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セミナーレポート

ヤクルトグループの物流

ヤクルトグループの物流

今やるべき!!「業務改革」「コスト削減」事例セミナー

開催日:2009.3.13(金)
開催場所:(株)内田洋行 CANVAS
掲載日:2009.4.8(水)

 


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「月刊ロジスティクスIT 4月号」特集記事(原文)

ヤクルト本社 量販店改革の取り組み
〜ユーザックシステムの「EOS名人.NET」第1ユーザーとして6月より本稼働へ〜

世界30ヵ国以上で販売を行うヤクルトグループは、国内においては毎日800万本の乳製品が、4万人のヤクルトレディに加え、約5万店の量販店を通じ、販売されている。

ヤクルトレディによる販売主体の事業展開をとってきた同社では、量販店を通じたチャネルの全体に占める販売売上構成比は1割程度であるものの、第2の重要な販売チャネルとして、同社にとって欠かせない分野であるといえる。

現在、量販店・流通業界は日々刻々と変化する激動期に突入し、さらに消費者からのトレーサビリティの要求が増加していくなかで、ヤクルトでは、(1)物流センター整備、(2)取引先・お客様との関係強化、(3)量販店取引システムの改善・機能追加−を3本の柱に据えた改革を実施。

量販店取引システム改革では、機能向上のため、ユーザックシステムの「EOS名人.NET」への移行を決定。「EOS名人.NET」の第1ユーザーとして、6月から本稼動させる方針だ。


物流センター整備、取引先・お客様との関係強化 量販店取引システム改善を3本柱に改革を実施

食の安全・安心に応えるための鮮度・温度・衛生管理の高度化といった消費者からのトレーサビリティ要求に加え、量販店物流では、(1)一括物流化、365日納品、賞味期限に加えた販売限度日の厳格化、(2)納品時間の厳格化、納品リードタイムの短縮、(3)広いフェース取り、売り場の確保(売上の維持・確保)、(4)量販店・流通業の企業統合・再編や協働への対応、(5)IT化への対応−など、さまざまな量販店ニーズに応えた、きめこまかいサービスを提供しなければならない。

こうしたサービスの高度化に務めながら、一方では収益性の拡大のため、物流関連費などのコスト削減を図る取組みが求められ、ヤクルトではこの双方を満たすため近年、(1)物流センター整備、(2)取引先・お客様との関係強化、(3)量販店取引システムの改善・機能追加−を3本柱に、対量販店向けの流通改革に乗り出している。

複数の販売店物流と本社センター機能を共同化した共配センター化を推進

ヤクルトグループの物流

ヤクルトグループの物流
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流通改革の1つである物流センター整備の取り組みは次のとおり。

以前は、工場併設タイプの取組みを進めてきたものの、都市化に向けた対応を図るべく、消費地に近い単独設置へと切り替えを推進。ここ数年の間で富士裾野→八王子、四街道→習志野、日進→北名古屋、神崎→福岡、と切り替えてきた。

一方で動線の簡素化のため、量販店物流と、複数の販売会社物流機能の共同化を進めた共同配送センターの創設にも着手している。

販売会社物流では、約130社の販売会社が卸の機能を有し、ヤクルトレディでの販売を中心に、自販機への納入、一部小売店への納入を行っているが、各販売会社が持つ、倉庫を近隣別に統合。さらに従来、そうした販売会社倉庫と量販店向けの一括センターへ、配送していたヤクルト本社の物流センター機能を、この統合センターへと移管させることで、在庫の共有化を図るとともに、動線を大幅に簡略化させることに成功している。

これにより、輸配送・荷役コストの削減が図られるとともに、納品リードタイムの短縮と、飲料の発注単位の小ロット化への対応を実現。また午前運行を販売会社、午後運行を量販店として車両の共有化を図ることで、車両回転率を高めた効率の良い輸送を実現している。

また、ここで行われる物流業務は専門の物流業者へとアウトソーシング。

その結果、夜間仕分け、早朝配送、365日24時間稼動運営による質の高い、きめこまかいセンター運営が実現している。

共同配送センターによる取組みについては、着手した2センターで、対売上高に占める物流コスト比率が、それぞれ10%程度低減する形に。1本当りの物流コストも約1割低減する結果となり、大きな効果を生み出している。

店頭でのマネキン業務を外部から本社直轄に変更

店舗ケアを拡大するためセールススタッフ支援のための営業支援システムYARDを構築

こうした物流センター整備を進める一方、ヤクルトでは売上拡大策として、量販店の店舗ケア策の強化に乗り出している。

ヤクルトでは、取引先への施策として、これまで「本部(営業)担当」と、こまめに店舗巡回し、店舗スタッフに各種情報を提供し、発注の促進と売場整備・飾りつけを提案・実施する「フィールドスタッフ」を置き、フォローを行っていた。

