アムハード小西株式会社 様
「昨日注文した金物はいつ届く?」「あのネジはどの箱に?」
「送り状名人」の導入で、建築現場からの問い合わせにも迅速に回答
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問合せ対応や業務の効率化が切実な課題
建築用金物を扱うアムハード小西さまでは、お客さまから日々寄せられる出荷荷物の問い合わせへの対応に多大な時間と労力を費やしてこられました。また、増加する出荷量に現場が追い付かず、業務の効率化も切実な課題となっていました。そこで「送り状名人」の導入と出荷現場の改革に取り組まれ、大きな成果を挙げられました。また、RPAによる「攻めの対応」も計画中です。
背景1:出荷窓口/取扱量の増加に伴い送り状の発行業務が負担に
アムハード小西さま(東京都新宿区)は、受注窓口を国内5ヵ所に、大規模な物流センターを埼玉県日高市に構え、国内金物メーカー200社の建築用金物や資材を約一千棟分在庫し、全国各地に出荷しています。
商品発送は、荷姿や量、配達エリアにより4社の運送会社と自社便を使い分けています。物流センター内にある出荷事務所では、受注データをもとに注文書とピッキングリストを発行、倉庫でピッキングした後、出荷案内書を事務所で発行します。
次に、出荷案内書を受け取った出荷スタッフが、出荷商品と出荷案内書を照合して梱包、出荷案内書に確定した個口数を記入します。その後、出荷案内書は再び出荷事務所に戻され、個口数分の送り状を発行して出荷現場で商品に添付し、運送会社に引き渡されます。
一連の出荷業務について、小西正和社長は「度重なる大規模地震の発生や法律の改正により、当社が扱う耐震構造金物へのニーズが高まるなか、出荷量の増加に対応できる物流体制の強化が急務でした。
都度手入力発行で対応していた送り状でしたが、その業務の負担が無視できないものになってきました。
また、事務所と出荷現場の間を出荷案内書や送り状を持って何度も往復する手間や、待ち時間の発生などがリードタイムを長引かせる原因でした。
また、受注担当も、荷物の問い合わせに必要な送り状番号をその日のうちにFAXでお客さまに通知するため、出荷作業が終わるまで待たされることになり、担当の帰宅時間にも影響していました」と、振り返ります。
背景2:受注窓口/電話での問い合わせに求められる迅速な対応
さらに、業界特有のお客さまの事情が加わります。当プロジェクトの責任者、物流事業部の齊藤伸博マネージャーは「納品先は建設現場であることも多く、施工工程にも影響するので、建設資材はジャスト・イン・タイムにお届けすることが求められます。
お客さまは、運送会社のサイトで配送状況を確認するのではなく、受注窓口に直接電話をかけて来られます。また、今すぐ使いたい商品が、お届けした荷物の一番下になっている場合は、どうしても該当する商品が見つけづらくなります。
そのような場合は、当社負担で同じ商品を急送することもあり、そのコストも無視できないレベルになっていました。
商品の配送状況の問合せは、受注スタッフが基幹システムで受注データを確認し『この荷物ならヤマトだな』とあたりをつけ、運送会社のサイトで配送状況を確認し回答していました。
経験を積んだスタッフにしかスムーズに対応できず、出荷後間もない荷物の場合はサイトにも情報が表示されないので、検品や出荷を担当したスタッフを探し、物流センターと電話でやり取りする必要もあります。問合せは1日に数十件、受注担当者の3割近くがこれらの対応にとられていました」とのこと。
送り状名人を採用し、発行業務、荷物問い合わせ業務を改善
これらの問題を解決するために、当プロジェクトを主導したメンバーであり、「物流技術管理士」の資格を持つ小林喜貴チーフは、伝票発行自動化を目的としたシステム導入に加え、出荷現場の抜本的な改善も図っていくこととしました。
システム面での具体策は、送り状発行システムの導入でした。検討に際しては、A社とユーザックシステムからの提案が比較されました。小林チーフは「A社の提案は『梱包前に個口数を確定し、送り状を事前発行しましょう』というものでした。
