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RPA

「働き方改革」のために、まずやるべきはRPAによる業務の自動化(後編)


失敗しないRPAのポイントとは

前編で「働き方改革」を背景とした業務の自動化、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の必要性と導入事例を見てきたが、後編では具体的にRPA導入の進め方や注意点について解説する。

実際にRPAに取り組むにはソフトウェアロボットを導入すればそれで良いのか。安易にそう考えていてはうまくいかない。何事にも準備が必要だ。ここではRPA導入に失敗しないための3つのポイントを紹介する。

1.業務の棚卸

RPAとはその名の通り、ソフトウェアロボットを利用して業務プロセスを自動化することだ。ソフトウェアロボットについてはAutoブラウザ名人やAutoメール名人などの自動化ツールを使う方法、または個別にシステムを開発するかコンサルタントに依頼するなど、システムの構築手段についてはある程度想像できる。しかし自動化の対象となる業務プロセスそのものを明確に定義している企業はそう多くはない。販売管理や会計などのERPの導入を担当したシステム部門なら、業務分析や要件定義などの経験があり、業務プロセスを明確にする重要性を理解しているだろう。ところが、RPAの対象となる業務はこれまでシステム化できなかった業務である。当社が手がけた事例の導入責任者の多くは業務を遂行している部署に所属しており、システム部門がメインとなりRPAを導入するケースは半分以下である。

そこで、まずは人に頼っている手作業の業務、改善したい業務の棚卸を実施してほしい。業務の担当者にとっては慣れないかもしれないが、これが何より重要な準備となる。


図7 フローチャート作成例

業務の棚卸をすることで、業務の流れが見える化でき、改善ポイントが明らかになる。属人的になりやすい業務も他のメンバーと共有できるメリットもある。業務の棚卸の方法は産能大式のフローチャートを利用するのが一般的だ。これについては「システム分析・改善のための業務フローチャートの書き方」(産業能率大学出版部)に詳しく書かれているので参考にしてほしい。フローチャートのイメージは図7のとおりだ。社内にフローチャートの記入ルールがあるならそれでも構わない。フローチャートは書けないという人はせめて業務棚卸リストを作成し、担当者や作業時間などの整理をしてほしい。



2.自動化する業務の見極め

フローチャートを作成してみると問題ではなかった業務も、多くのムダが潜んでいることに気づくだろう。問題であると認識していた業務はその解決の糸口が見えたかもしれない。RPAで業務を自動化する前に問題を解決できることもある。フローチャートや業務棚卸リストで改善すべき業務が明確になると、どれから着手すべきかを考える。優先順位づけは下記を参考にすると良い。

改善着手の優先順位

1.ロスの大きいもの

2.やりやすいもの

3.横展開余地の大きいもの

4.結果がすぐに出せるもの

改善の着想は次の順で進めてみよう。
改善の着想

1.排除の質問

その業務は必要か?その全てが必要か?

2.結合の質問

その業務手順を結合できないか?

3.入替の質問

その業務手順を入替できないか?

4.簡素化の質問

その業務手順を簡素化できないか?

他にも改善活動にはさまざまな進め方があるが、業務の棚卸をおこない、改善すべき業務を特定し、優先順位をつけることが理想的な進め方といえよう。そして改善策を検討したのち、RPAで自動化すべき業務を決定する。業務改善を検討することなく、今ある業務全てを自動化するのはおすすめしない。RPAを導入することなく、業務が改善できればそれに越したことはない。自動化するにしても、RPAを導入しやすいようにプロセスを変更することも必要だ。それがRPA導入の成功の秘訣である。

FAX受注が多く入力業務に問題をかかえていた生産財メーカーは、そのままFAX注文書を文字認識する方法で改善を進めたのではなく、確実にデータ処理を実現するため、取引先に対しEXCELシートに注文数量を記入するよう依頼し、Eメールで受け取るように受注処理の方法を変更した。こうすることでEメールの受信、添付ファイルからデータの抽出、データ変換、基幹システムへの連携まで、一連のプロセスを確実に自動化することができた。

3.エラー時の対応を事前に考慮する

自動化する業務を見極めたら、ようやくソフトウェアロボットによる業務プロセスの自動化に取り組むことができる。ここでよくある失敗は、業務プロセスが100%自動化できると思い、正常に終了するケースだけを考えてしまうことだ。

業務用食材メーカーでは新たな得意先からの受注を、先方の都合でEDI化することができず、EXCELとメールを活用することにした。得意先がEXCELシートに注文内容を記載しメールで送信する。注文用のメールは専用のメールアドレスに送られてくるため、Autoメール名人が、添付されているEXCELシートからデータを抽出し、CSVデータに変換したのち基幹システムの受注データベースに取り込む。これがうまく処理できるケースだが、次のようなエラーを事前に考えた。

エラーの要因

1.注文メールが届かない

2.注文用のメールに添付ファイルがない

3.添付ファイルに注文数が記入されていない

4.添付ファイルに古い商品コードが含まれている

5.基幹システムにデータを取り込む際にエラーが発生した

1から4のエラーについては、すぐに得意先にエラーの理由が書かれたメールが送信され、5についてはシステム担当者にメールで通知するようにした。エラーになることよりも、途中で処理が止まっていることに気づかないことが問題である。あらかじめ想定されるエラーを洗い出し、その対応と通知方法を自動化する処理に組み込むことが必要なのだ。


RPAこそ「働き方改革」の第一歩

労働力人口の減少、働き方の多様化、女性の活躍の促進など、さまざまな切り口で働き方改革が叫ばれている。今後AIの活用が働き方に大きな変化をもたらすといわれている。すでに大手企業や銀行のコールセンターではAIが活躍しているが、まだ大きな投資が伴うため、企業一般に普及するには時間がかかるだろう。まずは業務の棚卸をおこない、ムダな業務をなくし、作業時間を短縮する。RPAによる業務の自動化こそ働き方改革の、今すぐに始められる重要な取り組みテーマといえるのではないだろうか


著者:ユーザックシステム株式会社 マーケティング本部 小ノ島 尚博
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