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米国流通業 2017.4.16

2017年度の小売業総売上高と2017年のアマゾンの動き(第4回)


トランプ政権は税制改革法案を成立させ、企業への大規模な減税がカンフル剤となり企業の業績を後押しすると見られています。しかし、ロシア疑惑をはじめ次々と表面化する政治的混乱や、主要閣僚が相次いで退任している他、不法移民の取り締まり強化や移民の入国制限などの過激な移民政策への不満が鬱積している上、戦争突入のリスクも孕んでおり、米国内はもとより国際社会においても同政権を危惧するが高まっており、山積している問題解決の糸口は依然見えません。

商務省が発表した2017年第4四半期のGDP実質成長率(季節調整済み、年率、速報値)は2.6%増と前期(3.2%増)を下回りましたが、GDPの約7割を占める個人消費が前期を1.6ポイント上回る3.8%増と好調で、景気は順調に拡大しています。中でも、自動車関連や家具などの耐久消費財が14.2%増と2009年第3四半期以来となる高い伸びになった他、非耐久消費財も2010年第4四半期以来となる5.2%増と好調でした。2017年通年のGDP成長率は前年比2.3%増と、2016年の1.5%増を上回っています。

尚、今年2月に入り株価が乱高下しましたが、これは雇用統計で賃金が急伸し米経済にインフレ懸念が広がったことから長期金利が急上昇し警戒感が強まったためと考えられ、完全雇用に近い米経済は今後も緩やかに拡大を続けると見られています。但し、貯蓄率が低下しているため今後の成長に悪影響を及ぼす可能性がある上、これまでの景気循環パターンを考えると、今年7月には10年目という戦後最長を更新する景気拡大は、いつ息切れを起こしてもおかしくないと見る市場関係者もいます。

商務省が発表した2017年の小売業総売上高(速報値)は前年の伸びを1.5ポイント上回る4.4%増の5兆753億6,200万ドルと好調で、初めて5兆ドルを超えました。但し、コア売上高は3.4%増の3兆269億1,100億ドルで順調と言えますが、前年の伸びを0.2ポイント下回りました。



それでは前号の「倉庫の建設動向と2017年のアマゾンの動き(第3回)」の続きで、昨年のアマゾンの動きの4回目です。

  • 約50億ドルを投じて本社と同規模の第2本社(従業員5万人超)を建設すると発表。建設地は未公表だが、米国、カナダ、メキシコの238の自治体が誘致に名乗りを上げた。

  • スマートスピーカーの5つの新機種を発表。新機種はアマゾンエコーの第2世代モデルの「エコー」(価格99ドル)と「エコープラス」(同149.99ドル)、エコーショーの小型版の「エコースポット」(同129.99ドル)、電話回線に接続するアダプターとなる「エコーコネクト」(同34.99ドル)、マルチプレイヤーゲームの「エコーボタン」(同20ドル)。

  • アマゾンのウェブサイトに掲載されたホールフードマーケットの商品は数千品目に及ぶが、365エブリデー・バリューなどの人気上位100品目の93%が品切れとなり、1週間の売上は50万ドル、1ヶ月では160万ドルに達したと報じられた。また、価格の引き下げを表明していたが、調査によると最大43%の値引きが行われた。

  • アパートや集合住宅向けの宅配受取ロッカー「アマゾン・ハブ」を導入した総戸数が85万戸以上に及んでいると報じられた。尚、同ロッカーはアマゾン以外からの宅配も受け取ることができる。

  • ギャップ、コールズ、ナイキ、ルルレモン・アスレチカなどのアパレル製造を請け負っている台湾のアパレルメーカーのMakalot Industrial社及びEclat Textile社と契約を締結し、アクティブウェアのPBを発売すると報道された。

  • ファッション販売の強化を進めている同社が3Dボディ・スキャニング・プラットフォームの開発を行っている「ボディ・ラボ(Body Labs)」を買収した。

  • 年末商戦に向け、手作り商品を専門に扱う「Handmade Gift Shop」のサイトを開設した。

  • モルガン・スタンレーが、ホールフードマーケットの顧客の約38%はアマゾンのプライムメンバーではないが、このうちの半分にあたる500万人が2019年までにメンバーになるとの予測を公表した。

