日本農産工業 株式会社 様
基幹システムの再構築を機に、EDIシステムも全面刷新
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事例概要
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- システム開発のスピードアップとコスト削減
- システムの分散化による運用負荷増大
- 流通BMSへの対応要請
- 自社開発のできるEOSパッケージの導入
- 本社サーバーによる集中管理とWebシステムによる帳票発行
- 流通BMS対応のための基盤整備
量販店オンラインシステム「EOS名人」・伝票発行システム「伝発名人 for Web」導入事例
配合飼料のリーディングカンパニー
横浜ランドマークタワーに本社を構える日本農産工業(以下、同社)さまは、配合飼料のリーディングカンパニーとして、1931年(昭和6年)の設立以来、国内の畜産業界や水産業界の発展に大きく寄与してこられました。
また、飼料メーカーとして長年培ったノウハウを活かし、1976年には海藻(甲状腺ホルモンの生成に欠かせないヨードを多く含む)粉末などを飼料としてニワトリに与えた「ヨード卵・光」を発売。四半世紀が経過した現在も、「プレミアムエッグ」としてトップシェアを堅持しておられます。
基幹システムの再構築を機にEOSも刷新
「食といのちの未来をひらく」を企業メッセージとして掲げ、さらなる成長をはかる同社は、2010年3月末、情報の一元管理や即時性の追求、ハードウェアの更新などを目的として基幹システムを再構築されました。
同時に、量販店との受発注業務を担うEOS(Electronic Ordering Systemの略、電子受発注システム)も全面的な見直しを実施。それまで利用していたX社のシステムからユーザックシステムのEOS名人と伝発名人 for Webに切り替えられました。
この背景には、どのような課題があったのでしょうか。
導入前の課題
端末の老朽化にともなうトラブルが心配
量販店とのEOSは、「ヨード卵・光」を中心とした鶏卵の受発注が対象です。前述のとおり、このEOSはX社のシステムで運用されてきました。全国6拠点の専用端末で、受信から伝票発行までを担っていたのです。
同社 業務推進部 部長代理のS氏は「このシステムは、X社の担当者が手組みでゴリゴリ開発しただけあって、現場での操作性には大きな課題はありませんでした。しかし、端末が老朽化してきたため、予期せぬハードウェアトラブルで業務がストップしかねないという不安を常に抱えていました。もう、待ったなしの状況でした」と語ってくれました。
EOS先追加時の納期とコストに課題が
また、業務推進部 システムグループのO氏は、「属人性の高いシステムでしたので、新規EOS先の追加や仕様の変更など、何かあればX社に依頼するしかなく、その費用や納期については不満を感じていました。卵という、どちらかと言えば薄利多売的な商材を取り扱っていますので、EOSに取り組みたくても、残念ながらコスト面で見送った得意先もあります。また、せっかくEOSでの対応を決定しても、X社のマンパワー不足のため対応に時間がかかり、営業担当者からクレーム がでることもありました」と言います。
各拠点での分散処理もネックに
さらに、「そのほかにも課題はありました。拠点ごとに発注データを受信していましたので、何らかのトラブルが生じた場合、急な出荷拠点の変更に対応できていませんでした。また、システムにトラブルが発生するとX社に対応を依頼せざるを得ないため、必要以上に時間やコストがかかってしまう点や、拠点の営業実績が、本社の営業担当者あてに、毎日FAXで送られてくる点も煩雑でした。これらの課題を解決するため、基幹システムの再構築を機に、必然的にEOSの見直しもおこなったのです」(O氏)。
対応策
新システムは、自社開発によるEOS先の追加・修正やサーバーでの一元管理が可能に
EOSシステムの再構築にあたっては、「以前から、セミナーの案内など、さまざまな情報提供を受けていたユーザックさんに相談することにしました。ユーザックさんのEOS名人なら、X社のシステムとは異なり自社開発が容易であると感じられました。また、本社での一元管理も実現できると考えました」とS氏。
そこで当社は、同社の課題などをヒアリングさせていただいた結果、EOS名人と伝発名人 for Webを提案いたしました。つまり、まずサーバー側ですべての量販店からの発注データを受信(4回線)し、地域や商品別にデータを振り分けます。次に、拠点からブラウザ経由でサーバーにアクセスし、量販店別のメニューから伝票発行などをおこないます。
このしくみは端末にソフトが不要なうえ、データ訂正や追加も集中管理できるというメリットがあります。また、入出力ファイルの変換定義や項目ごとの計算式が簡単に設定できる「データマッピング機能」などにより、新規EOS先の追加や修正がプログラムレスで可能となります。
25社50メッセージで稼働開始
当システムの採用が決まったのち、O氏とソフト開発協力会社のK氏を中心にシステムの設計・開発を進め、新・基幹システムの設計終了後、約5ヶ月で本稼働にいたりました(25社50メッセージ)。
「非常にタイトなスケジュールでした。新たなシステムですので触りながら仕様を覚えていき、ユーザックのSEさんの支援もいただきつつ、何とか予定通りに立ち上げることができました」(O氏)。
導入後の効果
新規EOS先への対応が、新システム導入前の1ヶ月から3日にスピードアップ
今回のシステム化について「新規EOS先のシステムを自社で開発できるようになったため、迅速に対応できるようになりました。以前は1~2ヶ月もかかっていたものが、今後は3日で対応できると思います。実は、今も3、4社との新規EOSを計画中です」とO氏。
また、オンライン受信のスケジュールについては「サーバー側での一括受信になり、立ち上げ当初は試行錯誤しましたが、現在では問題なく運用できています」とのこと。
S氏は「今まではデータが分散していましたのでバックアップも取りにくい環境でしたが、一元管理により、保守性や安全性が格段に向上しました。また、現場はWeb画面の操作のみで運用できますので、万一端末が故障しても、すぐに他の端末でカバーができそうです」と語ってくれました。
また、拠点の営業実績についてはFAXでの報告を廃止。代わりに実績確認用のWeb画面を用意したため、営業担当者がいつでも確認することができ好評とのことです。
システムに対する全体的な印象としては「パッケージソフトでありながらも自由度が高いと言いますか、思い通りに開発ができますので非常に使いやすいですね」とO氏。
今後のテーマ
流通BMS(※)にも積極的に取り組みたい
今後についてO氏は「当社も流通BMSへの対応体制が整いました。今後はJCAから流通BMSへの切り替えにも積極的に取り組みたいですね」と語ってくれました。
ありがとうございました。
2010年6月取材(記載内容は取材時の情報です)
※流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)
経済産業省(当時、通商産業省)の「流通サプライチェーン全体最適化事業」に端を発し、日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会をはじめとする業界団体が検討、実証実験を重ねて作成された、流通業界における新しいEDIのガイドライン。通信基盤はインターネット、データ表現形式はXMLを採用するほか、データフォーマットや業務プロセスも標準化された。 2009年10月に発表された流通BMS Ver1.3は、今後、食品以外の業界への広がりも期待されている。