株式会社廣記商行 様
取引先440件とのWebEDIをRPAで自動化。
受注業務を効率化した結果、出荷や配送作業を前倒しすることができました。
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事例概要
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- Web経由での受注(WebEDI)が増えたため処理に時間がかかり、受注の締め時間がだんだん遅くなっていった(夜中2、3時)。そのため、出荷や配達、営業にも影響がでていた。
- RPAで受注データを自動的にダウンロードする仕組みを取り入れた。そのため、受注業務も1時間早く締められるようになり、その後の出荷や配送業務に好影響が出ている。
中国料理食材の専門商社
スーパーの店頭でひときわ目を引く赤い缶-万能中華スープの素「味覇(ウェイパァー)」を販売する株式会社廣記商行様は、神戸市の南京町が創業の地。現在は神戸市灘区に本社を構え、東京や名古屋、京都、広島にも営業拠点を展開。中国料理食材の専門商社として確固たる地位を築いています。そして同社は、2020年9月には「味覇」の姉妹商品として「海鮮味覇」を新発売。中華料理だけでなく、和食や洋食の味付けにもピッタリと、売上も好調とのことです。
そんな廣記商行様では、2020年10月にRPAツール「Autoジョブ名人」を導入。その目的や効果を同社品質管理部・システム管理部チームリーダーの小杉様にうかがいました。
――「Autoジョブ名人」のご導入、誠にありがとうございます。どのような業務にご利用いただいていますか?
小杉:
Web受注処理(WebEDI)を自動化するため、2020年秋、内田洋行ITソリューションズから導入しました。当社の場合、5~6年前からWebを利用してお客様からご発注いただくケースが増えてきました。ご利用いただくWebサイトは大きく4つ。インフォマート社のBtoBプラットフォーム、飲食店向けのASPIT、ホテル業界向けのIPORTER、それと当社が立ち上げているECサイトです。各サイトから受注データをダウンロードし、フォルダに保存する。あとは基幹システムが保存したデータを見に行って、データ変換後に取り込む。これら一連の流れを自動化しています。
BtoBプラットフォームをご利用いただいているお客様は約300件です。こちらは1回のログイン作業で、全てのお客様からの発注データをダウンロードすることができます。IPORTERは、約50件のお客様が利用されており、お客様毎に発注データをダウンロードしてくる必要があります。ASPITをご利用のお客様は約30件で、こちらは3回にわけてログインとダウンロード作業を行っています。そして当社のECサイトをご利用いただいているお客様は50~60件。つまり、毎日430~440件のお客様からの発注データをダウンロードしていることになります。
実際に、Webサイトへのログインや日付選択、ページ移動、ダウンロード作業は、日々50~60件行っている計算です。それぞれ、1件当たり2~3分はかかりますから、毎日100~180分は一連の作業に時間を費やしていた計算になります。
――大変な作業ですね
小杉:
当社は24時間の営業体制を取っています。夜勤が夜の9時から始まるのですが、受注業務も夜9時から開始します。そして、0時までにご注文をいただければ翌日にはお納めしています。
夜勤の担当者は5名で、一人目がFAX注文をひたすら入力、二人目がWeb受注対応、三人目が電話対応、四人目と五人目がFAXとWeb受注のサポートを行っています。そして、夜中の1時にいったん受注を締めて、出荷作業に取り掛かります。
――営業を終えたお店が閉店後に商品を発注する。すると翌日には商品が届く。これはお客様に喜ばれますね
小杉:
そうですね。しかし、これには課題がありました。締め時間がだんだん遅くなってきたのです。
――確かに1時といいますと・・・
小杉:
いいえ、それは現在の締め時間です。RPAを導入して早くなったのですよ(笑)。
これまでは、Web受注の件数が増えてきて、どうしても処理が遅くなる傾向にありました。受注の締め時間が夜中の2、3時になると、出荷作業を終えるのが朝の8、9時あたり。営業はそこから積み込みを始めますから、どうしても出発が遅くなる。すると当然お客様への訪問が遅くなってしまう。当社の営業はルートセールスなのですが、営業は配送で手一杯になってしまい、せっかくお客様を訪問しても、営業活動ができないこともあったのです。
――ここを何とかしたかった
小杉:
ええ。何とかして夜勤の負担を軽くしたかったのです。受注の締め時間を早めることができれば全てを前倒しにできますから。
そこで、私の方で色々調べていくと、どうもRPAというのがあって、それを活用すれば何とかなるのでは、と思いいたりました。ちょうどRPAが出始めの頃です。そこから数社のRPAを検討したのですが、まず結構費用がかかるという点がネックになりました。また、マニュアルが英語だったり、シナリオ作成も難しい点が引っかかり、なかなか検討を先に進めることができなかったのです。
そのようななか、内田洋行ITソリューションズに相談すると、「Autoジョブ名人」を紹介されました。詳しく聞くと、これは当社にフィットするのではと感じました。理由の一つが費用面です。当社の場合、RPAをサーバーで動かすなど、大掛かりなシステム構築は不要でした。1台だけでスモールスタートして、もしもダメだったら諦めがつくくらいの金額であることが望ましかったのです。その点、「Autoジョブ名人」は当社が考える価格のイメージに当てはまりました。
次に評価したのは、エラーが発生した場合の原因追及が容易なこと。他社RPAのようにシナリオをフローで作成するシステムは、最初は取っつきやすそうなのですが、ひとたび何か起こると原因追及に時間がかかると思います。その点「Autoジョブ名人」は1行ずつシナリオを書いていくので、どこで止まったのか一目でわかる。これはいいな、と思いました。
シナリオの作成も、導入後の指導をうけるとコツがわかりました。いったんわかると、「Autoジョブ名人」の方がシナリオを作りやすいと思います。
――短期間でシナリオを開発されたとうかがいました
小杉:
2020年の秋に導入し、当社の決算でもある2021年2月までに何とか目途をつけたいと考えました。そこで、私を含め3人でシナリオの開発を進めました。分からないことがあれば、内田洋行ITソリューションズ経由でユーザックシステムのサポートに質問します。すると疑問点が100%解決するのです。これには助かりました。
現在は、Web受注取込の90%は自動化できています。これは、受注業務全体の4~5割ですから効果は大きいです。受注についても、遅くても1時に締められるようになりましたから、夜勤の負担を軽減することができました。また、今後は営業面でも効果がでてくるのではと期待しています。
――今後について
小杉:受注業務以外にも、総務部門の作表も一部自動化を進めていますが、今後は倉庫業務や営業部門の作表についても自動化を進めたいです。また、現在は本社のみで「Autoジョブ名人」を利用していますが、今後は営業拠点にも実行版を導入し、活用の幅を拡げる構想も練っています。
――RPAによって受注の締め時間を1時間も前倒しにできた廣記商行様。今後も更にRPA活用の幅を拡げる計画です。本日はありがとうございました。
(2021年4月取材。記載の内容は取材時の情報です)