  • 食料品を扱っているアマゾンフレッシュが新たなミールキットサービス(レシピ付き食材配達)となる会員制の「eMeal」を始めると発表。顧客は毎週アップデートされる100以上のレシピから料理を選び、注文する食材もカスタマイズできるようになる。年会費は59.99ドルで、3ヶ月は29.99ドル。尚、アマゾンフレッシュではマーサ&マーリー・スプーン及びタイソン・テイストメーカーズ2社のミールキットも扱っている。

  • 学生向けのプライム・ステューデントプログラムを発表した。通常99ドルの年会費が学生は49ドル、もしくは月会費5.49ドルでプライムサービスが受けられる。また、13歳から17歳のティーンがアマゾンのアプリを利用できる新たなサービスを導入すると発表。子供が親の許可を得たことをアマゾンに伝えると招待状が届き、ユーザーネームとパスワードを設定すると利用できるようになる。但し、購入に際しては親のアプリに通知が送られ、許可が得られたら手続きが進められる。また、親は購入制限を設けることもできる。

  • マイクロソフトと提携し、それぞれのデジタルパーソナルアシスタントであるマイクロソフトの「コルタナ(Cortana)」と「アマゾンのアレクサ(Alexa)」が相互通信できるようになると発表。尚、将来的にはアンドロイドとiOSにも対応する予定だとしている。

  • 年末商戦に向け、米国内で12万人を臨時採用すると発表。

  • BtoB市場に参入すると発表。米国とドイツで導入される新たなプライムメンバーシップサービス・フォー・ビジネスは企業間取引の2日間配送を無料で請け負うもので、年会費は登録ユーザー数が10人以内は499ドル、100人以内は1,299ドル、100人以上は10,099ドルと企業規模によって異なるとしている。尚、調査会社フォーレスターリサーチは、米国のBtoB市場規模は8,890億ドルと見込まれるが、2021年には1兆2,000億ドルに達すると推計している。

  • 家を留守にしていても、宅配商品を家の中に届ける新たなサービス「アマゾン・キー(Amazon Key)」を11月8日よりプライム会員向けに主要37都市で始めると発表。このサービスはスマートフォンで遠隔操作できるスマートロックとカメラを設置することで、留守にしていても宅配スタッフが開錠し屋内に商品を届けることができる他、同社が提供している清掃や家事代行といった有料サービスも受けられる。同サービスは「アマゾン・クラウド・カム(Amazon Cloud Cam)」と呼ばれるインターネット・セキュリティ・カメラとスマートロックのホームキットセット(価格250ドルより)を購入し、取り付ければ受けられる。

  • 12州で医薬品の卸売の認可を取得し、今後医薬品業界への進出を視野に入れていると報じられた。尚、処方薬や医療器具を顧客に直接販売するためには調剤業の免許が必要なことから、今後の同社の動向が注視されている。

  • プライム・ナウ、アマゾンフレッシュ、アマゾンロッカーを融合した新たなストアフォーマットのホールフードマーケットを試験的にオープンすると発表。

  • 販売価格が15ドル以下の生鮮食品を除く食料品の販売手数料を来年度に現在の15%から8%に引き下げると発表。

  • 購入することを考えている商品を配置した様子を確認できるAR(拡張現実)機能の「AR View」をiOSアプリに追加したと発表。

  • 同社の配送はUPSとフェデックスの2社が長年担ってきたが、2日以内の配送サービスを強化するため、先の2社以外の企業も活用する。「セラーフレックス(Seller Flex)」と呼ばれる新たな配送網の構築に向けて実験を行っていると報じられた。同社では今後も2社との取引は続けるとしているが、UPSの株価は一時2%下落した。

  • 眼鏡型ウェアラブル端末の開発に取り組んでいると報じられた。この新たな端末は同社の音声認識技術「アレクサ」に対応し、骨伝導技術が使われると見られている。

  • 料理レシピのデジタル出版社であるフェキシー・メディアと提携し、アマゾン・プライムでレシピの食材宅配サービスを始めると発表。尚、フェキシー・メディア社は顧客のライフスタイルに合わせシンプリーレシピ、ロードフード、シリアス・イーツ、ザ・フード・ラボといったレシピサイトを運営している。

