日本農薬 株式会社 様
運賃計算や運賃請求書とのチェックに13日間かかっていた。
出荷支援システム導入により、人員を増やすことなくわずか3日で対応可能に
- ソリューション:
- 対象製品:
- 業種:
出荷業務支援システム「送り状名人」・「運賃計算システム」導入事例
日本で最初の農薬総合メーカーとして知られる日本農薬株式会社様(東証1部上場)では、同社の物流機能を担う子会社の株式会社ニチノーサービス様とともに、出荷業務と運賃請求書のチェック業務を効率化するため、全面的な業務改善と情報システムの刷新に取り組まれました。その模様を詳しくレポートします。
情報システム刷新の必要性
日本農薬株式会社様(以下、日本農薬様)は、日本で最初の農薬総合メーカーとして1928年(昭和3年)に創立されました。以来、その事業範囲は農薬だけにとどまらず、医薬品や医薬部外品、動物用医薬品など多岐にわたり、「生命と緑を守る企業」として確かな歩みを続けておられます。
日本農薬様を支える情報システムは、これまで大型汎用機による販売物流システム、債権・債務管理システム、会計システムなどが中心でした。ところが近年、受注から出荷までのリードタイム短縮や事業の拡大に伴う取り扱い品目の増大などにより、日本農薬様を取り巻く環境が大きく変化。計画(生産・調達・販売)とサプライチェーンの柔軟な連携が、より強く求められるようになってきたのです。さらに技術者の不足が心配される2007年問題もあり、抜本的な対策が急務となりました。
そこで日本農薬様は、大型汎用機からオープン系システムへの刷新を決定。そして、2005年には全社的な業務改革プロジェクトを立ち上げ、新システムの構築に向け動き出しました。
お客様満足向上のため業務改革を推進
今回のプロジェクトでは、出荷業務や運賃の支払業務にも注目しました。お客様満足を向上するためには見直さなければならない業務であり、改善効果も高いと考えられたのです。そこで日本農薬様の物流機能を担う子会社の株式会社ニチノーサービス様(以下、ニチノーサービス様)とともに、次の3つの改革テーマに取り組むことになりました。
1.出荷事務作業の効率化(共通の送り状・記載内容の工夫・名寄せなど)
2.出荷時の積み残しや仕分けミスの防止
3.改正下請法への対応(運賃の支払期間を70日から60日へ短縮)
システム会社の選定について同社 管理本部 経理・システム部 専任課長 菊地さんは「各システム会社の提案を比較・検討し、ユーザックシステムさんへの発注を決定しました。その理由は、以前より導入している『伝発名人』の評価が高く、また当社が取り組む今回のテーマに対する提案経験が豊富な点、そしてコスト面です」と話していただきました。
出荷支援システムの構築と導入効果
今回、日本農薬様にご採用いただいたのは、送り状や荷札の発行と、運送会社へのデータ送信(EDI)が可能なパッケージソフト「送り状名人」をベースに、路線便の運賃計算機能を追加した出荷支援システムです。
本システムのご採用により、次の効果が得られました。
1.運送会社共通の送り状による運用
各運送会社専用の送り状ではなく、共通で使用できる日本農薬様オリジナルの送り状に刷新。新しい送り状の特徴は、備考欄を大きくとり、商品名や数量なども印字している点です。これにより、荷揃え後のチェックが確実となり、誤出荷が激減しました。また、着地店コードの印字により集荷時の作業効率が大幅に向上した点や、伝票番号の自社採番により荷物の追跡が容易になり、お客様満足度が向上した点もポイントです。さらに、プリンターへの送り状の架け替えが不要となったため作業が効率的になった点、同一送り先を一つにまとめる“名寄せ”により、送り状の枚数が削減したなどの効果もありました。
なお、今回は次の運送会社とのEDIを実現しています。
- エスライン九州
- 王子運送
- 岡山県貨物運送
- 九州西濃運輸
- 九州西武運輸
- 九州福山通運
- 久留米運送
- 第一貨物
- トナミ運送
- 新潟運輸
- 名鉄運輸
など(50音順)
2.運賃支払い業務の効率化
日本農薬様では、改正下請法への対応のため、運送会社への運賃の支払いを、70日から60日に短縮する必要がありました。そのためには、運賃計算業務や、運送会社からの請求書のチェック業務を効率化することがポイントです。そこで今回のシステム化では、運賃を自動計算する仕組みや、運送会社からオンラインで送られてくる運賃請求データとの照合を自動的に行う仕組みを取り入れました。違算があれば、原因追求とデータのメンテナンスを行い、基幹システムへ受け渡す運用です。
結果として、それまで13日間かかっていた業務が、担当者を増員することなく、 わずか3日で終了できるようになりました(担当者を増員した場合、年1,000万円の経費増と試算)。
また、輸送量届出書(トンキロ報告書)作成のための基礎データがCSVで出力できますので、書類の作成も容易です。
総括と今後の改革テーマ
今回のシステム化を振り返り、菊地さんは、「費用対効果の面で大変満足をしています。ユーザックさんには、今後もコンサルティング的な物流提案を期待したい」と評価していただきました。また、ニチノーサービス 生産・物流部 部長補佐 須内さんと同 大阪事務所 物流センター チーフ 山下さんからは「バーコード管理を行い、誰でも正確に出荷できるようにしたいですね。そのためには、さらなる社内体制の整備や業務プロセスの見直しが必要です」と新たな改革テーマに取り組む決意をうかがうことができました。
ありがとうございました。
2010年3月取材(記載内容は取材時の情報です)