合資会社親湯温泉 様
多言語アプリで諏訪四社めぐりナビを実現!
インバウンド観光客をおもてなしで地域活性化に貢献
~長野県諏訪市~
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Introduction
諏訪湖、霧ケ峰高原、諏訪大社、上諏訪温泉などさまざまな観光施設のある諏訪市は、地理的に日本の真ん中に位置し「日本のおへそ」とも呼ばれ、多くの観光客が訪れています。そのなかでも今、国内だけではなく海外からの観光客にも人気となっているのが諏訪大社です。
諏訪大社は、諏訪湖周辺に上社と下社、上社が本宮・前宮、下社が秋宮・春宮に分かれる二社四宮からなり、通称「諏訪四社」と呼ばれています。そして、この四社巡りをより深く楽しめるよう、開発されたのが「Suwa Taisha NAVI(諏訪大社ナビ)」アプリです。
特に海外からの観光客を諏訪エリアへ誘導することを目的としたこのアプリは、日本語・英語・フランス語・中国語(繁体) の多言語対応でGPS連動・体験型アプリとなっています。今回は、「Suwa Taisha NAVI(諏訪大社ナビ)」を開発した「上諏訪温泉しんゆ」のマネージャー小林 真衣様、マーケティングチームの酒井 典子様、そして株式会社親湯温泉観光バス常務取締役の宮下 大史様にアプリ開発のきっかけや利用推進のポイントについてうかがいました。
豊富な湧出量と諏訪大社の門前町である上諏訪温泉
ー上諏訪温泉や諏訪大社、しんゆ様についてお聞かせください。
上諏訪温泉の湯量は全国屈指とも言われています。また諏訪湖の湖畔では足湯や間欠泉も楽しめるため、宿泊はもちろん、日帰り観光で温泉に立ち寄られる方も少なくありません。そして、諏訪湖を囲むようにある神社が諏訪大社です。諏訪大社は上社本宮・上社前宮・下社春宮・下社秋宮の四社からなっていて、創建は古事記の国譲り神話にまでさかのぼり、国内でもっとも古い神社の一つとされています。
その諏訪湖の湖畔にあるのが当温泉旅館「上諏訪温泉しんゆ」で、2011年にオープンし、2024年3月に全館リニューアルしました。現在は、「しんゆ」の隣に「萃sui-諏訪湖」という姉妹館もあり、蓼科高原にある蓼科 親湯温泉も含め3店舗で営業をしております。「上諏訪温泉しんゆ」は親子三世代でも楽しめる温泉旅館です。高齢者の方や障害者の方でも安心してお泊まりいただけるよう、館内や一部客室にユニバーサルデザインを導入しております。これに対し「萃sui-諏訪湖」は大人の隠れ家的温泉で、プライベートな空間を大切にした旅館です。
ー温泉旅館として諏訪大社の観光を推進するアプリを製作しようと思われた背景や課題について、お聞かせください。
諏訪湖に温泉旅館を構えた際、当館にお越しになったお客様にこの地域をよく知ってもらうには、楽しんでもらうにはと考え、宿泊者の方向けの諏訪大社の四社巡り無料バスツアーを提供しています。実は諏訪大社四社はそれぞれが離れた位置にあり、すべて訪れるにはタクシーもしくは路線バスが必要でした。ただ路線バスも本数が少なく個人で周るのは難しかったため、できるだけ気軽かつ効率的に周れるように始めたのが当館オリジナルのバスツアーです。
温泉旅館への集客でインバウンド強化策の一つとして、海外の方に諏訪大社四社巡りツアーへ参加してもらうためのアプリ製作
その後、コロナが明けた2022年過ぎから、当館としてインバウンド強化を進めていくなかで、海外の方が四社巡りツアーに参加して楽しめるよう、アプリの製作を開始しました。
それまでは海外の方にとって諏訪は通過点でしかありませんでした。少しだけ観光してそのまま京都や飛騨高山へ向かってしまうため、諏訪で宿泊してもらうのが難しかったのです。そこで、バスツアーに参加してもらい、宿泊地としても諏訪を選択してもらいたいという思いからアプリ製作を検討しました。
ーアプリ製作で海外の方向けに工夫した点はありますか?