しかし、そのための商品マスタの整備はもちろん、梱包前での個口数の推測は熟練者でなければ判断がつかず、手戻りが多発する危険性がありました。一方ユーザックシステムさんは、現状の出荷業務を現場に出向き子細に調査・分析したうえで『送り状は個口数が決まる梱包後に発行しましょう』との提案でした。
こちらの方が、現場の実情やニーズに合致していたため送り状名人の導入を決定しました」とのことです。
送り状名人は、基幹システムと連携し、運送会社ごとの送り状を発行することができ、送り状番号を自社で採番できるシステムです。
また今回は、送り状番号が採番された実績データを活用し、Web上で配送状況がすぐに確認できるWeb照会システムを追加開発しました。これにより、お客様からの荷物問い合わせに対し、迅速対応することが可能となりました。
並行して行われた出荷業務の改革
出荷現場の改善策としては、システムと連動して業務フローや出荷場の配置を含め、手戻りがないよう抜本的に見直すというもの。
それまでは、前述のように出荷事務所で発行していた送り状を、送り状名人の特性を活かして出荷現場で発行することとしました。
出荷場を運送会社ごとのコーナーに区分けし、各コーナーに設置したシステム端末とプリンタで運送会社ごとに異なるフォームの送り状を発行して荷物に添付、発送することにしました。
出荷案内書に追加された売上伝票バーコードをスキャンすると、最適な運送便の判別がなされ、簡単な画面とキーボード操作で送り状が発行できるようカスタマイズされています。
また、荷物の緊急度や運送会社の集荷締切時刻に応じて、ピッキングリストや案内書を綴じる色別のファイルを使用し、出荷作業の優先順位を決める体制を整えました。
「物流技術管理士」の視点で効果を検証
以下、小林チーフがまとめられた定量的な導入効果をご紹介します。
- 送り状システムの導入と業務フローの見直しにより、1明細あたりの作業工数は9 → 5と4工程削減した。また、手待ちや手戻りも5工程分減らすことができ、合計で14 → 5と9工程の削減が可能になった。また、工程の整流化に伴い、出荷までのリードタイムは従来の15分から8分になり、7分間の短縮を実現した。
- 従来5.5名の事務スタッフが送り状作成やピッキングリスト発行にあたっていたが、送り状を現場でスキャン発行できるようになったことから、工数は50%削減し2名で対応することができ、3.5名分の省力化を実現した。
- 受注窓口のスタッフも、お客さまからの荷物問合せに対し、その電話中に対応することができるようになり、問合せ対応工数は50%以上削減した。
また、定性的には、時間に追われていた出荷担当は作業に余裕が生まれ、緊張を強いられていた受注担当も心理的負担から解放されるなど、当初導入に懐疑的であったそれぞれの現場からは、現在では歓迎と評価をもって迎えられているとのことです。
さらなる改革。自社便への展開とRPAを利用した「攻めの対応」へ
ここまで、顕著な成果を挙げた同社ですが、この効果をより拡大し発展させるためのさらなる取り組みを計画しています。
まずは、送り状名人の自社便への適用です。自社便は、運送外注コストの高騰や責任ある配送品質を追求する同社にあってはますます比重が増しています。具体的には、送り状名人で出力した自社便の送り状にバーコードを記載し、ドライバーは配達完了時にモバイル端末でスキャンしメール送信するというもの。Autoメール名人の機能も活用することで、自社でリアルタイムな着荷ステータス管理ができるようになります。
さらには、受け身ではなく「攻めの対応」ともいえる取り組みも構想されています。RPAツール「Autoジョブ名人」の導入です。運送会社のサイトから配送状況を自動収集、Web照会システムの着荷ステータスを自動更新することでさらなる顧客サービス向上策を計画しています。
アムハード小西さまのお客さまサービスと業務改革への取り組みは続きます。
(2019年2月取材。記載の内容は取材時の情報です)