小倉美術印刷 株式会社 様
生産計画の見える部分がわかりやすかった。
お陰様で、紙器の生産状況の可視化が随分進みました。
- ソリューション:
- 対象製品:
- 業種:
事例概要
-
- 生産計画や進捗管理が手作業のため、お客様からの問合せの回答に時間がかかっていた。
- 転記などの手作業が非常に多かった。
- 作業の重複により、事後処理の入力事務が多かった。
- 生産計画と進捗状況のグラフィックな画面での可視化
- 紙器の部品展開のシステム化で、人手による別管理を解消
- 営業担当の受注入力により、入力事務の業務転換を実現
印刷業向け生産・販売情報システム 「印刷業名人」 導入事例
紙の可能性に挑戦する企業
「紙の可能性に挑戦し続ける」小倉美術印刷さまは、大阪府八尾市に本社・工場を構えています。その製品は、薬局の店頭でみられる大衆薬から病院に置かれる薬類のパッケージ及びそれに付随する広告宣伝物、菓子・食品のパッケージ、ポスターやDM・パンフレットなどのプロモーション資材、ドリンクのラベルなど多岐に渡ります。
「いのちある美」をテーマに最先端の技術や機械、システムを積極的に導入。特にパッケージングの分野では、「包む文化の創造」にいち早く取り組み「パッケージの小倉」としても注目される同社は紙のもつ味わいを活かしつつ、斬新かつ柔軟なセンスと技術をもって、時代が求める製品を生みだし続けています。
今回、同社にご採用いただいたのは、印刷業向け生産・販売情報システムの「印刷業名人」。導入の経緯や効果について、同社 代表取締役社長 八尾さま、常務取締役 小城さま、電算システム部 部長の安井さまにうかがいました。
アイデアセンターの開設
「昭和39年に、創業者がアイデアセンターを開設しました。パッケージというコンストラクションを企画する部門です。この部門が箱の構造をいろいろ考えて、お客様に提案するということをいち早く始め、その蓄積が今日でも私たちがやっていける糧となっています。
現在は、もう一つの基軸として、社内のコンストラクションデザイナーを活用した当社独自の紙製品を作りたいと考えています。企画部門だけではなく営業部門も交えた情報共有と時代のニーズを見据えたモノづくりの活動を8月より行っています。新たな活動は、リスクや時間も掛かりますが継続していくことで、考え方や意識の統一も図れればと考えております。10年や20年の単位で続くような、あっという間ですから。そういう布石を打たないといけないと思っています」(八尾さま)
「以前のシステムでは特定の人間だけしか使えないシステムとなっていましたので、全社で使えるシステムにしようと考えていました。それと、紙器(パッケージ)の生産管理の実現です。そこが非常に複雑で、前のシステムではごそっと抜けていたんですね」(安井さま)
新システム導入の狙い
「以前のシステムは、受注・販売・財務だけでした。生産にまつわる情報はなかった。また電算室一か所に集中していました。一方でパソコンも普及してきた。そういう流れに乗ろうというのがもうひとつの動きとしてありました。全員参加のコンピュータです」(小城さま)
3つの目的
「生産管理を重点にシステム化をするということで、次の3点を考えました。まずは生産計画。可視化して、営業担当者がお得意先に対して、今これはここまで仕事が進んでますよ、とか、すぐに言える仕組みです。次いで手作業の削減です、転記などの手作業が非常に多かった。最後に各部署での重複した作業を統合しようと。その結果として、事務に携わっている人たちの転換といったところを狙っていました」(安井さま)。
導入時期
「新システムの導入は平成20年7月。新システム(印刷業名人)に対し、PPS(Printing Power System)という呼称をつけ、社内啓蒙もおこないました」(安井さま)
当社に決定した理由は?