インバウンドを意識して日本語・英語・中国語(繁体)・フランス語の多言語に対応させた点、そして四社の各スポットの説明はそれぞれ現地に行かないと閲覧できないようになっていて、実際に四社巡りを体験することを重視した点です。
英語と中国語は英語圏の方、中国語圏の方が多く諏訪にいらっしゃっていることから採用しました。そして、フランス語を選択した理由は、蓼科 親湯温泉でフランスでも人気のある映画監督の小津安二郎さんが好んで利用した客室を再現したというゆかりもあり、フランスの方にも来てほしいといった思いからです。
蓼科 親湯温泉はもちろん、このアプリをきっかけに「上諏訪温泉しんゆ」や「萃sui-諏訪湖」にも興味を持っていただき、ゆくゆくは姉妹館にも宿泊していただければと思い、フランス語も採用しました。
体験型というのは、事前に情報を閲覧して終わりではなく、やはり実際に諏訪大社の四社に訪問していただきたいといった思いが強くあります。そこでアプリ上で自分の位置情報を見ながら四社内にあるスポットを探索していただき、アプリをかざすことでスポットの詳細を閲覧できる仕様にしました。
また、一旦取得した情報は後からでも閲覧できます。帰国後に改めて見直した際に、また諏訪に行きたいなと思ってもらえると嬉しいですね。
現在、四社巡りをされる方の増加につながるとして、「Suwa Taisha NAVI(諏訪大社ナビ)」は諏訪大社様から公式のアプリとして公認いただいております。
ー2022年過ぎにアプリ製作の検討に入り、2024年1月にリリースということですが、実際にどれぐらいの方が利用されているのでしょうか?
現在、当館に宿泊される海外のお客様は全体の10%ぐらいですが、そのなかで四社巡りツアーに参加される方はまだそれほど多くはありません。ただ、旅館内にアプリのポスターを掲示したり、2024年10月からの広報活動の一環で諏訪の観光協会や旅館組合の皆様にもご協力いただきPRをしていただいたりしています。この結果、少しずつではありますが、アプリをダウンロードされている方も増えていますので、これまで以上に多くのお客様にご利用いただけるようさらにアピールをしていきたいと思っています。
Suwa Taisha Naviの今後
ー今後、利用者を増やすためにアプリのバージョンアップはお考えでしょうか?
現在、海外からのお客様が着実に増加しています。2023年度と比較しても倍増まではいかないものの、それに近いぐらいの伸びを感じています。
現状、アジア圏やアメリカからのお客様が多いのですが、近年の傾向として事前にしっかりと調べてから来られる方が多いイメージです。場合によっては私たちにも答えられないぐらいの高度な質問をされることもあります。ですから、アプリでもより詳細な情報を掲載してご満足いただけるようにしたいとは考えています。
また、アプリのなかで四社の位置関係が直感的にわかりにくいということも感じているので、ここは改善ポイントです。多言語対応としたことで海外の方の利用が多く、日本の方にはあまり使われていません。これはバスツアーのなかで運転手による説明でほとんど理解できてしまうという点が理由ではあります。
ただ、アプリのなかで四社の位置関係がよりわかりやすくなれば、バスツアーに限らず個人で四社巡りをする際に日本人の方にも使っていただけます。バスツアーは当館のオリジナルで行っているものですが、アプリをリリースしたのはより多くのお客様に諏訪の魅力を知ってもらいたい、地域へ貢献したいという思いも強くありますので、海外の方はもちろん、日本のお客様にも使っていただけるよう改善は続けていきたいですね。
【Suwa Taisha Naviを公認】諏訪大社 権禰宜 桃井 義弘 様よりメッセージ
「四社(上社本宮・上社前宮・下社春宮・下社秋宮)で諏訪大社と呼んでいます。ただ、本宮と秋宮は人が集まるが、上社前宮と下社春宮がお参りに来られるかたが少ないのが悩みでした。御朱印巡りなど四社にお参り頂くために10年前から取り組んで来ましたが、どうしても参拝者の偏りがあったため、もっと多くの方に四社を知って頂きたいと思い、親湯温泉様が提供されるアプリを公式アプリに採用させて頂くことにしました。
最近ですと、20名ほどのイタリアからの団体様が御柱の周辺で アプリをかざしておられるのを拝見し、アプリ活用への手応えを少しずつ実感しているところです。
今後は多くの方が諏訪大社にお越し頂けるようにアプリの活用を促進したいです。現在4か国語展開ですが多言語化については、諏訪大社の神様について外国の方にも正しくご理解頂けることを最優先に検討をしていきたいと思います。」
ーー本日はお忙しいところ取材をお受け頂きありがとうございました。
【Suwa Taisha NAVI(諏訪大社ナビ)】開発者の声
国外の方に諏訪大社をより深く知っていただく機会となるよう、同アプリを開発させていただきました。当初想像していたよりもスポット数が多く、ほとんど知らないことばかりでしたので国内の方にもご利用いただきたいものとなったと思います。今後アプリを改良するとするならば、スポットの中で重みづけをつけて(ここだけは巡ってほしい)というような見せ方をし、参拝時の作法をわかりやすくお伝えするようなものもいいのかなと考えています。ますます多くの方にご利用いただきたいです。
※2024年11月取材。記載の情報は取材時のものです。