国内工場・販売会社の分布

国内工場・販売会社の分布
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店頭での商品説明や試飲販売を行うマネキン業務は、外部会社にアウトソースしていたが、マネキン業務のなかでは、お客様から宅配業務についての問合せがあることや、丁寧な説明と、濃いコミュニケーションを築いていく重要性を鑑み、社員へと切り替え。「プロモーションスタッフ」として当り、接客レベル・商品知識の向上に努めている。

またヤクルトでは、店舗巡回する「フィールドスタッフ」を支える営業支援システム(SFA)として、YARDを構築。

これは携帯電話・PCから、全国の営業管理者、担当者、フィールドスタッフ情報を共有化できる仕組みで、登録画面では、携帯のカメラ機能を通じ、陳列状況を画面付で入力でき、商談や売場作り提案などの成功事例が提示できる。

YARDを活用した積極的な商談・店舗巡回の強化によって、ヤクルトコーナーを設け、フィールドスタッフ側が自由に陳列を行える機会は増えており、ヤクルトが狙う、本部担当・フィールドスタッフ・プロモーションスタッフのトライアングルによる、量販店への売上向上は実を結ぶ結果となっている。

量販店取引システム移行でEOS作業が大幅に軽減

ユーザックの「EOS名人.NET」を今年6月に本稼動

3つ目の改革の柱となる「量販店取引システムの改善」は次のとおり。

ヤクルトでは1980年代からEOSの仕組みを構築。2003年からはUNIXベースの新量販店システムを導入し、対応を進めてきた。

量販店側からは、VAN会社・通信プロトコル・ファイルレイアウト・帳票デザイン・配信時間の変更をはじめ、企業統合に伴う取引先の変更、請求・支払通知のオンライン化、Web−EDIへの対応など、さまざまな要求に柔軟に応え、取引拡大に努めてきたが、そうした結果、集配信にかかわる手入力作業も増大。EOS作業にかかわる人的作業のIT化・自動化が求められていた。

一方、既存ハードが更新期に差し掛かり、同一メーカーによる新ハード移行ではソフトウエアのライセンス料金や移行費用が大幅に上がることも確認。

そこでヤクルトでは、流通業界の環境変化に併せた、取組みを、ステップを踏みながら着手。第3ステップとなる現在、各社各様のEOS集配信作業をサポートし、作業の自動化を図るユーザックシステムの「EOS名人.NET」の導入を進め、(1)メイン機能の改善(出荷指示、ASN、GS1データバー、入出荷ロット管理、在庫管理、債権管理、会計システム連携、Web−EDI)、(2)機能追加(EOS受注改善、業界標準型流通BMSへの対応)−までの取り組みを実現させる方針だ。

「EOS名人.NET」は、ユーザックシステムにより開発されたばかりの新システム。

「EOS名人.NET」画面
「EOS名人.NET」画面

同システムは、レガシーEDIのJCAや全銀手順に加え、業界標準型流通BMSまで、さまざまな手順に対応。データレイアウトの変更や追加の場合でも、パラメータ設定でカンタンに行えるマッピング機能も提供し、プログラムレスで新たな取引先とのEDIが構築できるようになっている。

さらに各種データのやりとりに必要な、パラメータによる様々な設定ツール、データ変換(入出力)設定ツール、訂正・追加入力項目環境設定ツールを完備。ほかにも量販店ごとによって違う、伝票への対応が自由に行える伝票追加・訂正機能があるとともに、内部統制に対応した利用者認証や操作ログの保存機能も実装。多数の量販店EOS作業にかかる負担を大きく軽減する。

ヤクルトでは現在、「EOS名人.NET」の第1ユーザーとして、6月までの本格稼動をめざし、導入を進めているところだが、導入・移行コストは既存システムに比べ半減するとともに、維持管理費用も激減。現在、公衆回線用モデムを調達している複数のメーカーが次々と生産中止を通告してくるために、将来のモデム確保に不安をかかえていたが、ユーザック側の協力により長期調達保証できるメーカーのモデムを確保できたことで、「安心してシステムを活用できる」として、ヤクルト本社業務部計算センター所長の石川康・参事はシステム機能、さらにはユーザックの対応力に太鼓判を押す。

業界標準型流通BMSへの対応も順次、推進

ヤクルトでは流通BMSの対応も順次、進めており、今春からはイオン・ダイエーでのテスト稼動をスタートさせる予定だ。

外部環境が急激に変化していくなか、小手先の施策ではなく、「大胆に、短期間に、集中的にやる」「関係者の理解と協力が不可欠」との姿勢のもと、ヤクルトではここにあげた3つの改革を着実に遂行していくことで、消費者に選ばれる企業を維持していく方針だ。