SDG株式会社 様(旧:昭和電機株式会社)

「送り状名人」で3つの思い込みから脱却し、「Autoメール名人」との組み合わせでデジタライゼーションを実現

ソリューション:
  • RPA
  • 物流・帳票
対象製品:
  • Autoメール名人
  • 送り状名人
業種:
  • 製造業

事例(PDF)

日々発生する送り状の発行や荷物の問合わせ対応に追われ、営業や開発、製造業務などのリソースが減ってしまう。また、出荷時の送付先へのイレギュラーな申し送りが日々発生し、人的対応の為送り状への記載ミスが発生してしまう。そんな出荷に関連する負荷への企業の悩みは決して少なくはありません。
今回ご紹介する昭和電機株式会社もかつてはそんな送り状発行業務の課題に直面していた会社の一つでありました。
昭和電機(以下、同社)は、「風」を使った産業ソリューションを提供する機器メーカーで、産業用電動送風機の国内トップのシェア6割を誇る電動送風機や一般集塵機、プッシュプル集塵機、ミストレーサ等の環境改善機器等を販売する「ものサービス」に加え、近年は風の流れの解析や製品周りの工事等の「ことサービス」にも力を入れております。
RPA の活用をはじめとした各種業務効率化も積極的に進めている同社ですが、このほど伝票発行システムで複写伝票に発行していた送り状を「送り状名人」で発行し、その問合わせ番号を「Auto メール名人」でメール送信するまでの作業の自動化を実現し高い効果を得ることができました。その経緯について担当者の方にお話を伺いました。

昭和電機の送り状発行業務の自動化に向けた挑戦が始まった。

1950年創業の同社は、『買う身になって深切に!』をグループの基本精神として、創造力と“MAGOKORO” で産み出したサービスと製品を顧客へと提供することを使命として掲げます。
国内生産へのこだわりを貫きながら、製品の加工、組立、検査、包装の各工程を1人で製品1個ずつ生産する「一人一個流し生産方式」を採用し、その当時の社長の判断で2000年より100%受注生産を実現しているのも同社の大きな特徴と言えるでしょう。これにより、標準品の生産にかかるリードタイムを半分以下に削減しているのです。
また近年では、地球と同社の持続可能な発展を目指しSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを積極的に進めており、その一環として従業員がより働きやすく、プライベートも充実することでモチベーションが高まるよう、福利厚生の充実に力を入れています。
そんな同社ですが、今回ユーザックシステムと共に送り状発行業務の自動化という大きな課題に挑戦していったのです。

業務効率化に立ちはだかっていた“3つの思い込み” からの脱却

同社が今回実現したのは、送り状の発行業務の効率化と、荷物問合せの対応工数の削減でした。その最大のポイントとなったのが、“3つの思い込み”からの脱却です。
思い込みというのは、 「送り状を自社で採番することなんてできない」、「運送会社に合わせたレイアウトが必要なので無理」、「これまでと同じ方法でないと顧客に受け入れてもらえない」の3つです。
栗山氏は、「“自分たちにはできない”という思い込みは実は大きく、自動化の高い障壁となりがちです」と話します。
しかし同社では、ユーザックシステムの「送り状名人」を導入することで、これらすべての思い込みが実は不要であったことを実感できたのです。
まず、「送り状を自社で採番することなんてできない」、「運送会社に合わせたレイアウトが必要なので無理」という2つの思い込みについては、自社採番も運送会社ごとのレイアウトも簡単に対応できるようにしました。
そして3つ目の思い込みである「これまでと同じ方法でないと顧客に受け入れてもらえない」については、現場を説得するとまったく問題ではないことが明らかとなったのです。

一日600枚の送り状の封入&スキャン作業が大きな負担に

そんな同社におけるRPA導入の歴史は、5年ほど前に遡ります。かつて同社では、事務系の労働時間の削減、定型作業のロボット化による人的ミスの防止、業務手順の見える化の改善、そして新たな業務の創造を目指して2017年9月にRPA導入を開始しました。これまでに「Autoブラウザ名人」と「Autoメール名人」などのRPAツールを活用することで、40業務(2019年9月時点)を自動化して大幅な業務効率化を実現しており、現在80スクリプト57業務の自動化を実現されています。
「RPA導入の目的は、第一に働き方改革で残業時間を減らし社員を守ることと、そして業務効率化により空いた時間を顧客満足度の向上のために使い、売上の拡大につなげること」と栗山氏は話します。
RPA導入と同時に推進していった大きな課題が送り状の発行業務の効率化と、荷物問合せの対応工数の削減でした。

同社の工場は、一日に600台の生産力があり、その送り先も日本全国に及んでいます。しかしかつては、その送り状を運送会社ごとのフォーマットで販売データから一枚一枚をドットプリンターで出力しており、さらに出荷案内書をそれぞれ封筒に入れて送っていました。このため毎日600通の送付作業が発生し、現場で作業する出荷担当者の大きな負担になっていたのです。
「作業自体も時間がかかりますし、なおかつ営業担当者などから“送り状に○○と書き加えて”といったメールによる依頼が来ると、その内容を送り状の備考欄に手書きで書き加える、といったより煩雑な作業も1日5件ほどあり、日常化していたのです」と栗山氏は振り返ります。