  • メンズファッションのペリーエリスが同社と提携し、スマートスピーカーで注文や提案ができるようになると発表。

  • 6月からスタートしたプライムワードローブサービスの内容を若干変更したと発表。当初は発注枚数を最大15着に設定していたが、10着までとし、値引きも200ドル以上の購入で20ドル、400ドル以上の購入で50ドルとなる。

  • 家具のプライベートブランド「リベット&ビーム(Rivet & Beam)」と「ストーン&ビーム(Stone & Beam)」を発売すると発表。

  • クレジットカードやデビットカードを持っていない消費者向けのサービスであるアマゾン・キャッシュサービスをセブンイレブン全店でも導入すると発表。尚、同サービスはCVS、ゲームストップ、スピードウェイ(ガソリンスタンド)など1万店で既に導入されている。

  • ハイパフォーマンス・メンズウェアの「ピーク・ヴェロシティー(Peak Velocity)」(価格29ドル~79ドル)、ライフスタイル・スポーツウェアの「レベル・キャニオン(Rebel Canyon)」(価格12.95ドル~42.95ドル)というPBを発売した。

  • ニュージャージー、ペンシルバニア、メリーランド、ニューヨーク、カリフォルニアの5州で、食料品の宅配サービスであるアマゾンフレッシュを突然取り止めると発表。同社では理由について公表していない。

  • ホールフードストア100店にアマゾンエコーなどの同社のデバイスを販売するコーナーを設けると発表。販売はアマゾンの社員が行う。

  • メディア・マーケティング会社のメレディス社と提携し、同社のオールレシピ・コム(AllRecipes.com)と連携し、アマゾンフレッシュから食材を販売すると発表。

  • バリューデパートメントストアのコールズと提携し、シカゴとロサンゼルスの10店にスマートスピーカーや関連機器を揃えたアマゾン専用の売場(92㎡)を試験的に開設すると発表。販売はアマゾンのスタッフが行う。また、アマゾンで購入した商品の返品をコールズの82店で受け付けると発表。

  • ヒルトンホテルと提携し、ヒルトン・オナーズメンバーのポイントとリンクすると発表。オナーズメンバーの500ポイントで1ドルの購入に利用できる。

  • 日本人デザイナーのニコラ・フォルミケッティと提携し、ロンドン・ファッションウィークの期間中、プライムメンバー向けにファッションの1時間配送を試験的に行った。

  • 豊富なお酒の品揃えとサービスを体感できる期間限定(10月20日~29日)のアマゾンバーを銀座にオープンした。

  • ヨーロッパでスーパーマーケットチェーンの買収を検討していると報じられた。

  • スマートスピーカー「アマゾン・エコーシリーズ」を日本国内で11月に発売した。当初はプライム会員への招待制での販売となる。

  • インドへの投資額を当初予定していた26億ドルから50億ドルに増額すると発表。

5年を超える長きにわたりお読みいただきありがとうございました。
今号にて寄稿は終了となります。
今後の皆様のご健勝とご発展と祈念しております。



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著者:オフィス J.K. 代表  ジェイ 広山

1958年東京生まれ。卸売会社の営業及び企画開発部門に勤務後、渡米。リサーチ会社勤務及びフリーの視察旅行コーディネーターを経て、1987年に友人とともにオフィスJ.K.を設立し代表を務める。日本及び米国の流通業界の生成、発展、展開に関する幅広い知識と全米の商業施設開発(都市開発を含む)に関する豊富な現地調査の経験を有しており、日本百貨店協会、日本ショッピングセンター協会、日本小売業協会の米国流通視察コーディネーターを長年務めるなど、日米両国において多くの団体/企業のコーディネーション、コンサルティング業務、講演会を数多く手掛け、その独自の視点と分析は高い評価を得ている。

・日本百貨店協会 スペシャルアドバイザー(季刊発行JDSA USAリテールレポート執筆・編集、2003年~)
・日本ショッピングセンター協会 SCアカデミー講師(2007年~)
・国際ショッピングセンター協会 会員
・株式会社丹青社 アドバイザー
・JRグループ 米国流通業界レポート(年次レポート:2002~2006年、季刊レポート:2007年10月~)

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