RPA
RPAお役立ちコンテンツ5選<Autoジョブ名人・Autoメール名人>
RPA(Robotic Process Automation)を活用して効率化した5つの事例と業務改善プロジェクトに役立つ4つの資料をご紹介します。
RPAを導入して一定の成果を上げたものの、活用が進むにつれて徐々に効果を実感できなくなるケースがあります。
一方で総合専門商社の株式会社日伝は、2012年にAutoメール名人をはじめとする名人シリーズを導入後、12年にわたって受注業務などを自動化し、2022年度は6,400時間、2023年度は6,048時間の業務時間削減に成功しています。背景には、自動化を推進するDX・IT推進部のメンバーによる工夫がありました。
RPA活用でありがちな「エラーで止まってしまう」「エラーに対処できない」といった問題にどのように対処しているのか。また、RPAの長期運用で費用対効果を出す秘訣とは。DX・IT推進部の皆さんにお聞きしました。
※名人シリーズ導入時の事例はこちら
――名人シリーズを導入するまでの経緯や自動化している業務について教えてください。
梶田和良氏(DX・IT推進部 DX・IT推進課長):以前は、顧客である販売店様の各事業所からFAXで当社の各営業所に発注データを送っていただいていたのですが、販売店様の業務プロセス変更に伴い、全拠点分の発注データを一括してメールで送っていただくことになりました。
これによって、届いたデータを仕分けて基幹システムに登録する作業と各営業所に振り分ける作業が新たに発生しました。1日5回、所定の時間に送られてくるメールを待ち構えて決められた時間内にミスなくこれらの作業を実施するのはかなり負担が大きく、2012年にAutoメール名人をはじめとする名人シリーズを導入し、自動化することになりました。
田中省吾氏(DX・IT推進部 DX・IT推進課 リーダー):名人シリーズで自動化している受注業務は、メールの他にオンラインストレージ、WebEDI経由のものがあり、この3つで受注業務全体の25%を占めます。WebEDI経由の受注は数件で、ほとんどがメールによるものです。
メールによる受注業務は、添付のCSVファイルから必要なデータを取得し、データを変換して基幹システムに転記し、各営業所にメールで通知する流れを自動化しています。
他にも、商品の在庫がメーカーからいつ納品されるかをお客様にメールでお伝えする納期回答業務や、商品の出荷をお知らせする出荷通知業務を一部名人シリーズで自動化しています。
――名人シリーズの活用状況を教えていただけますか?
南野小奈美氏(DX・IT推進部 DX・IT推進課 チーフ):Autoメール名人とAutoジョブ名人を9台の実行機で稼働し、1台の開発機で開発を行っています。
現在は170社分の約400スクリプトが稼働中ですが、今後は実行機を6台増やし、「データを受信する端末」「データを変換する端末」のように作業ごとに実行端末を分け、処理スピードを上げたいと考えています。
データの処理量についてですが、当社が休業中にも注文データを受信するため、連休明けは特に多くなりがちです。
混雑している状況でもデータを素早く処理する方法をテストした結果、台数を増やすことで解決できそうなので、新たに6台の増設を決めました。
――名人シリーズによる自動化の効果を教えてください。
梶田氏:2022年度は6,400時間、2023年度は6,048時間の業務時間を削減し、直近2年間で年6,000時間以上の削減に成功しています。これは、ひと月当たりに換算すると約500時間の削減になります。
毎日休みなく決まった時間に稼働し、ミスをしない上、これだけの時間を削減する。人では到底できないことです。
――2012年の導入から現在に至るまで長期運用し、大きな成果を上げている秘訣をぜひ伺いたいのですが。
南野氏:当社では、スクリプトの安定稼働のためにさまざまな工夫をしています。例えばエラーが発生してスクリプトが停止したときは、Microsoft Teams経由でDX・IT推進部の全員に通知が届くようにしているため、エラー発生後すぐに対応することが可能です。
エラーの原因が元データにある場合はお客様に対応をお願いしますし、スクリプトに不備がある場合は部署のメンバーが即日対応しています。
また、専門の端末と目視で「一定時間内に必要なデータを出力できているか」「時間がかかりすぎていないか」を監視し、異常な動きがあった場合にアラートを出すようにもしています。
安定稼働には、開発時の工夫も欠かせません。例えば日付のデータには、スラッシュの有無や全角半角の混在など、いろいろなパターンが存在します。どのようなパターンでも一定の形式に変換するフローにしておけば、エラーによる停止を防ぐことができます。
梶田氏:当社では、一つ一つのエラーにきちんと向き合うことを大切にしています。原因を特定してお客様にお願いできるところは対応をお願いし、こちらで対処できるところは対処し、ノウハウを蓄積してエラーの減少につなげる。こうした改善のサイクルを回し続けることが、大きな成果につながっていると感じています。
南野氏:名人シリーズの開発のしやすさが、一つ一つのエラーに向き合うことを可能にしている面もあると思います。例えばAutoジョブ名人・Autoメール名人には、レベル別の学習コンテンツが開発者スキルに合わせて用意されています。当社では、入社当時の木村に初心者向けの「Autoジョブ名人開発体験セミナー【初級編】【中級編】」を視聴して学んでもらいました。その結果、今では開発のコツを覚え、Autoジョブ名人の開発をメインで担当してもらっています。
――改善のための文化が社内に根付いているのは素晴らしいですね。削減時間の他に効果を実感している部分はありますか?
牧野右京氏(DX・IT推進部長):名人シリーズ導入後、当社の生産性は飛躍的に向上しました。この12年間で売上額が50%アップしたのに対し、従業員数は22%アップとなっており、1人当たりの生産性が大幅に向上しているのは事実です。
最近、EDIを進めて行けば、それぞれの営業所の業務効率が上がることが社内でようやく認知されるようになってきました。EDIの進捗は営業所ごとに差があるため、DXをさらに推進してその差をなくしていけば、全体でより大きな成果を得られるはずだと考えています。
――今後、名人シリーズによる業務自動化の範囲を拡大していきたいとお考えですか?
南野氏:今はまだそれほど業務量が多いわけではないのですが、仕入先との業務にも活用したいと考えています。それに伴い、実行機の台数がさらに増える可能性はあります。
――Autoメール名人やAutoジョブ名人に対するご要望があればお願いします。
南野氏:Autoメール名人では、選択処理までのルートの矢印を色付きで表示できるといいですね。また、新規作成のときにアプリケーション一覧の選択画面で番号表示をしてもらえると助かります。ロック解除の挙動も改善されると嬉しいです。ロックされたときにパソコンを再起動してもロックが解除されず、そのままフローを実行するとエラーになり動作しなくなってしまうので。
Autoジョブ名人では、スケジュールの繰り返しでタイムアウトを設定できるようにしてほしいです。回数ではなく、最大ループ時間を設定できるといいのですが。タイムアウトした場合は、メールで通知できると助かります。
――最後に、「エラーで止まってしまう」「エラーに対処できない」といった理由でRPAの活用をあきらめてしまう中堅・中小企業に向けて何か一言お願いします。
木村真依氏(DX・IT推進部 DX・IT推進課):名人シリーズのエラー対応時間は、2022年度は年間54時間でしたが、2023年度は年間36時間にまで減っています。
RPAの活用ではエラーは避けられません。しかし自動化すれば業務は必ず楽になります。具体的には、「ミスしてはいけない」「期限に間に合わせないといけない」といったプレッシャーから解放されたり、削減した時間を他の業務に充てて生産性を向上させたりすることが可能になります。そういったことを目指して取り組んでいただくといいのではないでしょうか。
――本日はお忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。
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