電子取引ニーズ多様化対応 WebEDI・流通BMS組み合わせ

電子取引ニーズ多様化対応 WebEDI・流通BMS組み合わせ
Before
  • 専門のオペレーターが受注システムのPCを手動で管理していた。取引先1社ごとに異なる個別システムにシステムログイン、データ入力、発注データダウンロードなどの一連の手順を365日行っていたが、WebEDI導入企業が20社以上に増えてきたことで、人員の増強もしくはシステム対応が求められるようになった。
After
  • 人の手で行うことで発生していた人為的ミスを解消しただけでなく、処理のスケジュール化を行うことで、タイムリーな作業も確立した。「何より本業に専念できることになったことが大きい」現在は1日当たり約200のスクリプトを実行しており、「『Autoブラウザ名人』がなければ、人員を増やしていた」

効果の出るIT活用術

ユーザックシステム「名人」シリーズ導入事例④

長野県上田市を拠点に、ハムやソーセージなどを製造・販売する信州ハムは、取引先ニーズの多様化に対応するため、ユーザックシステムの「Autoブラウザ名人」と「EOS名人.NET」を組み合わせ、受注業務の効率化を進めている。情報管理課では取引先から刻々と届く注文をタイムリーに処理し、本社で集中管理することで、営業拠点が本業へ専念できる環境を整備。WebEDIや流通BMSを組み合わせ、今後さらに加速する取引先との電子取引ニーズへも柔軟に対応していく。

同社は、本場ドイツ伝統の味を受け継ぎながら日本人好みに仕上げた「軽井沢」シリーズ、添加物を使わない安全・安心な「グリーンマーク商品」を提供する。「2005年ごろから取引先のWebEDI導入が増加し、より効率的な業務遂行ツールとして導入を決めた」と、久聡紀総務部情報管理課長は経緯を語る。当初、同社では専門のオペレーターが受注システムのPCを手動で管理していた。取引先1社ごとに異なる個別システムにシステムログイン、データ入力、発注データダウンロードなどの一連の手順を365日行っていたが、WebEDI導入企業が20社以上に増えてきたことで、人員の増強もしくはシステム対応が求められるようになった。

信州ハム株式会社 久聡紀氏
信州ハム株式会社
久聡紀氏

そこで、06年に「Autoブラウザ名人」の前身に当たる「WebEDI受信名人」を採用。人の手で行うことで発生していた人為的ミスを解消しただけでなく、処理のスケジュール化を行うことで、タイムリーな作業も確立した。久課長は「何より本業に専念できることになったことが大きい」と効果を語る。現在は1日当たり約200のスクリプトを実行しており、「『Autoブラウザ名人』がなければ、人員を増やしていた」(久課長)ほどだ。

さらに、近年は流通BMSへの対応も求められるようになってきている。流通BMSは従来のEDIと異なり、インターネット回線を利用することで通信時間・コストなどの削減ができるメリットがある。

10年ごろから大手取引先が流通BMSに移行する動きが始まったが、当初は普及拡大が見通せなかった時期でもあり、ホストコンピューターでは対応が難しいため、特定取引先の専用システムを導入し運用していた。しかし、流通BMSに移行する取引先が増加傾向となり、専用システムではない汎用(はんよう)性のあるアプリケーションソフトが必要となった。

そこで同社は、流通BMS対応、基幹システムとの連携、開発のしやすさに加え、発注データ訂正、緊急発注に対応した「EOS名人.NET」の導入を決定。情報管理課では複数名での開発体制を整え、営業部からの新規取引要求にも迅速に対応してきた。現在は「Autoブラウザ名人」で約100社200スクリプト、「EOS名人.NET」では流通BMSを中心に約30社に対応する。

同社独自の仕様として、現在稼働する2台のサーバーを集中管理するオンライン状況照会システムをWebで構築。各現場担当者へ取引状況をリアルタイムに情報提供し、迅速な出荷業務に対応している。久課長は、新規やシステム変更などを行う取引先が増える中、今後もWebEDIと流通BMS両方へ対応できるシステム強化が必要であると考えている。

EOS(Electronic Ordering System 電子発注システム)は70年代の小売業店舗と本部間で始まり、80年の日本チェーンストア協会によるJCA手順の制定で、小売業と取引先間に広まった。2025年までに加入電話やISDNを利用したデータ通信サービスは廃止され、今後ますます増加する電子商取引への対策が、各企業に求められている。

(日本食料新聞社 小澤 弘教 氏)

-当事例について-

当事例は、日本食糧新聞に掲載された記事「効果の出るIT活用術」を転載しています。同記事は、ユーザックシステムが提供する「名人シリーズ」などの商品・ソリューション導入事例を毎月1回、全10回にわたってレポートするものです。

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