これに加えて、顧客との間に立つ営業担当さらには特定の販売代理店様からも送り状番号を必ず問われるため、その対応も欠かせません。このため、出荷の担当者には、送り状を出力して封入する作業と合わせて、送り状をスキャンしてデータをサーバーにアップするという作業を行わねばならなかったのです。
送り状の問合せ番号は荷物の追跡に必要だが出してみないと分からないので自社で管理したいと運送会社に相談したところ、ユーザックシステムの「送り状名人」を紹介されました。
運送会社から紹介されたということで信頼は厚く、他社製品との比較はしませんでした。

送り状ファイルの自動送付と問合せ番号の自動メール通知を実現

このような状況を改善すべく同社は、送り状発行システムの構築に着手しました。
このシステムは、基幹システム「SMILE」と連携して、拠点別・顧客別の送り状ファイルを2つの工場それぞれのファイルサーバーに保存するというものです。当社では西濃運輸㈱、名鉄運輸㈱、久留米運送㈱、第一貨物㈱を利用しており、この送り状や荷札を発行するためのソフトとして同社が採用したのが「送り状名人」でした。

2017年より送り状名人を導入してまずは大阪本社工場への送り状ファイルの自動送付がスタートしました。送り状に手書きをしていた情報は基幹システム「SMILE」で入力出来、そのデータを送り状名人に取り込んで送り状発行時に記載出来るようになりました。「送り状名人」は自由度が高いのもありがたいです。
以前は運送会社専用の送り状に印字していましたが、今は当社専用レイアウトの送り状で発行出来るようになりました。
さらにその後、送り状と対の関係にある出荷案内書も、自動的にPDF化して海外含めて15拠点ある各営業所のサーバーごとにアップする仕組みも構築しました。お客様に言われた時にすぐ出せるようになったことで営業は楽になりました。そのうえで、メール業務特化型RPA「Autoメール名人」を活用することで、送り状名人で問合わせ番号を自社採番し、その番号をAutoメール名人で販売代理店にも自動メール通知するという仕組みを整えたのです。そして代理店様向けにAutoメール名人を経由してBizFAX(※)から1日出荷した荷物の送り状番号の自動送信をしています。
Autoメール名人があれば、問合せ番号をメールで自動通知してくれるので着荷問合せの電話対応が激減致します。
※BizFAXはNTTコミュニケーションズが提供するインターネットFAXサービスです。
同社では送り状名人、Autoメール名人を組み合わせて使うことにより、出荷業務のデジタライゼーションを実現致しました。

「これまでも、社内間の多くの業務にRPAを活用してきましたが、お客様に対するアクションで用いたのは初めてとなります」と、今回の画期的な点を栗山氏は強調します。

月100時間以上の業務効率化+αを実現

送り状名人とAutoメール名人を用いた新システムの稼働後、送り状発送にまつわる作業は大幅に効率化されることになりました。具体的な業務時間では月当たり100時間以上分の削減効果が確認されています。

小山氏は次のように話します。「出荷担当者からは、毎日20時ぐらいまで残業していたのが、18時の定時に帰れるようになったとの声が寄せられています。また営業担当者からも、お客様からの問い合わせ対応が生じなくなったと評価されており、工場側での対応の効率化も進むなど、会社全体では数字を遥かに上回る効率化が実現できたのではないでしょうか。また、以前に送り状の印刷に必要だったプリンターの台数も削減できたので、機器やインクに要していたコストもかなり削減できているはずです」

栗山氏も、「やはり送り状の発送にまつわる作業時間の削減効果は大きいですね。出荷担当者の負荷が大幅に軽減できましたから」と続けます。

今回の送り状発行システムとRPA導入による成果を受けて、そこから得られた教訓について小山氏はこう語ります。「自分のところの作業は特殊だからパッケージ製品のような汎用的なシステムは導入できないと思いがちですが、送り状発行はパッケージ製品で対応出来ましたし、RPAに関しても定型的な業務というのは絶対にあるはずなので、まずはそこから自動化することで、他にもこの業務にも適用できるなどが見えてくるので、広げていくことができるのだと改めて実感しましたね」

これまでの実績を踏まえて同社では次に、伊賀工場への送り状発行システムによる自動送付も実現していく構えです。同社の働き方改革と生産性向上に向けた同社の取り組みは、まずます加速していくことでしょう。

企業プロフィール
会社名 SDG株式会社
本社 〒574-0052 大阪府大東市新田北町1番25号
創業 1950年6月29日
資本金 8,850万円
社員数 273名(SDGグループを含む:415名)
事業内容 電動送風機、集塵機、乾燥機などの製造
Webサイト https://www.sdg-ing.com/

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