株式会社 ニップン 様
WebEDIの煩雑な受注処理を完全自動化
大幅な業務効率化を達成
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WebEDIの拡大とともに、手作業による繁雑な受注処理が増大
「オーマイ」パスタで知られるニップンは1896年、欧米式機械を利用した日本初の近代的機械製粉会社として誕生した。
それ以来、製粉事業を核に、プレミックスなどを扱う食材事業、パスタや家庭用グロサリーを扱う加工食品事業、弁当や総菜を扱う中食事業、冷凍生地や冷凍パスタを中心とした冷凍食品事業を柱に、食品事業を幅広く展開してきた。
最近ではヘルスケア、バイオ関連などを有機的に連携させて事業の多角化を進めるとともに、グループの拡大に取り組んでいる。
同社は1960年代からメインフレームを利用していたが、2006年にSystem p へ移行し、基幹システムの再構築を果たした。現在はPower Systems 550 のAIX上で販売管理システムを運用するほか、System x をはじめとする多数のPC サーバーを導入している。
同社の取り組みで注目されるのは、近年WebEDI の拡大とともに増大していた手作業による煩雑な受注処理を完全自動化し、受注の効率性を大幅に向上している点である。
その運用内容を詳しく見てみよう。
「Autoブラウザ名人」でWebEDIの手作業を完全自動化
同社の受注ルートはEDI、WebEDI、Faxと3つあるが、2000年に入ってからは新規の取引先を中心にWebEDI経由の受注が拡大している。
その場合、受注・受け渡し部門の担当者が取引先のWebEDIサイトに毎日アクセスし、受注内容を画面で確認。受注ファイルをダウンロードして、販売管理システムに手作業で入力。出荷後は納期回答や出荷実績報告などを送るといった業務に対応する。
取引先ごとに用意されたサイトにアクセスして、こうした処理をすべて手作業で行わねばならず、WebEDIによる取引拡大とともに、担当部門の負荷も増大しつつあった。
そこで何らかの方法で自動化・効率化を検討していたところに浮上したのが、「Autoブラウザ名人」(ユーザックシステム)である。
同製品はブラウザ操作を自動化する機能を備えており、ブラウザ操作の記録や再生、外部プログラムの起動、自動巡回機能(タイムスケジューリング機能)、ログの保存、管理者へのメール通知といった機能をサポート。
さらにこうした機能をベースに、取引先ごとに異なるWeb画面に対応するためのスクリプト開発支援機能も備えている。
「受注業務の自動化に活用できるのではないかと考え、性能・機能を慎重にチェックしました。得意先ごとに業務内容や実施作業、実施サイクル、対応時間、月間削減可能時間やコストパフォーマンスなどを精査した結果、2005年10月に採用を決定しています」と、当時を語るのは総務部情報企画推進室の佐藤彰夫室長である。
同年12 月、System x に「Autoブラウザ名人」を導入し、東部・西部管理部のWebEDI業務の自動化に取り組んだ。ログインから受注データのダウンロードまで一連の処理を自動化するスクリプトを取引先ごとに作成。最初のスクリプトは、ユーザックシステムの支援を得て作成した。この一連の業務対応は、システム子会社であるニップンビジネスシステム(株)が担当している。
「Autoブラウザ名人」が備えるスクリプトはVisual Basicに似た簡易で使いやすい言語であったため、作成にそれほどの工数は必要とせず、2006年に入ってすぐに名古屋・福岡の両支店を含めた4拠点での全面運用が実現した。
受注体制は担当地域制のため、全国チェーンを展開する得意先の場合は、IDを事業所ごとに取得し、該当の事業所で担当地域の実績だけを抽出して処理していた。これを1つのサーバーに集約して処理の統一を図るとともに、管理部門の業務をシステム部門へと移管した。現在は22本のスクリプトが稼働している。
取引先が画面レイアウトなどを変更するたびに、スクリプトの修正が必要になるが、同社では頻繁に変更されるログインIDとパスワードの管理機能はスクリプトから分離し、独自にプログラム化するなどの工夫で、メンテナンス性を高めている。
取引先それぞれのWebEDIサイトにアクセスし、ログイン、ボタン操作、受注データ表示、ダウンロード、ログオフ、販売管理システムへのデータ入力といった一連の作業を完全自動化し、煩雑な手作業から解放された結果、同社では1拠点で、月間30時間の工数削減が実現したと試算している。
※2024年7月現在、Autoブラウザ名人は利用されていません
基幹システムと連携し 出荷案内データを 「Autoメール名人」で送信
また2010年にユーザックシステムから「Autoメール名人」が発売されると、eメールを利用した簡易なデータ交換システム構築を目指して、すぐに導入を決めた。
同製品はメールの送受信、添付ファイルの取り込み、データ変換、外部プログラムの起動(印刷やPDFファイル変換)など、一連のメール業務の自動化が可能である。
同社の場合は、得意先へ毎日送っていた出荷案内を「Autoメール名人」で自動化した。出荷が計上されると、販売管理システムからそのデータをExcelもしくはCSVのファイル形式でメールに添付し、自動的に取引先へ送信する。
佐藤氏は、「Autoブラウザ名人」「Autoメール名人」の有用性を認め、WebEDIに限らず、さまざまな場面で有効に利用する取り組みを始めているようだ。
例えば「Autoブラウザ名人」は、ファイアウォールからサービスログを自動収集するのに活用している。また「Autoメール名人」は、運送会社から送られる運賃の請求データを自動的に販売管理システムへ送信・入力している。
今後はシステム環境全体でこうした自動化の領域を進め、運用業務の効率性を高めていく方針である。
(2013年9月取材。記載の内容は取材時の情報です)