「生産計画の見える部分がわかりやすかったからです。予定組みが一番わかりやすかった。それとイージーオーダー的なサポート、ある程度カスタマイズしてお客さんに合わせますよというスタイル。そういうところが見えたので我々も判断したんだと思います。他社さんのソフトは、ある意味カチっとしていますが、その分制限が多いですよね。まあ良し悪しありますが、そういう部分でもメリットを感じました」(八尾さま)
納期変更に対応しやすくなった
「納期が非常にタイトなことが多いです。手作業で計画をやっていましたので、納期が近いものがポーンと入ってくると、計画変更を手で書き換えていました。しかし、今では画面上で組み替えをすれば、各工程が確認できるという形になっていますので、納期変更などの突発的な変更が非常にやりやすくなりました」(安井さま)
「要は仕事がしやすく、間違いが少なく、時間効率もよくなった。生産進捗もタイムリーに情報がつかめる、ということです」(小城さま)
「内線電話も減りました、生産状況はどうなっている?とか。内線で関係の部署が捕まらないことが多いので、営業の人間が駆けずり回って、聞いて回る、ということが多かった」(安井さま)
「時間の節約ですね。マイクで呼んだり、言った言わないとか。いろんなことが、今は自分でパッと確認できる。そこは大きいところです」(小城さま)
「生産状況が『見える化』できたことが大きいですね。また、お客様からの納期に関する問合せに対し、回答が非常に早くなりました。以前は折り返すことが多かったのですが、今は画面を見ながら即答できます」(安井さま)
見積計算も便利に
「以前は手作業でエクセルを使ってやっていましたが、現在は見積入力を使って原価計算しながらできます。今までの冊子をみながら見積するよりはとても便利です。過去の見積から、参照作成もできますから」(安井さま)
受注画面にファイル添付機能がありますね
「営業での外注に使っています。外注先で一貫生産する場合、営業部で見積を取るのですが、その見積を全部PPSに入れると大変なので、見積自体を貼りつけています。実際原価がどれだけかかっているか確認できます。今までは外注一貫と入っているだけで内容は見られませんでした。これは一体何をしているの? この値段は妥当な値段なの? というのが一切分かりませんでした。そこを皆が見られる様になりました」(安井さま)
発注業務もシステム化
「用紙、外注、副資材の三つ発注があります。外注発注に関しては、社内の機械別計画と同様に、外注分の進捗を見ることが出来ます。また、ファックス自動配信は、主に用紙発注に利用しています」 (安井さま)
作業実績も自動集計
「現場での作業の開始や終了、休憩の開始や終了、それぞれボタンを押すことで作業時間が自動的に集計されます。入力が楽になりました。今までは作業時間を手書きして、その手書きのものを集計していました。おかげで入力業務が減り、違う業務に振り向けることができました。非常に大きかったと思います」(安井さま)
全社利用のシステムということですがPPS(印刷業名人)の端末は全部で何台位ですか?
「現在は63台です。そのうち、ネットワーク経由では20台位です」(安井さま)
PPS(印刷業名人)への評価
「お陰様で可視化が随分進みました。旧システムのときは事務のマシンでした。お金の処理だけですよね。重複した業務も多数ありました。一番最たる例が、営業が受注を受けると、それを紙に書いて女性事務員に渡していました。それをシステムに入力し、伝票を発行していました。
今、PPSでは営業担当が自分で受注入力しています。開発当時、我々もだいぶ言われました。営業に負荷がかかるのではないか、とか。まあそれは押し切ってやって良かったと思いますよ。合理化が図れました。また、タイムリーということにも拘りました。まだ、理想までは100%できていませんが」(八尾さま)
「目標は概ねクリア出来ています。非常に操作が簡単ですし、あらゆる人が利用しています。稼働までは色々苦労しましたが、稼働後は大きいトラブルもなく、良かったなぁと安堵しています」(安井さま)
伝発名人(指定伝票発行ソフト)について
「指定伝票は20種類くらいあります。以前は女性の事務員が手書きをしたり、エクセルで作成したりしていましたが、伝発名人で自動発行できるようになりました。あと指定伝票にこの先方コードを入れてくれ、というのが増えてきましたが、伝発名人の場合はユーザ側でカスタマイズできて便利です」(安井さま)
検品支援名人(無線ハンディターミナル)のご採用(利用用途 : [1]用紙の入荷、[2]外注上りの入荷、[3]製品の出荷、[4]棚移動、[5]棚卸)
「その場その場で処理をしていくということが随分出来るようになりました。以前は入庫したり出庫したりした後、手書き資料を別の人に渡して入力してもらっていました。今は入出庫現場の人間がハンディで入力業務をやっています。自分が入れたデータがすぐに反映されますので、そういったことをキチンとやっていかないといけない、という意識が高まってきました。タイムリーに仕事ができるという意識改革は、狙い通りです。また、物の出し間違いのチェックにも大いに役立っていると思います」(安井さま)
「正確性が上がった。ピッと読む、イコール確認をしているということですから。間違っていたらエラーが出ますので、事故防止になりますね」(小城さま)
入荷や仕入もハンディで管理
「ハンディを使って外注と用紙の入荷を現場で実施しています。各発注部署では、その入荷情報を元に、仕入一括計上という画面で、確認をするだけになりました。現物が入荷した時点で、入力されますので、進捗もリアルタイムで、他の人たちに見えます。入荷はされたがまだ仕入はされてない、というような形で。
今までは入荷があってもすぐにシステムに入力されず、3,4日遅れることはざらにありました。旧システムでも進捗を見る画面はありましたが、ほとんど利用されることはありませんでした。今ではタイムリーに情報が上がるので皆が確認するようになっています」(安井さま)
2次元バーコードで棚卸管理
「1年に大きなのは2回、小さいのは4半期ごとにやってます。バーコードは、桁数を豊富に使える2次元バーを採用しました。バーコード付きの製品ラベルと現品票を利用しています」(安井さま)
今後について
「内職関連のシステムや、製造規格管理など、そういったところをやっていこうと。そのやり方は本当に正しいの?というところをちゃんと見極めた上でシステム化しようと、いう話をしています」(安井さま)
ありがとうございました。
2010年9月取材(記載内容は取材時の情報です)