の納品書を出力します。わかりやすくシンプルな操作なので、戸惑いなくスムーズに切り替えができました」
との声が聞かれました。
専用パッケージに委ねていなければ、
本稼働後1ヶ月での安定稼働は難しかった
石橋さまは、
「物流業務全般をSAPでカバーしている現地法人もあります。そのような例では、運用開始後も、安定するまで3~4ヶ月かかる場合があると聞きます。当社もある程度の混乱は覚悟していましたが、実際には大きなトラブルもなく、1ヶ月も経過しない段階で安定運用にこぎつけることができました。その点は、本社からも驚きの声と評価が寄せられました。帳票類まで全てSAPでカバーする条件であったならば、1月(2014年7月からプロジェクトスタート)からの運用開始は、とても実現していなかったでしょう」
と、評価していただきました。
ロジスティクス部部長の根木さまも
「SAPと切り離したことにより、システムの改善も非常に速いと思います。SAPの場合、本社へ連絡して対処してもらっていますが、完了までに1~2ヶ月もかかってしまうことがあります。しかし、伝票・送り状発行周りは日本法人だけで対応可能なため、わずか数日で大丈夫です」
と、語ってくれました。
さらに石橋さまは、
「本稼働までの時間が限られていましたので、私自身は、とにかくシステム全体の設計や本社とのコミュニケーションに集中したかった。そのため、伝票や送り状発行については、信頼できる企業に丸ごと任せてしまいたかったのです。結果的に、ユーザックシステムと名人の選択は正解でした」
と、振り返ります。
今後について
今後の取り組みについて石橋さまは、
「旧ERPパッケージでリペアパーツの管理システムが稼働していますので、SAPへの取り込みを進めたいですね。実現すれば、当然伝発名人・送り状名人を介して帳票類を発行することになるでしょう」
と、お話しいただきました。
根木さまも、
「現在、佐川急便さんの着払い伝票も送り状名人から発行できるよう依頼しています」
とのこと。
送り状名人は、あらゆる路線便の送り状や運送ラベルの発行が可能なほか、帳票の追加や修正も容易なため、運用体制の変化にも柔軟に対応可能です。
最後に根木さまからは、
「せっかく送り状名人で送り状を発行しているのですから、いずれ路線便の運賃も自社で計算してみたいですね」
と、新たな計画をうかがうことができました。
スウォッチ グループ ジャパンさまにおける、伝票・送り状発行まわりのシステム化を外部の専用パッケージに委ねる試みは、ERPの再構築を検討中の企業さまにとって、大いに参考になる事例ではないでしょうか。お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
(※2015年10月取材。記載の内容は取材時の情報に基づいています)